マチの顔・駅前に建ち並ぶ廃墟ビル20棟以上 落下物の危険にいたずらも…市民の心に暗い影「さみしい」一方で再整備計画で差し込む光
北海道放送 / 2024年11月15日 19時41分
なぜ、こんなことになっているのでしょう?JR釧路駅前に立ち並ぶ廃墟ビル、その数なんと20以上!
北海道釧路市で今、何が起こっているのか?ビルは今、どうなっているのか?街を蝕む影に迫ります。
依頼人(Kazuさん・40代・釧路市在住)
「苫小牧市の廃ビルの放送を見ました。釧路駅前にも廃ビルがたくさんあり、マチのイメージが悪くなっているので、調べて下さい」
苫小牧市の廃墟ビルとは、駅前にある旧サンプラザビルのことで、去年、もんすけ調査隊が報じた廃墟ビルだ。
しかし放送後、地権者との話し合いが進展し、2026年度には解体される予定だという。
そして今度は、釧路駅前にも廃墟ビルが乱立しているという知らせが届いた。
釧路市で一体何が起こっているのか?
調査員 中尾大輔
「ありました!ありました!あちらのビルが廃墟ビルになっています。壁紙が剥がれ落ち、建物の中は天井が崩れ落ちているようです。」
JR釧路駅の正面に鎮座する古びたビル。扉は固く閉ざされ、天井には大きな穴が…。
室内にはガラスや資材が散乱し、照明は錆びつき今にも落下しそうな状態。さらに…。
幣舞(ぬさまい)橋に続く北大通(きたおおどおり)には、7階建ての百貨店が無残な姿に。
調査員 中尾大輔
「見てください。あちらの屋根、既に落ちそうになっています。これは危ないです」
出入り口のガラスは粉々に割られ、建物の中には当時を偲ばせる物が今も放置されている。
そして、その別館までもが廃墟と化しているのだ。さらに駅の北側には…。
調査員
「こちらの9階建てのホテルは、丸ごと使われていないようです」
ほかにも廃墟と思われる建物が多数存在しており、駅周辺を調査しただけでも、20を超える廃ビルや廃屋らしき建物が。
この現状を、地元住民は、どう思っているのか?長年、釧路市のガイドを務める木村さんは…。
釧路観光ガイドの会 木村浩章会長
「非常に残念。廃墟ビルや壊れかけのビルは、景観上よくない。何かの形で変わってほしい」
さらに駅裏にある、かつての歓楽街…鉄北(てつほく)センターで今も営業を続ける唯一の店、居酒屋「鶴」の秋山さんは…。
居酒屋鶴 秋山貴美子店主
「さみしいにはさみしいですよね。駅前は人が歩いていない。スプレーで落書きされている。壊すには何億というお金だから、ここも古いから再開できない。電気もダメだし、水道もダメだから」
街の中心に広がる廃墟群…。それは釧路市民の心に暗い影を落としている。
この状況で行政は何をしているのか。釧路市を直撃した!
調査員 中尾大輔
「廃墟ビルはどうなっている?」
釧路市建築指導課 櫻井裕之課長補佐
「市では、適切な管理をしていない空きビルの所有者に、法に基づいた助言や指導を行っている」
釧路市の廃墟ビル群は、市が交渉を進めているが、所有者が負担する莫大な解体費用などから話が進まず停滞。
しかし今、その重い扉が、少しずつ開き始めたという。
釧路市建築指導課 櫻井裕之課長補佐
「市の助言や指導によって、建物の修繕や解体などの改善事例もある」
釧路市の中心部に位置する老舗百貨店「丸ト北村ビル」が、廃業から24年の時を経て、ようやく解体工事が始まり、年内にも解体を終える予定だ。
そして、10月の釧路市長選で当選した鶴間市長も…。
釧路市 鶴間秀典市長
「景観が悪くなっていることで地価が上がりづらくなっている。そういうビルや建物を壊すことによって、空き地が増えて遊休地を利用することができる。中心市街地を活性化していく手法を探っていきたい」
前向きに廃墟問題に取り組む姿勢を示している。
さらに釧路市には新たな追い風が…。
釧路市都心部まちづくり担当部長 青柳充保さん
「今ある鉄道を高架化して、車中心から人と公共交通中心の空間に変える計画を進めている」
釧路市では「釧路都心部まちづくり計画」を進めており、歩行空間の拡充やイベントスペースの設置など、駅周辺の再整備や中心市街地の活性化を目指している。
さらに2031年度に完成予定の「釧路駅の高架化」でも、さらなる中心市街地の活性化を期待しているのだ。
そして中心部の活性化は遠い未来の話ではない。
釧路観光ガイドの会 木村浩章会長
「北大通でも、ポツリポツリと新しい店が出来ている」
居酒屋鶴 秋山貴美子店主
「少しずつ店が出来ています」
釧路市の中心部には、新たな店が続々とオープンしているという。
中心市街地にケーキ店をオープンさせたオーナーは…。
ケーキ店「jiri」オーナー
「僕らは釧路生まれ釧路育ちで、今は廃墟だけど僕らが子どものときは北大通をマチと呼んでいた。『もう一度復活させたい』思いでお店を立ち上げました」
ケーキ店「jiri」店員
「北大通で店をやっていて、まだまだ可能性があると感じている」
釧路市は今、廃墟の陰から、新たな光が差し込み始めているのだ。
調査結果です。
釧路駅周辺の廃墟ビルは、釧路市が鋭意、解体や修繕を交渉中とのことです!
実は釧路市には、こんな狙いがあるようです。
釧路市の人口は、1981年の23万人をピークに年々減少し、現在は15万人にまで減っているんです。
そこで、また中心部を活性化させて、将来的には、マチを小さく「コンパクトシティ」にしたい考えがあるようです。
その一方で最近、若者が北大通に戻ってきているという流れがあり、また昔の様に盛り上げたいという気持ちから新たに店をオープンさせる人が多いようです。
既に夕張市などは、コンパクトシティに移行しています。
人口減少は、どのマチでも頭を抱える問題なので、どの様に進めていくか今後の自治体の手腕が問われる所。
もんすけ調査隊では視聴者の皆さんのギモンや地域の問題について調査していきますので、ぜひ、投稿をお寄せください。
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