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製薬会社の営業マンから米農家へ 愛する妻に“新規就農計画”で説得『玄米おむすび』で地域の魅力も世界に発信 北海道鷹栖町

北海道放送 / 2024年9月9日 20時10分

北海道の食を深堀りして、その価値を考えるシリーズ「食の未来を考える」です。北海道鷹栖町の脱サラ農家が「もっちもちの玄米おむすび」で、コメのブランド力アップに奔走しています。

コメ農家 平林悠さん(42)
「鷹栖町で作られた本当においしいコメを、日本中、世界中に広めていきたい」

7月、旭川市の隣の鷹栖町で、ある商品の発表会が開かれました。その名も、「たかすのおむすび」。

柔らかく炊いた「ゆめぴりか」の玄米に、厳選した無添加の具材、それに有明産の厚い海苔を使っています。

谷本洋記者
「もっちりとした玄米の食感に、有明産の風味豊かな海苔がよく合います」

「たかすのおむすび」を発案したのは、地元のコメ農家 平林悠さん、42歳です。

平林悠さん
「(コメ農家として)何とか生活できるようになって、もう1つ武器を作りたいということで、自社でおむすびを作って販売したい(と考えた)」

冷凍おむすびとして主にインターネットで販売していますが、早くも、道産食材のセレクトショップからも引き合いが来ているといいます。

鷹栖町内の飲食店を改装した「おむすび工場」。この日は平林さん自ら「タコめしのおむすび」の試作品を作っていました。

平林悠さん
「ほぼほぼ、いい感じ。絶対おいしくなる」

年間約100トンのコメを生産し、2024年、新たな事業にチャレンジしている平林さん。実は8年前まで、名古屋で製薬会社の営業マンをしていました。

しかし、働き詰めの日々に疑問を持ち、新たな人生のステージを模索し始めたといいます。

平林悠さん
「(サラリーマン時代は仕事の感覚が)働きバチに見えた。自分で作ったものをお客様にお届けして、お客様に喜んでもらいたい。北海道のコメが大好きなので、北海道のコメ「ゆめぴりか」を作って自分で販売しようと」

そこで選んだ場所が、新規就農の受け入れにも熱心だった鷹栖町でした。でも、移住を決めたとき、妻の反応は予想通りでした。

妻 平林純子さん(兵庫県出身)
「想像があまりにもつかなかった。『何言ってるんだか』って言って、2年半(聞き)流し続けたという感じ」

夢の実現へ。最後は、製薬会社の営業で磨いたプレゼン力が決め手になりました。

「新規就農計画 愛する純子へ」

31ページにも及ぶ、妻への就農計画書。家族への感謝に始まり、経営計画や収支見通しがビッシリ。最後には、純子さんにビジネスパートナーになってほしいと締めくくったのです。

妻 平野純子さん
「『ちょっと話があります』と言われてプレゼンされ、具体的にお金の話が、ある程度売り上げがこれくらいでと。これくらいなら、試してみてもいいかなという…。失敗するなら早いほうがいいんじゃないかというのもちょっとあった(笑)」

平林悠さん
「(社長は自分だが、妻と)共同で経営している感覚。今回起業した「たかすのおむすび」に関しても彼女も役員に入っている。
(純子さん)楽しそうですよ。すごく居心地がいいみたいで」

こうして、鷹栖町にやってきた家族は、移住から2人増えて6人に…。家族で過ごす時間も、サラリーマン時代よりずっと増えました。

(父の姿は?)
長男 平林汰郎くん(小6):「なんかヒマそう」

父 平林悠さん:「ヒマそう?なんだそれ」

長男 平林汰郎:「なんかいすに座ってパソコンたたいている」

父 平林悠さん:「ちゃんと働いていますよ」

父 平林悠さん:「(タロファームと名前を付けているけど)子どもたちに継がせたいわけではなく、農業という仕事を子どもの憧れの仕事にしたい」

そして、移住8年目で始めた挑戦。工場で試作を重ねます。

平林悠さん
「(塩味)ちょっと弱い。ちょっとだけ足して…」

管理栄養士 梅澤さやかさん
「ごはんが前より柔らかい。前より崩れない」

平林悠さん
「わかっちゃったんですよ」

おにぎりの具材を調理するのは、町内の管理栄養士の梅沢さやかさんです。平林さんの理念に共感し、一緒に商品開発をしています。

梅澤さやかさん
「玄米のうまみを残しながら、玄米と合う具材を考えている。おにぎり1個で食事というか、1個食べたら栄養も取れるような具材にしたいと思っている」

北海道第2の都市、旭川の隣町でありながらも雇用が限られている鷹栖町。「たかすのおむすび」が軌道に乗ったら、地元に残りたい若者にも仲間になってほしいと、平林さんは考えています。

平林悠さん
「世界中に知れ渡るのが自分の夢なので、その一つのツールが”おむすび事業”。この地域が衰退するのではなく、発展していったらおもしろい」

少子化の時代、新たなビジネスで次世代に農業の魅力を広め、持続可能な農業経営を目指す。「たかすのおむすび」の挑戦は続きます。

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