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チケット即完のテント公演で不思議な体験 中村勘九郎、寺島しのぶ、豊川悦司の奇跡的配役が生み出す熱気

スポーツ報知 / 2024年6月23日 20時1分

「おちょこの傘もつメリー・ポピンズ」の中村勘九郎と寺島しのぶ

 「あの芝居、見た?」。このところ、演劇や映画の記者間で話に上がるのが、東京・花園神社境内、特設紫テントで上演中の新宿梁山泊公演「おちょこの傘もつメリー・ポピンズ」(唐十郎作、金守珍演出、25日まで)だ。中村勘九郎、寺島しのぶ、豊川悦司、六平直政、風間杜夫がメインキャストというテント公演で奇跡的な配役が実現した。

 当日券がわずかにあるのみで前売りチケットは10分もたたずに即完。テントの客席数は200。歌舞伎座が2000席規模の劇場であることを思えば、チケット争奪戦は当然だろう。観劇できることに感謝しつつ、テントの中へ。著名な役者、関係者の多さに驚き、話題作であることを改めて感じる。

 寒いくらい冷房の効いた劇場で見るときとは別世界。席に座ると湿気や暑さでじっとり汗ばむ。コロナ禍では考えられなかった密な空間。開演前から異様な熱気に包まれている。テント芝居に憧れた父・中村勘三郎さんに影響を受けた勘九郎は、これでもかと言うほど、セリフも躍動も止まらない。

 見ている間に不思議な体験をした。寺島が“花道”から姿を見せたとき、李麗仙(1976年当時、李礼仙)が出てきたのかと思った。自分の目の錯覚に驚いた。そして舞台中央で役を演じる姿から、なぜか30年前に見た文学座時代の寺島の舞台の記憶がよみがえってきた。予想もしていないことだった。

 自分の頭の中で一体、何が起きているのか。アーユルベーダやサウナで”ととのった”時の感覚にも似ているだろうか。私だけでなく、すでに何人かに「李さんかと思った」と指摘されたという寺島。「李さんがこの役を演じたのは30代。私はいま51歳。大変な役でどうなるのかと少し心配したけれど、テント公演は『私、まだやれるかな』と思わせてくれた」と話していた。役者の芝居と観客の熱気のぶつかり合いから生まれる不思議な力。演劇の本質的なものを考えたくなる舞台だった。(記者コラム・内野小百美)

 ◇おちょこの傘もつメリー・ポピンズ 小さな傘店を営むおちょこ(中村勘九郎)は、傘の修理に訪れた石川カナ(寺島しのぶ)に恋をしていた。おちょこは彼女にメリー・ポピンズの傘を持たせたい、という夢を描く。一方で大けがでおちょこに助けられ、居候中の白スーツの男・檜垣(豊川悦司)は、カナが以前、有名歌手の子どもを産み、ショッキングな事件を起こした女性だと気づく。物語はカナを巡り、あふれ出るナゾとともに展開していく。1976年状況劇場で初演。5月に旅立った唐十郎さんが、実際に起きたある芸能スキャンダルに着想を得て劇作した。

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