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“ハルキスト”の願いはただ一つ 受賞の瞬間を迎えるその時まで、この町に…『羊をめぐる冒険』の舞台とされる町にノーベル賞発表の夜に響く乾杯「また来年」

北海道放送 / 2024年10月11日 20時46分

政治の世界では「総理候補」と言われ続けたあの人が17年目の今年、その座を射止めましたが、ノーベル賞の世界でも「今年こそ」と北海道内でファンたちが待ちわびる作家がいます。10日、聖地は緊張感に包まれていました。

スウェーデン(日本時間10日午後8時すぎ)
「2024年のノーベル文学賞は、韓国の作家 韓江さんに決まりました」

村上春樹さんのファン=ハルキストの期待が失望に変わった瞬間でした。

麻原衣桜記者
「美深町が羊をめぐる冒険の舞台とされているのは、町内にいくつもある滝、そして札幌からの距離などが挙げられています」

1982年に発表された「羊をめぐる冒険」。

東京に住む男性が、友人から送られてきた写真の星形の模様がある羊を探して、恋人と北海道を旅する物語です。

「鳥のほかに沈黙を破るものは何もなかった。どこまでも白樺の林がつづき、どこまでもまっすぐな道がつづいていた。(羊をめぐる冒険/村上春樹)」

主人公が最後にたどり着く「白樺に囲まれた別荘と羊の放牧地」に重なるのが、仁宇布地区にあるペンション「ファームイントント」です。

入り口の正面には本棚があり、村上春樹や羊の本が並び放牧地を眺めながら、ゆっくり本の世界を味わうことができます。

ファームイントント 林実幸さん
「トントに近づいたときに(小説内の風景が)「ここみたい」という感じを、みんなが味わってくれているのがうれしい。今年こそはと期待しています」

2012年から美深町で続く、ハルキストたちのノーベル賞イベント。発表までの間、思い思いの時間が流れます。

ハルキスト
「(ノーベル賞を)取ってほしいし、ファンは本当に根強いからね。春樹中毒になってる」
「きた、きたきた」

スウェーデン(日本時間10日午後8時すぎ)
「2024年のノーベル文学賞は、韓国の作家 韓江さんに決まりました」

今年の受賞者は、韓国の作家韓江さん。ハルキストにとっては、新しい1年が始まった瞬間です。

ハルキスト
「本当に残念ですけど、また来年に期待して応援していきたい」
「意地じゃないですけど、(賞を)取るまで(この会を)やりたいなというような気持ち」

イベント主催者 松山農場 柳生佳樹さん
「十何年も待ちくたびれたところもありますけど、村上春樹さんがノーベル賞を取れない間は、この会は続く。来年また集まれる口実ができた」

ハルキストの願いはただ1つ。受賞の瞬間を迎えるその時まで、作品ゆかりのこのマチに集まり続けます。

「また来年健闘を祈って、乾杯!」

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