“エッグショック”再来への懸念 北海道では鶏4万4000羽の殺処分着手も価格への影響は限定的か…全国では過去最多ペースで価格上昇リスクも
北海道放送 / 2024年11月12日 20時41分
投光機で照らすなか、職員らが作業する現場。12日未明の北海道旭川市の養鶏場です。
高病原性鳥インフルエンザの陽性が確認され、北海道はただちに採卵用の鶏、約4万4000羽の殺処分に着手。
ウイルスのまん延を食い止めるため、時間との闘いです。
一方で、消費者にとっては卵の価格が気になります。
消費者
「(買うのを)ちゅうちょする時はある」「厳しいですね。家族が多いから」
猛暑の影響で卵の価格が上がる中、去年のような「エッグショック」が再来するのでしょうか。
鳥インフルエンザの影響を、もうひとホリします。
旭川市の養鶏場で進められている殺処分は、13日までかかる見込みで、12日午後2時までに約6割の処分を終えました。
今シーズン北海道内の養鶏場での発生は、先月の胆振地方の厚真町に続き2例目。
上川地方の養鶏場で確認されたのは、これまでで初めてです。
また、半径10キロ圏内にある4つの養鶏場からの鶏や卵の移動、出荷を禁止しています。
鈴木直道 北海道知事
「直ちに卵の流通や価格に影響を与えるものではない」
北海道内で飼育されている採卵用の鶏は約520万羽。
今回の殺処分の対象は、そのうちの1パーセントに満たず、北海道は、卵の価格や流通への影響は限定的とみています。
とはいえ、この夏の猛暑の影響で、本州の鶏の産卵数が減ったことで、卵の価格は上昇傾向。
追い打ちをかけるような、高病原性鳥インフルエンザの発生に札幌市の洋菓子店では。
菓子の樹 田中英雄代表
「ちょっとでも卵(の価格)が下がった。前の高いときよりは少し下がった。またどれくらい上がるんだろうと、それがちょっと心配」
北海道洋菓子協会の会長でもある田中さん。
小麦などの原材料も高騰する中、クリスマスシーズンを前にケーキ業界は苦しいと話します。
菓子の樹 田中英雄代表
「クリスマス(シーズン)に突入したら、値段はもう設定しているので変えられない。それでも(値上げをするなら)4月か5月くらいかな」
札幌市豊平区のスーパーです。
12日の卵の店頭価格は税抜きで199円。高止まりが続いています。
60代の客
(Q.卵の価格にいくらまで出せますか?)
「(10個)200円くらいかな。厳しいですね、家族が多いから」
50代の客
「10個300円までだったら…」
取材したスーパーでは、この2か月で卵の価格が約30円値上がりしていて、今回の鳥インフルエンザの影響を不安視しています。
キテネ食品館月寒店 中塚誠社長
「旭川の4万4000羽(殺処分)の報道を見て、何らかの影響は少しあるかなと思います。現状は2週間くらいは据え置いた形の相場でギリギリ頑張っている。ここから少しずつ上がってくるので、10円、20円、30円上がる可能性はあります」
卵の価格は、別の理由ですでに上がっています。
Mサイズ1キロ(約16個)当たりの卵の平均価格は去年、高病原性鳥インフルエンザの感染拡大や飼料高騰の影響で365円まで上昇しました。
今年1月には185円まで下がりましたが、西日本を中心とした猛暑の影響で産卵数が減ったことや、年末に向けて需要が高まったこともあり、11月は290円まで値上がりしています。
今年の養鶏場での感染は、北海道内では旭川市が2例目ですが、先月の厚真町は養鶏場としては過去最も早い発生でした。
今年の鳥インフルエンザについて北海道大学・大学院の迫田義博教授に聞きました。
北海道大学 大学院獣医学研究院 迫田義博教授
「(今年の)野鳥におけるウイルス検出のこれまでの状況を見ると、2シーズン前(2022年度)の時のように、野鳥からのウイルス検出も過去最大レベル。ということは、やはり養鶏場等での感染リスクも非常に高くて、約1700万羽の殺処分になってしまったシーズンのようなことが起こりうる可能性はある。それともう一つ大事なことは、野鳥からのウイルス検出は、あくまでも氷山の一角。例えば乙部町と道東で見つかっているから旭川はセーフとか、そういうことはなくて、すべての鳥を飼われている皆さんの対策が大事」
過去最多の発生となった2022年度は、全国で約1771万羽が殺処分されました。そのうち採卵鶏は約1671万羽です。
この時は卵の供給量が減り、2023年の5月から6月にかけてMサイズ1キロあたり365円まで価格が高騰しました。
今シーズンの殺処分は今回の旭川市を含めて約108万羽で、過去最多の2022年度に匹敵するペースということで、再びエッグショックが起こらないか懸念されています。
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