1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. 野球

「とにかく大変」ONの後打つ巨人「最強5番」 心に残る2本の満塁弾 長嶋監督の前で

スポーツ報知 / 2024年6月19日 5時0分

76年6月8日の阪神戦で末次(中央)が逆転サヨナラ満塁本塁打を放ち、長嶋監督(90)に出迎えられる

 巨人球団創設90周年記念の連続インタビュー「G九十年かく語りき」の第6回は、V9時代にONの後を打ち「最強の5番打者」として大きな存在感を発揮した末次利光さん(82)だ。大舞台になるほど光る勝負強さで魅了した一方、不慮の事故で選手生命を絶たれた悲運のスラッガーでもあった。現役時代は感情を表に出さないスタイルを貫いた男が、押し隠していた「喜怒哀楽」を語る。(取材・構成=湯浅 佳典、太田 倫)

 ◆71年10月16日・日本シリーズ第4戦 巨人7―4阪急(後楽園)

 【VTR】3回2死満塁で、末次は王敬遠後の初球を左越え満塁弾。末次はシリーズ通算19打数7安打7打点でMVP。

 「5番」っていうのはとにかく大変な場所ですよ。僕の場合、あまりにもONという2本柱がデカすぎたから。ただ、逆に2人をランナーに置いて打った時っていうのはね、これはもう別の快感があるわけです。まっとうできたというのは現役生活の喜びだけれども、特に深く残っているのは、やっぱり2本の満塁ホームランかな。

 1971年の阪急との日本シリーズ第4戦で足立光宏さんから打った一発には、伏線があった。シーズン終盤に阪急が1週間ほど偵察に来ていて、僕はその時期、内角の球にことごとく詰まって、全然打てなかった。これは、本番でも絶対に内を攻められる。だから、シリーズ前に内角打ちの名人だった山内一弘コーチに徹底的に指導してもらった。

 球を引きつけ、肘を体に巻き付けるようにして腰の回転で打つ。「120メートルも130メートルも飛ばさなくても、十分フェンスは越えるんだ」と言われて、打撃投手相手に1週間みっちりやったね。本番で打ったのは内角低めの変化球。見事にハマって、してやったりですよ。

 ◆76年6月8日・阪神戦 巨人4―2阪神(後楽園)

 【VTR】0―2で迎えた9回2死、王四球で満塁となり、打者・末次。カウント2―2から左腕・山本和の内角速球を捉え、左翼席へ弾丸ライナーで運んだ。

 もう1本は、長嶋監督が初優勝した76年6月8日の阪神戦。山本和行から打った逆転サヨナラ満塁ホームランだった。喜びより驚きもあって、どうやってダイヤモンドを一周したかも覚えていない。直前に王さんが四球で歩かされて、あきらめて帰ったお客さんも多かった。その人たちはきっと、水道橋の駅に向かっている途中に大歓声を聞いたはずです。

 長嶋監督がホームのところで大喜びで両手を広げて待ち構えていた。カメラマンが、グラウンドになだれ込み、三塁線上のところまで来ていた。僕はそれをよけながらホームインする…。翌日はミスターの大喜びする姿が新聞を飾っていた。ミスターは絵になるから、しょうがないよねえ。

 ◆末次 利光(すえつぐ・としみつ)1942年3月2日、熊本・人吉市出身。82歳。鎮西、中大を経て、65年から13年間巨人でプレー。71年には日本シリーズMVP。74年にはベストナインにも輝いた。引退後は2軍監督、スカウト、編成部長などを歴任し、高橋由伸、上原浩治、阿部慎之助、亀井善行らの獲得に尽力した。74年に民夫から改名。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください