「ウルトラマンメビウス」でのゲン再演 脚本手直しで生まれた名シーン…ウルトラマンレオ50周年 真夏竜インタビュー〈5〉
スポーツ報知 / 2024年6月21日 12時0分
1974年4月から翌75年3月まで放送された人気特撮ドラマ「ウルトラマンレオ」が今年、50周年の節目を迎えました。それまでの「ウルトラマンシリーズ」とは一線を画し、獅子座L77星の出身で、人間ドラマに比重を置いた作風となっています。「―レオ」をもって、71年の「帰ってきたウルトラマン」から始まった「第2期ウルトラマンシリーズ」は終焉を迎えましたが、今回、スポーツ報知では主人公のおゝとりゲンを演じた真夏竜(74)を取材、半世紀を経ての思いなどを聞きました。このインタビューを全6回の連載としてWEBのみ掲載します。(文中敬称略)
2006年放送の「ウルトラマンメビウス」第34話「故郷のない男」(脚本・赤星政尚、監督・小原直樹)での、おゝとりゲン再演。この時、真夏は56歳だった。
「―レオ」の第1話「セブンが死ぬ時!東京は沈没する!」(脚本・田口成光、監督・真船禎)で、双子怪獣のために海中に没してしまった黒潮島。その島民の慰霊碑の前で手を合わせる姿でゲンは登場する。
「最初の台本は、ゲンが簡単、というか、普通に再登場するみたいな感じだったんです。それでプロデューサーにお願いして、少し手直ししてもらったんですよ。レオの最終回からゲンが過ごしてきた30余年を考えると『こうじゃないな』と。僕はいいけど、ファンが納得しないんじゃないか? と。30年もの間、ゲンは一体何をしていたのか。それを感じさせるようなものにしたかったんです」
役者が脚本に注文を付ける―ともすれば「扱いにくい役者だ」との評判を呼ぶことにもつながるが、「どうしても譲れなかった」と真夏は振り返る。
自らがモロボシ・ダンに鍛えられたように、ヒビノミライ(=メビウス)を鍛え、最後は共にリフレクト星人を倒した。そして、物語はゲンの満面の笑みで終わる。
「(小原直樹)監督から『真夏さん、最後は笑顔で、満面の笑みで行きましょう』と言われたんですが、今さらそんな顔できない(笑い)。『ちょっとニコッとするくらいかな』と言うと『分かりました』『よーい、スタート。はい。OKです』。でも『もう1回、キープ【注】のため、笑みを作って下さい』と言われたんで、一生懸命に笑ってみたんだけど、それを使われたんです(笑い)。あれは思い出に残る、いい作品だと思います。ダン隊長に言われた言葉(その顔は何だ! その目は何だ!…)をメビウスに投げかけてもいるし」
「―レオ」の放送をリアルタイムで視聴していた子供たちが父親となり、子供連れで真夏に対面する機会があった。「ほら、おゝとりゲンだよ」と、DVDなどで「―レオ」を見ている子供に言っても「ぽかん」とするばかり…。
「夢を壊しちゃうかな、という感じがあった。そりゃそうだよね。20代の時に演じていたんだから、こんなおじさんを見ても、ボクがおゝとりゲンとは思わないよね。でも『―メビウス』に出演してからは、そういう反応はなくなったかな」
(協力・円谷プロダクション)=22日に続く=
【注】完全なOKカットではないものの、念のために撮影したカットを保存すること。
◆ウルトラマンキングが初登場 本作ではレオの双子の弟であるアストラ(第22話)、ウルトラ族の伝説の超人であるウルトラマンキング(第26話)が初めて登場した。アストラはL77星が滅びた際に瀕死の重傷を負い、マグマ星人に捕らえられたが、後にキングに救出される。レオのピンチの際に地球に現れ、兄と力を合わせて兄弟怪獣(ガロン、リットル)に立ち向かった。キングは誰も見たことのない伝説の超人―として作中で描かれ、26話の「日本名作民話シリーズ!ウルトラマンキング対魔法使い」で怪獣人プレッシャーに苦戦するレオの前に姿を見せた。
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