乗客の異変に「こんな時間に振り込み大丈夫ですか」とっさの声かけで詐欺被害を防いだタクシー運転手(57）、実母に続いて“被害防止”2度目

感謝状を受け取った尾方宝蔵さん（左）、札幌南警察署・野中稔蔵署長（右）

2024年12月、札幌市南区で、57歳のタクシー運転手の男性が、乗客の高齢女性の詐欺被害を防いだとして、警察から感謝状が贈られました。被害を防いだ背景には、女性の異変に気づいた運転手のとっさの声かけがありました。

2024年12月3日夕方、札幌市南区でタクシーに乗車した70代女性は、運転手に「銀行に連れて行ってほしい」と告げました。

その際、女性は「指示されている」と説明したことから、運転手は異変を感じ「こんな時間に振り込み大丈夫なんですか」と声をかけると、女性は「30万円分の未納料金を振り込まないといけない。着いたら電話で指示される」などと話し始めました。

運転手は詐欺事件と判断し、すぐに警察に通報。女性は被害を免れました。

警察によりますと、女性は「クラウドファンディング」という通信会社を名乗る男から電話があり、「30万円を振り込んでください」と指示されていたということです。

警察は、詐欺被害を防いだとして22日、札幌市西区に住むタクシー運転手、尾方宝蔵さん（57）に感謝状を贈りました。

実は、尾方さんは、自身の母親の詐欺被害も防いだ経験があり、今回の女性の異変にもすぐに気づいたということです。

札幌南警察署の野中稔蔵署長から感謝状を受け取った尾方さんは「正直言って、この程度のことでもらっていいのか。当たり前のことをやっている感じです。知らない人には逆に相談しやすいということもあるので、誰も相談できる人がいなかったらタクシー運転手にでも相談してほしい」と話しています。

北海道警察によりますと、2024年の特殊詐欺事件（暫定値）の被害件数は198件と前の年に比べて38件増加していて、被害金額は約7億6730万円に上っています。