免疫細胞の遺伝子を変えるがん免疫療法、米国で初承認! がん治療の歴史が変わる?

ヘルスプレス / 2017年8月2日 8時0分

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免疫細胞の遺伝子を変えてがん治療(depositphotos.com)

 7月12日、FDA(米食品医薬品局)の諮問委員会は、ノバルティス社とペンシルベニア大学が共同開発し、米国初となる遺伝子治療の生物製剤の承認を満場一致で勧告した。

 この生物製剤は、B細胞性急性リンパ性白血病(ALL)に対するがん免疫療法であるキメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞(CAR-T)療法で活用される「CTL019」と呼ばれる。

 近々、FDAが勧告を承認すれば、遺伝子治療の新たな地平が大きく開かれ、がん免疫療法に一大ブレークスルーや画期的なパラダイムが起きる可能性が高い。

 時間の針は少し遡る。今回のCAR-T 細胞を用いた初の国際共同治験である第II相試験の結果、CAR-T 細胞を輸注した患者の 82%(50名中41名)が、「CTL019」 輸注の3カ月後に、完全寛解または血球の完全な回復を伴わない完全寛解を達成した。

 この成果を受けて、4月 12日、ノバルティス社は、CAR-T療法の生物製剤「CTL019」の承認をFDAに申請。FDAは、「CTL019」を優先審査品目に指定したため、審査期間の短縮が図られ、スムーズに勧告に至った。

寛解率は良好だが、高額の治療費や重篤な合併症のリスクも!

 このCAR-T療法の流れはこうだ。

 まず、認定を受けた医療施設で患者から数100万個の免疫細胞(T細胞)を採取し、凍結する→このT細胞をノバルティス社の研究室で解凍し、キメラ抗原受容体(CAR)というタンパク質を作るように遺伝子を改変する→この遺伝子改変によって、T細胞はALL (B細胞性急性リンパ性白血病)細胞を見つけやすくなり、がん細胞を死滅させるようにプログラムされる→プログラムされたT細胞は再び凍結された後、医療施設に返送され、点滴静注で患者の体内に戻される。

 米ペンシルベニア大学のCarl June氏によると、このT細胞はわずか1個で10万個ものがん細胞を死滅させることから、再発したり、他の治療が奏効しない患者(3~25歳)でも、わずか1回の治療で長期寛解を得られるメリットがある

 米国ではB細胞性急性リンパ性白血病(ALL)に年間5,000人が罹患し、その約60%(3,000人)が小児または若年成人だ。患者の85%は標準治療で治癒するものの、15%は治療が無効になるか、再発する。

 「CTL019」の承認を支持しているDon McMahon氏は「息子のConnorが3歳でALLを発症してから12年もの間、耐え難い苦痛を伴うさまざまな治療を受けてきたが、この新治療を受けてからは順調に回復し、米デューク大学でホッケーをできるまで回復した」と語る。

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