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「私たちを人間として扱ってほしい」やまぬ爆撃、家族との別れ…ガザ脱出の友人を探し記者がエジプトへ「戻りたいけど誰も戻れない」【脱出者が語る惨状】

北海道放送 / 2025年1月18日 9時45分

平和はいつ訪れるのか。2023年に始まった、イスラエル軍によるガザ地区への攻撃は今も続き、死者は4万人を超えています。

HBC北海道放送の記者が、ガザ地区から脱出した人を取材し、その惨状を聞きました。

■ガザの友人が避難したエジプトを訪ねると…

HBC報道部の記者である私(金子将也24歳)は、パワーリフティングの世界学生大会で知り合ったパレスチナ代表のアブデさん24歳と、戦闘開始からこれまでオンラインでやり取りをしてきました。

・アブデ スカイクさん(24)2024年4月
「ガザでの暮らしはとてもつらかった。毎日多くの人が病気で亡くなっていた」

去年4月、アブデさんは父親と隣国のエジプトに避難しました。

私はエジプトであれば直接話を聞けると思い、現地に向かいました。

・金子将也記者2024年12月エジプト
「金子記者・カイロに着きました。気温は13度ぐらいですね」

札幌からおよそ9000キロ。ガザ地区と国境を接するエジプト。ガザ地区から10万人以上が避難していると言われています。

・金子記者(2024年12月)エジプト カイロ
「モハメド!」

そこにいたのは、これまでアブデさんへの取材で通訳をしてくれたモハメドさん24歳です。アブデさんの姿はありませんでした。

・金子記者
「アブデは今どこにいるの?(Where is Abd?)」

・モハメド アタラさん(24)
「彼はカナダにいる(He’s in Canada right now)」

アブデさんは去年10月、エジプトを離れ、姉が住むカナダへ移り住みました。

私はアブデさんとの再会は果たせませんでしたが、ガザで生まれ育ったモハメドさんが、現地の悲惨な状況を教えてくれました。

■死が隣り合わせのガザ地区「君のお父さんは亡くなった」

去年5月、パレスチナのガザ地区に住んでいたモハメドさんは知り合いにブローカーを手配してもらい、エジプトへ避難することができました。

・モハメドさん(24)
「やっとガザ地区の南部に移動ができた。(I crossed it finally here now)」

「5月6日、ラファ検問所が閉鎖する30分前にエジプトに脱出できた。午後3時半に脱出して、午後4時に閉鎖した。(I came in 6th of May.I get out of Gaza in last 30mins.I went out of Gaza at 3:30pm,and 4pm,crossing Rafah was closed)」

「両親は連れて行くことが出きなかった(I couldn’t take my mom or dad with me)」

この時、脱出の手配ができたのは、モハメドさん自身のみで、両親や兄弟はガザ地区にとり残されました。

11月、エジプトに住むモハメドさんのもとに突然のメッセージが届きました。

・モハメドさん(24)
「甥が父親のことでメッセージを送ってきたんだけど(My nephew sent me a message about him)」

「『君のお父さんは亡くなった』と言われ、嘘かと思い、とても感情的になった。(He told me that I’m sorry,your dad died.When I listened to this,I was like no you’relying.I got so emotional)」

「私にとって父親はすべてだった(My dad was everything was for me)」

父親のマムードさん(63)は食料不足などで持病が悪化。酸素ボンベが必要不可欠でしたが、酸素を供給する病院が爆撃を受けました。

7人兄弟の末っ子として生まれ育ったモハメドさん。小さい頃からイスラエルの空爆の中で生きていたと話します。

・モハメドさん(24)
「小さい頃、戦闘で学校がなくなると喜んでいた。(When the war happens,we were like no school)」

「しかし、大人になって実際に起こっている現実を目の当たりにした後、理由もなく人々が殺されていることに気づいた。(After we grew up and saw the pain that actually happens, we realize that people just die with no reason)」

■エジプトで人生を立て直すモハメドさん
わたしたちが、次に向かったのはカイロからおよそ200キロ離れたアレクサンドリア。地中海に面した都市でモハメドさんは暮らしています。

・モハメドさん
「鶏の胸肉を使った料理。たまねぎ・黒コショウ・スパイスなど」

自宅ではほぼ毎日、ガザ地区地区の料理を作ります。

モハメドさんはエジプトの造園会社で働いています。去年結婚し、今年には第一子が生まれます。

・モハメドさん
「男の子が生まれたら父親の名前をつけるよ(I’m gonna name my son as my father’s name)」

母親や兄弟はガザ地区に残されていて、心配はつきません。

・モハメドさん
「私は家族を置いてきたことに罪悪感を感じている(I feel guilty and I left them there)」

「時々、避難せずに残ればよかったと思うこともある(Sometimes I say I shouldn’t have left.I should have stayed)」

■ガザから世界へ「私たちを人間として扱ってほしい」

取材中、ガザ地区にいる母親のワファさんと電話がつながりました。

・金子記者
「今難しいことは?(What’s the hardest thing now?)」

・モハメドさんの母親
「私たちは戦車や軍隊に囲まれていて、今、外に出たとしたら、爆撃によって死亡するかもしれない。食料も支援からしか得られない。(We are surrounded by tanks and army.There is no food or any other source for the food except the aid)」

記者の私は、なにも助けられない自分に情けなさを感じました。

我々になにができるかと、母親に問いかけました。

・金子記者
「世界へのメッセージは?(Does she have a message for the world?)」

・モハメドさんの母親
「私たちを人間として扱ってほしい。停戦のために助けてほしい(I hope that the world consider us like human and we have value and help us for a ceasefire)」

■車で8時間で会える距離…戻りたいけど誰も戻れない

・モハメドさん(24)
「ガザはあそこだ。この海はガザとつながっている。車で8時間で会える距離だが、会えないのが辛い(It’s that way. We’re sharing the same sea with Egypt and other countries. Just 8hrs,can you imagine that just 8 hours,I can be next to my family)」

・金子記者
「ガザ地区に戻りたいか?(Would you wanna go back?)」

・モハメドさん
「戻りたいけど誰も戻れない。(I wish.But?No one is able to)」

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