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【高校野球】部員1人でも野球を続ける理由 体重117キロの恵体に他部から誘いも 連合チームで勝負した夏

スポーツ報知 / 2024年6月23日 9時0分

北部農林の(左から)比嘉健二部長、宮城藤悟一塁手、比嘉聖士監督。平日は3人で練習し、夏に備えてきた(カメラ・加藤 弘士)

◆第106回全国高校野球選手権沖縄大会▽1回戦 首里東18-0辺土名・北部農林=5回コールド=(22日・沖縄セルラースタジアム那覇)

 創立78年の歴史を誇る農業単独の専門高校・北部農林はレスリング部、相撲部の強豪だ。県大会の上位に入賞し、九州大会や全国大会に出場している。

 そんな校内に173センチ、体重117キロの生徒がいたら…。

 「一緒にやらないか」となるのも当然だ。

 しかし恵体の2年生、宮城藤悟は野球部に所属している。部員は1名だけ。夏の沖縄大会開幕戦、部員9人を擁する辺土名との連合チームで首里東と激突し、0-18の5回コールドで敗れた。宮城は「7番・一塁」でスタメン出場したが、2打数無安打2三振に倒れた。

 試合後、悔しげに言った。

 「9回までやりたかったです。自分がミスしてしまい、チームに迷惑を掛けてしまった。バッティングでもファーストストライクから打てなかったので、課題として持ち帰りたい」

 他の競技なら大きな肉体を生かして、活躍できるかもしれない。

 それでもなぜ、野球なのか。

 「小さい頃から、父とキャッチボールをしてきて、その結果です。レスリングとか他のスポーツに誘われたこともあるんですが、やっぱり野球がやりたかったんで」

 部員は宮城1人しかいないが、指導者は2人いる。比嘉健二部長(53)と比嘉聖士(きよひと・34)監督がパートナーになり、平日はキャッチボールやノック、打撃練習を手伝ってくれる。2人とも野球経験者ではない。健二部長は剣道、聖士監督はハンドボールが専門だ。平日は3人で汗を流して、週末の辺土名との合同練習に備える。

 部員1人って、寂しくないですか。そんな問いに胸を張って、こう答えた。

 「野球が好きなんです。後は辺土名のチームメートが優しいので、さらに野球がやりたくなりました」

 今年も全国各地で連合チームが結成され、異なるユニホームの者同士が思いを一つに、戦いへ臨む。各チームの事情はそれぞれ異なるが、「9人集まらなくても、野球をやらずにはいられない」という強固な意志には、心から敬意を表すしかない。

 宮城はまだ2年生。やりたいことをやれることこそ、若者の特権だ。来年こそ、夏空に快音を響かせたい。(編集委員・加藤弘士)

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