サッカーとアイスホッケー二刀流のパラアスリート 札幌市出身の森崎天夢選手（19）が目指す世界の景色

特集は「スポーツのチカラ×まちのミライ」です。札幌市では、今後10年間のまちづくりに関する基本指針「第２次札幌市まちづくり戦略ビジョン」を掲げていて「ユニバーサル」「ウェルネス」「スマート」と、３つの重要概念を定めています。

今回、ＨＢＣテレビでは「ユニバーサル（共生）」にフォーカスし、こちらのアスリートをご紹介します。

笑顔が似合う札幌出身の19歳。パラスポーツ、二刀流で世界をめざす注目のアスリートです。

森崎天夢さん19歳。この場所は、幼い頃から遊びまわった公園です。

森崎さんは生まれながらにして、右足の膝から下がありません。

森崎天夢さん（19）
「先天性絞扼輪症候群、右下肢２分の１欠損という障害を抱えまして、生まれた時から足がない状態で生まれてきました」

札幌生まれ札幌育ち。物心つく前から義足をつけての生活です。周りと自分の「違い」に気づいたのは小学３年生の頃だったといいます。

森崎天夢さん（19）
「遠足とかで長時間歩いて公園まで行くんですけれど、ついていけなくてやだなぁと」

それでも…。

父親の父 政喜さん
「体を動かすことが大好きで、家でゲームとかよりも、外で公園行くとか、そういう感じの子です」
「スキーとかもやって、もうアグレッシブでスピード出すなって言っているけれど、直滑降で、恐怖心がないというか」

幼い頃からスポーツが大好き。そんな森崎少年をとりこにしたのが…。小学５年生から始めたアンプティサッカーです。

森崎天夢さん（19）
「はまってはまって、ずっとボール蹴っていました」

1980年代にアメリカ軍負傷兵のリハビリの一環として、普及が進んだアンプティサッカー。７人制でルールはサッカーとほぼ同じ。足に障害はある人がフィールド。手に障害がある人がキーパーです。

ファイールドプレイヤーは「クラッチ」と呼ばれる杖を使って片足でプレーします。男女関係なく、障がいがなくても楽しめるスポーツです。

アシルスフィーダ北海道 氏家一子さん
「こ～んな小さいときから知っています。すっごくサッカーが好きで、練習なくても毎日公園に行って、一人で行ってボール蹴ったりとか」
アシルスフィーダ北海道 能島稔明代表
「もうわんぱくで、とにかくスポーツ大好きな、ザ少年っていう感じの子でした」

競技歴８年。日本代表候補までのぼり詰めました。

森崎天夢さん（19）
「一緒にできるスポーツなので、もう誰もが楽しめるスポーツだなと僕は思う」

さらに…。

「おはようございます」

森崎選手が世界を目指すもう一つの競技。「氷上の格闘技」パラアイスホッケー。スレッジと呼ばれる専用のソリに乗り、両手でスティックを使いながら氷をかきパスやシュートを決めます。

３年前、競技に出会った森崎選手は、苫小牧市にあるパラアイスホッケーチーム「北海道ベアーズ」に所属すると才能がすぐに開花。わずか２年で日本代表にも選出されました。

チームをサポートする 宮脇公治さん
「どんどん伸びているので、まだまだ伸びしろはある、これから楽しみですね」

チームメイトの繁泉鯉句さん（20）
「いい刺激になったし、もっと楽しいなと思えるようになって、感謝しかない」

国際大会の経験は、まだまだこれからの森崎選手ですが、未来の日本を背負う存在として期待されています。

森崎天夢さん（19）
「2026年のミラノパラに必ず出場して、このスポーツも大好きなのでずっと続けていきたい」

森崎選手の二刀流の原点。北海道で唯一のアンプティサッカーチーム「アシルスフィーダ北海道」。

練習拠点となっている、みなみの森高等支援学校は障害者スポーツ専用の体育館として解放されています。

札幌市スポーツ局 松島康之担当課長
「競技用具を購入し、いろんな地域のイベントで使っていただくような取り組みもしている」
「区の体育館ですとか大規模な商業施設、より参加しやすい環境を作っています」

この日は札幌の親子が初めてアンプティサッカーを体験しました。

体験者
「難しかったです（森崎くん見てどう思う？）もっと杖をつかいこなしたい」
「壁がなく、みんなでできる、ユニバーサルの時代なので、すごくいいなと思う」

お互いの個性や能力を認め合い一緒になって暮らせるマチ、札幌。誰もが笑顔になれるそこに、まちのミライが広がっています。

森崎天夢さん（19）
「アンプティサッカーとパラアイスホッケー両方、大好きなスポーツなんで、二刀流の日本代表としてやっていきたいなと、僕は思っているので、両方頑張っていきたい」