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「出ないと負ける」登録ギリギリ9人、脚がつっても没収試合危機乗り越えた沖縄の辺土名・北部農林エースの悔し涙

スポーツ報知 / 2024年6月23日 5時45分

首里東との開幕戦で力投した辺土名・北部農林の宮城海(カメラ・加藤 弘士)

◆沖縄大会 ▽1回戦 首里東18―0辺士名・北部農林=5回コールド=(22日・沖縄セルラースタジアム那覇)

 第106回全国高校野球選手権大会(8月7日開幕・甲子園)の出場49校を決める地方大会が22日、全国のトップを切って沖縄と南北の北海道で開幕した。沖縄大会ではメンバー登録9人ギリギリで開幕戦に臨んだ辺土名・北部農林のエースで主将の宮城海(2年)が右脚をつるアクシデントに見舞われながらも、気合の出場で没収試合の危機を回避した。日程を順調に消化すれば、7月19日に秋田で最初の代表校が決まり、29日に全代表校が出そろう。

 試合を成立させた達成感と、負けた悔しさ。2つの思いが胸中に去来し、辺土名・北部農林の主将・宮城海は涙を浮かべた。0―18での5回コールド。スコアだけ見れば大敗だ。だが、誰もが最後まで体を張れた。ユニホームの袖で涙をふき、言った。

 「9人しかいないんで。自分が出ないと、その時点で負けなんで…」

 辺土名の9人と北部農林の1人で構成する、部員10人の連合チーム。試合直前、1人が新型コロナに感染した。9人で開幕戦に臨まざるを得なかった。0―7の4回2死三塁、危機に見舞われた。先発した宮城海が右脚をつり、担架で運ばれた。梅雨明けの那覇。「ムシムシして暑くて」。試合続行不可能なら没収試合。0―9で敗戦が決まる。だが、主将は「行けます」と中村敦監督(50)に志願。三塁の守備に就いた。

 2番手の1年生投手は1死を奪ったのみで、7安打5四死球10失点。エースは腹をくくった。5回途中、「自分が行きます」と再びマウンドに立った。帽子を飛ばす躍動感あふれるフォームから、1回無失点、3奪三振。計4回2/3を実に11K。意地だった。

 全員が2年生以下の若いチーム。昨秋、1年生4人のみになり、主将自ら母校の国頭中に行き「野球やろう!」と勧誘。4人を入部に導いた。「だから、最後まで試合がしたかったんです」と涙をぬぐった。

 長髪がお気に入り。ローソンでのバイトにも全力投球する。仲間と思いを一つにできた宝物の2時間17分。「来年の夏は、1勝できるよう頑張りたい」。最後の夏こそ、でっかい声で校歌を歌う。

(加藤 弘士)

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