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津波から高台への避難で“線路”が渡れない…厚岸町での津波避難に北海道初『線路横断』専門家は「住民、自治体、JRで安全を担保するルールを作る」

北海道放送 / 2024年9月9日 21時25分

8月には、宮崎県で地震があり、南海トラフ地震臨時情報が初めて出されました。北海道内でも巨大地震への備えが求められていますが、津波対策に大きな課題が残っています。

避難訓練の防災無線(9月5日・室蘭市)
「大津波警報が発表されました」

津波から逃げる住民の前に立ちはだかるのは…鉄道の線路です。しかし、一般の人が線路に立ち入ることは法律で禁じられています。

室蘭市民
「すごく厳しい」
「本当に津波が来たらそんなこと言っていられない」

津波が迫る中、線路を横断しての避難はできないのか?もうひとホリします。

室蘭市町内会連合会 防災士 橋本正敏さん
「いま、この辺にいます。(浸水区域ですか?)そうです(津波の)浸水想定区域ですね」

室蘭市東地区の町内会役員、橋本正敏(はしもと・まさとし)さんです。防災士として、長年、地域の防災を担っていますが、住民の避難経路に悩んでいます。

室蘭市町内会連合会 橋本正敏さん
「目の前が高台になっているので、命を守る場所としてはここが最適。ただ、やはり線路を渡る行為が現在はできないものですから…」

巨大地震が起きた場合、この地域には、9メートルを超える津波が来ると想定されています。その第1波は、地震発生から41分後です。

海抜が低く、海も川も近いため、一刻も早い避難が必要ですが、住宅街と高台の間を走る線路が行く手を阻みます。

JR室蘭線は、列車が1日100本近く行き交う大動脈。津波警報が出されても、到達予想時間などによっては列車が走行している場合があります。

線路沿いの住民が、線路をはさんだ高台に逃げるためには、東側の地下歩道か、西側のこ線橋のどちらかに、う回しなくてはなりません。

沿線の住民
「膨らんで行くより(線路を渡れば)3分の1、4分の1の距離で済む」
「ひっ迫した状態だったら、いちばん近い所に行く。心理としては」

”避難に限って、線路を渡らせてほしい” 住民らは10年前から国に要望してきました。

そして2024年1月、JR北海道は、線路を横断する方法や条件について、自治体と協議する方針を示しました。室蘭市はJRとの協議を始め、横断する場所の設定などを検討しています。

すでに線路の横断ができるマチも…。

道東の厚岸町です。巨大地震が起きれば、約30分~40分で、津波が来ると予想されています。厚岸町は11年前、JR北海道と協議し、道内で初めて津波からの避難に限り線路を横断できる場所を、1か所設けました。

JR厚岸駅 檜森亮駅長
「次の駅まで運転して、乗客に避難してもらわないといけない。この区間に絶対に列車が進入しない措置を取ったあとに町に許可を出す」

津波警報が出ると、町の職員が非常扉の鍵を開けて住民を誘導しますが、それにはJR厚岸駅の許可が必要です。

今回特別の許可を得て、記者が線路を横断してみると。

ナギーブモスタファ記者
「いま、避難通路である線路を実際に横断しています。かなり足場は良くないですね」

JR厚岸駅 檜森亮駅長
「見てのとおり砂利なのですごく歩きづらいのと、レールも結構な高さがあるので、歩いているときに足を取られる危険性はある」

特に高齢者は、線路の横断に不安を感じています。

厚岸町民(81歳)
「線路を横断するのが危ない、年寄りは。足が上がらない。つまづいたり…」(92歳)

厚岸町民(92歳)
「砂利道だし、線路の上だし、足をくじく心配がある。それこそ命がけですよ」

しかし、この地域は、こ線橋や踏切が遠いため、一刻も早い高台への避難には、「線路横断」が有効な手段です

厚岸町危機対策室 吉田剛係長
「こ線橋が大規模地震で破壊された場合の代替避難路としての側面と、最短で避難するための避難路としての役割を果たしている」

【解説】「線路横断」に必要なこと(日本赤十字北海道看護大学 根本昌宏教授)
・住民、自治体、JRで安全を担保するルールを作る
・必ず何度も訓練をする(厚岸町では毎年1回実施)
・「線路横断」以外のルートも万一を考え想定する

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