毛利元就の末裔は最速138キロ右腕!日本史が得意な毛利元春投手、「三本の矢」で川口市立を初甲子園導く
スポーツ報知 / 2024年6月25日 6時0分
142チームが夏の頂点を目指す埼玉。川口市立に、戦国大名・毛利元就の末裔(まつえい)がいる。最速138キロ右腕・毛利元春投手(3年)だ。元就の「三本の矢」の教えを胸に、投手3本柱が力を結集。7月15日に埼玉大会初戦を迎える川口市立が、戦国時代のように群雄が割拠する激戦区を勝ち抜き、同校初の甲子園出場を目指す。
横に大きく曲がるスライダーで、打者のバットに空を切らせる。ピンチにも動じることなく、気持ちの入ったストレートで勝負する。毛利元就の子孫、川口市立の背番号10・毛利はラストサマーへ闘志をたぎらせ、日々の鍛錬に臨む。
「甲子園に行けるように、チームでやってきた。監督さんから与えられたイニングをしっかりと抑えていきたい」。心に刻む言葉は広島、ヤンキースなどで活躍した黒田博樹氏の「苦しまずして栄光なし」。強敵との勝負を心待ちにした。
先祖代々、広島に住んでいたが、父・吉成さんの転勤で川口市で生まれ育った。「元春」の名も元就の次男に由来するという。知将として語り継がれる元就のように、毛利も頭脳的な投球で打者に立ち向かう。鈴木久幹監督(59)は「非常にクレバー。よく考えながら投げている」と目を細める。
毛利が小さい頃、1歳下の弟と兄弟げんかをした際、親から先祖の「三本の矢」の話を聞いた。協力することの大切さを肝に銘じた。「しっかり仲良く力合わせてという教えは、リスペクトできます」。チームではオリックス・宇田川優希投手の弟で、最速145キロ右腕・健(たける、3年)がエースナンバーを背負う。左腕・飯出裕己(3年)とともに“三本の矢”が一つになり、夏の埼玉を勝ち抜く構えだ。指揮官も「本当に狙っているんです。この代で」と強力投手陣に胸を張る。
好きな科目は日本史。1学期の中間テストは93点でクラス1位、学年では2位をマークした。幼少期から先祖の影響もあって戦国時代に興味を持ち、歴史の漫画を読んで育った。毛利家のプライドに「それも多少あります。もともと小さい国から、中国地方全域に広げていってという」と元春。この夏、埼玉の高校野球に新たな歴史をつくる。(臼井 恭香)
◆毛利 元春(もうり・もとはる)2006年11月29日、埼玉・川口市出身。17歳。小1で野球を始め、鳩ケ谷中では軟式野球部に所属。川口市の選抜チームでは県大会準優勝。川口市立では3年春からベンチ入り。好きな食べ物はギョーザと父が作る広島風お好み焼き。広島ファン。好きなアーティストはB’z。趣味はベース演奏。50メートル6秒7、遠投105メートル。176センチ、75キロ。右投右打。
◆毛利元就と三本の矢 安芸(現広島県)の郡山城を拠点に、中国地方のほぼ全域を治めていた戦国大名。ある時、3人の息子(毛利隆元、吉川元春、小早川隆景)に1本の矢を折るよう命令。全員が折ると、次は3本の矢をまとめて折るよう命じた。誰も折ることができなかったのを見て、3人が協力すれば強敵に立ち向かえる―と兄弟の結束を訴えたと伝えられている。サッカーJ1のサンフレッチェ広島もこれを由来に、日本語の「三」と矢を意味するイタリア語「フレッチェ」を合わせてチーム名としている。
◆川口市立 2018年4月、市川口、川口総合、県陽の川口市立の高校3校が統合して開校。市川口の系譜を継ぐ野球部は1982、88、97年に夏の埼玉大会決勝に進出するもすべて敗退。86年秋は県大会優勝も関東大会初戦で常総学院(茨城)に敗れ、センバツ出場を逃した。主なOBに82年のエースだった斎藤雅樹(元巨人)、並木秀尊(ヤクルト)ら。部員数77人。中堅115メートル、両翼93メートルの専用球場を持つ。
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