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51年ぶりに積雪ゼロの自治体も…北海道の“暖冬小雪”で土壌凍結?作物に影響も、ビニールハウス栽培では野菜の生育早まる

北海道放送 / 2025年1月27日 20時47分

1月27日の札幌市の最高気温は4℃まで上がり、9日連続でプラス気温となりました。

また積雪は22センチで、これは1月下旬としては42年ぶりの少なさです。

帯広市立稲田小学校 鈴木宏和 校長
「30年以上教師やっているが、初めての経験」

さっぽろ羊ヶ丘展望台 齋藤圭介 副支配人
「チューブすべり台の状態が、あと3日持てばいいぐらい、ボロボロな状況になっていて…」

1月下旬なのに雪が少ない北海道内。異例ともいえる暖かさの影響を深堀りします。

雪遊びをする子どもたち
「楽しい!」「すべり台とか雪だるまとか、道具が使えてうれしい」

札幌市豊平区の羊ヶ丘展望台では、1月から冬のアクティビティを楽しむイベントが始まっていますが…。


さっぽろ羊ヶ丘展望台 齋藤圭介 副支配人
「(イベントが)本当ににスタートできるのかと、ヒヤヒヤするぐらい雪が少ないなと思った」

オープン翌日に何とか完成した、こちらのチューブすべり台。

暖かさの影響で、すべり台が傷み始めたため、24日、さっぽろ雪まつり会場の大雪像を作る際に出る「けずり雪」をもらってきて補修しました。

さっぽろ羊ヶ丘展望台 齋藤圭介 副支配人
「土日は客も多いので、たくさん滑って、たくさん壁に激突して、こんな感じになっていると思うけど、また補修が必要ですね」

一方、帯広市の小学校では…。

この時期、校庭にあるはずの「スケートリンク」がありません。

帯広市立稲田小学校 鈴木宏和 校長
「この時期グラウンドにリンクがあるのが、十勝の学校らしいので、ちょっとビックリ」

1月27日の帯広市の積雪は、平年の2割にも届かず、1月23日の時点では、1月下旬としては51年ぶりに積雪ゼロとなっていました。

この状況を受け帯広市教育委員会は、リンクの土台になる雪が足りなく、スケートリンクが作れないとして、市内の小中学校と義務教育学校、あわせて24校でスケート授業の中止を決めました。

帯広市立稲田小学校 鈴木宏和 校長
「(中止は)本当に苦しかったし、楽しみにしている子も多かったので、大変残念だけれども、しかたない…」

雪の少なさで、十勝地方でとれる農作物にも影響が…。

秋に種をまき、春から夏にかけて収穫する「秋まき小麦」です。

十勝地方の作物の生育状況などを調査する農業改良普及センターによりますと、本来、雪が「保温材」の役割を果たすため、土の凍結が浅く、寒さから小麦を守ってくれますが、その雪が2025年は1月中旬までほとんどなかったため、土の中の凍結が、例年以上の深さになっているそうです。

十勝農業改良普及センター 三上泰史 主任普及指導員
「今年は雪が少なかったことで、麦がずっと外にさらされているような状況だった。(小麦の)葉の色がくすんでいることで、人に例えると少し体力が落ちている可能性がある」

こうした状況は、小麦だけではないといいます。

十勝農業改良普及センター 三上泰史 主任普及指導員
「秋まき小麦のほか、越冬して収穫していく作物については、土壌凍結等の影響がみられる可能性があります」

普及センターでは、土が凍っている深さなど「土壌凍結の状況」について、農家に情報提供していくということです。

しかし、この暖かさと雪の少なさは、悪い影響ばかりではありません。

「収穫作業」真っ最中の伊達市の農園です。

冬の間、ビニールハウスでホウレン草やフリルレタスなどの葉物野菜を栽培していますが、2025年は気温が高く、野菜の生育が早いと言います。

若松農園 若松航洋さん
「(月ごと)順番にとれるように、ハウスに順番に植えているが、あとに植えた野菜が、早めにとれるようになっていると思う」

伊達市は道内でも比較的、温暖な気候のため、冬でも暖房を使わずにハウス栽培ができますが、ここ最近はハウス内が暑くなりすぎるため、ビニールを開けて作業しています。

若松農園 若松航洋さん
「このまま2月も暖かい日が続けば、春の野菜も早く取れることがあるかもしれない」

季節外れの暖かさはいつまで続くのか。ここからは気象予報士の児玉晃さんに聞きます。

Q.2025年は例年よりも雪が少なく、気温が高い傾向にあるが、何が原因なのか?

A.ずばり偏西風の流れです。

偏西風(ジェット気流)が、平年だと本州の南を流れて、北海道付近は西高東低の冬型の気圧配置になり、北からの寒気にすっぽり覆われます。

しかし、2025年1月は…

偏西風が大きく蛇行したため、低気圧が次々と通過するかたちになっています。

そのため西高東低の冬型の気圧配置が続かず、寒気の影響が弱かったため、雪が少なく気温が高くなりました。

太平洋側で雪が降る原因は低気圧の影響ですが、偏西風が本州方面で南に蛇行しているため、低気圧は本州方面に進み、北海道付近に近づきませんでした。

この2つの要因が、気温が高く、雪が少なかった理由です。

Q.このまま春を迎えるのか。今後の見通しは?

A.このまま春を迎えるということにはいきません。

今後も冬型の気圧配置は弱いため、気温は高めになりますが、偏西風の蛇行は緩やかになるため、低気圧の影響を受けやすくなるんです。

例年の2月、3月は湿った雪で“ドカ雪”になる時期ですから、3月ごろまでは湿った大雪には注意してください。

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