無許可で施設を作った民間動物園『ノースサファリサッポロ』は今後どうなる?なぜ違法状態のまま20年にわたって営業ができたのか…動物園と札幌市の主張を検証
北海道放送 / 2025年2月6日 19時29分
◇《市から施設の撤去を求められる民間動物園》
中原達也記者
「ノースサファリサッポロ、きょう6日は平日ということで、スノーモービルなどアクティビティのみの営業なのですが、多くの観光客が朝から訪れています」
この民間動物園『ノースサファリサッポロ』が今月、札幌市から施設の撤去を求められていることが、明るみにでました。
ノースサファリサッポロ運営会社 社長
「市街化調整区域とか、そういうことに知識不足と認識の甘さがあった」
市街化調整区域に無許可で施設を作り、20年間、営業を続けていたんです。
運営会社と札幌市の双方の主張は?そして、動物園は今後どうなるのでしょうか。
◇《今や人気観光施設…しかし違法状態のまま20年営業》
2005年に札幌市南区でオープンした民間動物園『ノースサファリサッポロ』。
約150種類の動物を飼育し、過激な体験ができる動物園として、地元の観光協会も紹介するなど、北海道内外に知られる観光名所となりました。
問題となっているのは、この施設が作られている場所。札幌市の“市街化調整区域”に指定されている土地です。
“市街化調整区域”とは、自然を保全し、無秩序に市街地が広がるのを抑えるために決められた区域で、原則、建物を建てることは許可されていません。
建築のためには、市の許可が必要です。
しかし『ノースサファリサッポロ』は、札幌市に許可を受けないまま、施設を作り始めたため、市は開業前の2004年から、施設を撤去するように、行政指導を繰り返してきました。
◇《行政指導になぜ応じなかったのか…札幌市は?》
なぜ、撤去に応じなかったのか。運営会社の社長が、HBC北海道放送の取材に答えました。
ノースサファリサッポロ運営会社 社長
「(市街化)調整区域の周囲に建造物が多数あって、それで事業をやっている人も見かけられたから、認識が甘くて、こういった経緯になったことが原因」
一方、札幌市は、どう対応してきたのでしょうか。
札幌市開発指導課 坪田修一課長
「いまの違法状態を黙認していたつもりはありませんので“除却(=撤去)していきなさいよ”とは言わせていただいていたつもりです」
“市街化調整区域”で動物園を営業することは可能なのでしょうか?行政の許可申請に詳しい専門家に尋ねました。
はしもと行政書士事務所 橋本啓太 行政書士
「原則的に、許可は出ない形にはなるけれど、建物の用途などによって、許可が取得できる可能性は十分にあると思う」
「市が十分に協議を行った上で許可を出すので、書類のやり取りなどで、かなり時間が要する許可になると思う」
◇《飲食や宿泊の営業許可は下ろしていた札幌市》
『ノースサファリサッポロ』は、施設を増やしながら20年にわたって営業を続け、その間に札幌市は、飲食や宿泊に関する営業許可を出していました。
はしもと行政書士事務所 橋本啓太 行政書士
「それぞれの法律で許可などを出すので、それぞれ許可で定められた基準や欠格条項に該当しない限り、行政側も許可を出さざるを得ない」
「縦割り行政で許可を出しているので、他部署間の連携はもうほとんどないという形になるので、今回のような事例が発生したんではないかなと…」
そして、新たな問題も浮上しています。
去年11月に『アザラシと泊まれるコテージ』がSNSで話題になると“動物虐待ではないか?”などの苦情が、札幌市に500件ほど寄せられ、保健所が立ち入り調査しました。
◇《全建物を撤去する命令を検討中…飼育中の動物は?》
現在、札幌市では、法律に基づき、施設にある約150の建築物を全て撤去する『除却命令』を検討しています。
札幌市開発指導課 坪田修一課長
「都市計画法上、違法とはいえ、いま『ノースサファリサッポロ』は事業活動を行っている中で、行政処分をすると、相手にとって、一部不利益な状態を起こす場合もある」
「そこは慎重な判断がいるのではないかなと(考えている)。まずは違法状態の解消で、動物に配慮した形で、建物を撤去してもらうのが市の考え」
5日、運営会社の社長は、施設の撤去に応じる姿勢を示しました。
ノースサファリサッポロ運営会社 社長
「(運営上)別に無くても大丈夫なものから、撤去を始める話はした」
「まずは違法状態を無くすため全力でやっていくため、市と話し合いながら少し時間をもらうのはあるが、きちんとした形で全力で応えていきたい」
違法状態が20年続く今回のケースに、行政書士の橋本さんは…。
はしもと行政書士事務所 橋本啓太 行政書士
「うまく(行政)指導がいかないと、どんどんどんどん今回みたいに違法建築が建っていくことにもなる」
「そうなる前に強制力のある行政処分『除却命令』を早めに発出する必要があったのではないかと」
◇《スタジオ解説》
堀啓知キャスター)
オープンから20年が経って、開業当時からの問題が明るみに出てきました。
札幌では有名なレジャー施設ですから、今になって、こうした問題が出てきたのは驚きです。
問題の根本にある“市街化調整区域”とはどんな場所なのでしょう?
◇《市街化調整区域には約2000棟もの違法建築物》
森田絹子キャスター)
“市街化調整区域”は、自然や農地を守るため、無秩序な市街地の拡大を抑制する地域です。
原則として、許可を得ない建築行為が規制されています。
札幌市の全面積の3割弱が“市街化調整区域”です。
札幌市内の“市街化調整区域”には、今回問題が明らかになった『ノースサファリサッポロ』をはじめ、約2000棟の違法な建築物があり、札幌市が撤去を求めています。
規制に該当する建物には、プレハブハウスや東屋、物置なども含まれています。
◇《違反している場合はどうなるのか?》
違反した建物は、建築主が自らの責任で、撤去などの是正をする必要があります。
今回のケースは、札幌市が撤去を求める行政指導をしていて、今後、都市計画法に基づいて建物の撤去を命じる『除却命令』を出すかどうかを現在、検討をしている段階です。
そして『除却命令』に違反した場合です。
違反者に対しては、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
それでも是正されなければ『行政代執行』となり、行政側が建物を強制撤去することもあり得ます。
堀啓知キャスター)
『ノースサファリサッポロ』に関しては、過去にこの番組でも紹介してきましたが、今回、明らかになるまで無許可で建設されたことは、HBCとして把握できていませんでした。
今後、この問題がどう解決されていくのか、取材を継続して、お伝えしていきます。
外部リンク
- 「全力で応えていきたい」札幌市が施設の撤去命令を検討中の『ノースサファリサッポロ』 運営会社の社長が取材に対し、園の建物や看板などを撤去する考えを示す
- “日本一危険な動物園”で知られる民間動物園 無許可で施設を建設して20年 札幌市が繰り返し指導するも是正されず、事実上の“閉園命令”検討へ
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