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労働者も経営者も悩みの種、年収「103万円の壁」撤廃で手取りは増える?税収減の懸念も…社会保険料負担でさらなる「壁」根本的な手取り増加策はどこに

北海道放送 / 2024年11月5日 19時41分

10月の衆院選で、「手取りを増やす」を看板に掲げた国民民主党が、若い世代を中心に支持を得て、大きく議席を伸ばしました。これを追い風に「103万円の壁」を178万円に引き上げを主張し、各党と駆け引きしています。この「103万円の壁」をめぐる現場の声を取材しました。

北海道札幌市でお勤めの方にはおなじみ、お弁当の「日信」です。

創業から半世紀、手ごろでおいしい弁当で、働く人のお腹を満たしてきました。

1日およそ2万食もの弁当を作るのは、130人のパート従業員です。

日信 松村貴洋 社長
「パートさんには本当に感謝していてパートさんがいないと、お弁当を作れない」

おいしさを支えるパートの皆さん。年末が近づくと気がかりなのが…。

30代
「いまギリギリなので調整して働かないと…」

70代
「“103万円の壁”があると、時給が上がってもそのぶん働けなくなるから」

103万円の壁です。年収が103万円を超えると所得税が課税される、ボーダーラインのことです。

もっと働いて稼ぎたいのに「103万円」を超えてしまうからと、泣く泣く勤務時間をセーブ。なんて経験した方も多いと思います。

この「103万円の壁」。経営者にとっても高い壁のようで…。

日信 松村貴洋 社長
「年末になってきて(勤務)時間が詰まってきて調整で休まなくてはならない。忙しい時期に人がどうしても欠けてくる」

ただでさえ人手不足の中で、年末のかき入れどきに勤務に入るのを断られる、いわゆる「働き控え」は悩みの種です。

国民民主党 玉木雄一郎 代表
「私たちは"103万の壁"の問題をこれを今回絶対にやりたい」

10月の衆院選。「手取りを増やす」を看板に掲げた国民民主党が、若い世代を中心に支持を得て、大きく議席を伸ばしました。

これを追い風に「103万円の壁」を178万円に引き上げを主張し、各党と駆け引きしています。

引き上げが実現した場合、パート勤務者だけではなく、働く人のほとんどが「税金がかかる」部分が減るため、「手取り」が数万円から数十万円増える可能性があります。

物価が高騰するなか、これは朗報なのでは?街の人に聞くと…。

僧侶(50代)
「みんなの手取りが多くなれば、景気がよくなって国の税収が結果的に増えるかと思っている。どんどん還元して景気がよくなってほしい」

専門学校生(10代)
「1人暮らししているので、生活費や遊ぶお金に回したい。早く引き上がってほしいと思う」

歓迎の声が多く聞かれた一方で、こんな声も…。

サービス業(50代)
「いまの特別控除のような感じで利率を年収に応じて改定するとか。そこも調整しないと単純に103万円を178万円に上げるのはちょっと乱暴」

サービス業(30代)
「全体的な経済効果との試算がリアリティーをもって見られないので示してほしい」

◆「103万円の壁」とは何か
年収「103万円」というのは、所得税が課されるかどうかのボーダーラインです。年収がこれ以上になると所得税が課されるため、アルバイトなどの勤務を控える人が出てきます。これを「103万円の壁」と呼ばれています。

国民民主党は、このラインを「178万円」に引き上げると訴えています。所得税の課税を気にせずに働けることで、結果的に「手取りを増やす」と訴えています。

「178万円」という金額は、およそ30年間での最低賃金の引き上げ率に基づいています。

◆課税ラインを178万円にすると
政府の試算では、所得税の課税ラインを「178万円」に引き上げることで、国の税収がおよそ7兆6000億円減るとされています。

◆「壁」となるのは所得税のほかにも
企業の規模によりますが、年収「106万円」または「130万円」になると、社会保険料を支払わなくてはならなくなり、手取り収入が減ってしまいます。

政府のホームページによると負担額は年収106万円の場合は約16万円、年収130万円の場合は約27万円です。所得税のボーダーラインを「178万円」に引き上げても、その前にさらなる壁があり、根本的解決にはならないことに。

自民党と国民民主党は、「103万円の壁」の見直しなどの経済対策について、週内にも協議を始めることにしています。

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