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極寒の地で甘ーく育つ葉物野菜“ケール”青汁でお馴染みの独特の苦みとエグ味はどこへ?農家を助ける北海道産のブランド冬野菜の誕生か

北海道放送 / 2025年2月3日 19時14分

北海道の食を深堀りして、その価値を考えるシリーズ「食の未来を考える」。

真冬の寒さが特に厳しい北海道上川地方で、苦~いイメージの野菜が大変身。

新たなブランド野菜誕生への取り組みを追いました。

縮れた葉っぱは、青汁の原料でもある葉物野菜『ケール』。苦い味のはずですが…。

試食する谷本洋記者
「噛むと甘みが出る、苦みエグ味はない」

初めて食べた人は…
「ケールを食べたことがなかったので、こんなにおいしいんだなと。レギュラーメニュー化してほしい」

秘密は、画期的なこのビニールハウス。冬場にあるはずの"あの"設備が、ありません。

寒さが厳しい土地で、常識を覆す野菜栽培に注目です。

Ygeia(イギア)吉村栄佑代表
「一人前で結構な量なんですけれど、全部入れちゃいます」

真冬の北海道旭川市中心部の屋台村で、期間限定で行われた『ケール』を使ったフェア。

『ケール』は、キャベツなどの原種とされる葉物野菜で、ヨーロッパではよく食べられています。

しかし、日本では独特のエグ味や青臭さのため、青汁の原料のほかは、ほとんど普及していません。

Ygeia(イギア)吉村栄佑代表
「完成です。オリジナルメニューです」

試食する谷本洋記者
「ケールの歯ごたえがしっかりしていて、甘さもちゃんと残っている」

青汁のイメージとは違い、適度な甘みもあって、サラダにもよく合う『ケール』。

実は、真冬に地元・旭川市で収穫されたものなんです。

Ygeia(イギア)吉村栄佑代表
「一度食べたときに、茎までおいしかったので、一口大に切って、そのまま(食感を)楽しんでもらえたらと開発した」

開発の現場は、あのブランド米『ゆめぴりか』を生み出したことでも知られる、上川農業試験場です。

谷本洋記者
「外は一面の雪景色ですが、ハウスの中に入ってみます。ケールが青々としています」

でも、冬のハウスにありそうな設備がありません。そう、暖房がないんです。

時には、マイナス20度を下回る気温になる、極寒の上川地方で、どうして暖房がないのに、野菜を育てられるのでしょうか。

上川農業試験場 精算技術グループ 野田智昭研究主査
「(ハウスの)外張りが二重で、内張があるという構造 。(ケール周辺)2℃から3℃くらいあると思う。(外が冷えると)もちろん中も冷える」

ハウスは、外側は二重構造、内張りもあり、さらに、トンネルの中で栽培することで、日中に太陽で温まったハウスの内部を、極力冷えないようにしています。

谷本洋記者
「外側が1層のハウスの中にも同じケールが植えてあります。よく見ると『ケール』が少し小さいように見えます」

新たな発見もありました。

上川農業試験場 精算技術グループ 野田智昭研究主査
「冬に栽培すると、ケール独特のえぐみ、青臭みが本当になくなる。甘みが本当に乗ってくるのも驚いた」

『ケール』は、寒さに負けないために、水分を減らし、糖分を蓄積。その結果、サラダにしても、日本人の舌にあう野菜に仕上がったのです。

そこで上川農業試験場は去年、『ゆきあまケール』としてブランド化。

今シーズンは葉物野菜が高騰するなか、暖房代ゼロで、流通経費も安い地元の"冬野菜"に、野田さんは、十分な競争力があると自信をのぞかせます。

旭川市の野菜農家、守屋大輔さんは、冬場に出荷するホウレンソウに加え、昨シーズンから『ケール』の栽培を始めました。

独自に栽培研究も重ね、地元スーパーだけでな、北海道外にも出荷しています。

守屋農園 守屋大輔代表
「栽培作物を守るために、暖房を使うことは一切していない。(暖房の)燃料代はかかっていない」

夏場は主にトマトを栽培している守屋さんは、冬野菜の栽培を始める前は、旭川市内でアルバイトで仕事をする生活を送っていました。

守屋農園 守屋大輔代表
「一年中、農業をやったほうが自分の力になると思った。アルバイトをやっているときに比べたら(収入は)ぐんと上がった」

旭川市中心部の『はれて屋台村』で、無農薬野菜などを使ったカレーなどを提供する吉原栄佑さん。

去年の末に、期間限定で『ケール』を使ったメニューを提供しました。

Ygeia(イギア)吉村栄佑代表
「旭川で店を構えている僕からすると、旭川でとれたものを旭川で、自分のお店で消費したい。すごくいい経験になったし、これからも継続してチャンスがあれば(ケールを使ったメニューを)提供していきたい」

極寒の大地から新たなブランドへ―。新野菜『ケール』の期待が高まっています。

堀啓知アナウンサー
「暖房無しで栽培できて、しかも甘みも出ていいことばかりですね」

森田絹子アナウンサー
「そうなんです。ケールは青汁などの原料でもあって、栄養価も非常に高いわけなんです」

【ケールとブロッコリー比較】
野菜の中でも栄養価が高いとされているブロッコリーと比べても…

・カルシウム=3.9倍

・β‐カロテン(ビタミンA)=4倍

・マンガン=4.4倍

森田絹子アナウンサー
「取材した野菜農家の守屋さんも冬は虫も出ないし、病気の心配も少ない。そして成長が止まっているため一気に急いで収穫する必要がないなど冬栽培ならではのメリットもお話しされていました」

堀啓知アナウンサー
「守屋さんの農園では、今後規模を拡大して、夏場だけに採用している従業員(約10人)を全員、通年雇用したい、とも話していました」

今後、北海道産の冬野菜として『ケール』が、食卓に普及していく可能性は、十分にありそうです。

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