2025年11月定年、テレ朝・飯村真一アナ「まだ折り返しにもいっていない」…小学生時代の音読きっかけで憧れたアナウンサー人生
スポーツ報知 / 2024年6月27日 7時0分
テレビ朝日の飯村真一アナウンサー(58)が、来年11月に定年の60歳を迎える。入社35年。スポーツ、報道、情報番組、ニューヨーク支局などさまざまな経験を経て定年を目前に控えた胸中、そして「第二の人生」について聞いた。(田中 雄己)
どんな人間であれ、平等に年を重ね、区切りを迎える。飯村アナは89年にテレビ朝日に入社した。35年間。約1万3000日。来年11月に「定年」を控える中、その胸中や心理は―。意外にも、飯村アナの口調は、軽やかだった。「35年間フラフラしてきただけですから」「もう流れに身を任せてばかりの人生で」
入社35年。そのキャリアの重みを、全く感じさせない言葉が並んだが、アナウンサー業の話題になると、目を見開いた。「本当に、楽しいことばかりで」「最近も天職について考えますけど、それこそ良い体験ばかりをさせていただいて」。瞳の力強さと相まって、言葉は優しかった。
半世紀前。静岡県沼津市内の小学校に通っていた時のこと。国語の授業中。担任の先生に指されて起立した飯村少年は、教科書を音読した。誰しも経験する瞬間。だが、彼にとって特別な時間だった。
「何だか、これ好きだな」
いたずらっ子で目立ちたがり屋で、しゃべることも好きだった。ただ、それ以上に、教科書に書かれた文字を声に出して読むことは「好き」だった。
「理由は分からないんですけど、何か、好きだったんですよね。それ以降、テレビでニュースを読んでいるアナウンサーを見ると、『これが仕事っていいな』と思うようになって」
幼心に抱いた思いをブレずに、貫いた。「念願のアナウンサー」になった。「やじうまサタデー」や「ニュースステーション」などでスポーツキャスターを経験。98年から2年間、報道局社会部の記者を務め、07年から1年間はニューヨーク支局にも駐在した。多岐にわたる仕事を経験した。「すごく、すごく楽しかった」。来年11月に迎える定年。句点をつけるように、一呼吸置いた。「これから何ができるのか。ワクワクで。何でもできるわけですから」。その思いが言葉としてあふれ出した。「テレビ朝日の定年ではありますけど、アナウンサー業は続けていきたいと思っていて。ただ、同時に何か楽しいこともあるんじゃないかなと思っていまして。まだ具体的には何も決まっていませんけどね。気が向くものがあったらやってみたいですよね。酒席や新人研修で話すんですけど、『カーネル・サンダースがケンタッキーフライドチキンを始めたのが65歳なんだから。これから何でもできるんだから』と。まさに、今の心境ですよね」
もう定年。まだ定年。人生100年時代。現代は「後者」に捉えることが多いが、飯村アナは「より後者」だといい、「全然、まだ折り返しにもいっていない」と言葉を重ねた。「これを言うと、『相当な変わり者』や『変な人』だと思われますけど」と遠慮がちに前置きしながら、「120歳まで生きようと思っていまして」。照れ笑いを浮かべながら続けた。「医学的に心拍数で寿命が決まるらしいんですよね。象は何十歳とか、虫は何歳とか。人間は鼓動の数からすると、最大は120歳みたいでして。そのことを知ってから、『あー、そうか。まだ折り返しにもいっていないんだ』と。だからこれからワクワクしますよね」
現在のレギュラー番組の1つに「徹子の部屋」がある。視覚障害者向けの音声放送、解説放送ナレーションを担当している。
「ここ何年か、声だけの仕事も担当していまして。目の見えない方にどう聞きやすく、言葉を伝えるか。徹子さんやゲストが発する言葉だけではなくて、洋服の色や柄まで、どういうふうにすれば伝わるか。すごく難しい」。その言葉とは裏腹に、表情は生き生きとしていた。「テレビに出て話すことに加えて、耳を傾けている方に分かりやすく、聞きやすく考えるか。面白い仕事ですよね。時代とともにどんどん幅が増えていっているのかもしれませんね」。そう話し、額をかいた。「定年間近だからといって変わりませんよ。世の中を変えようとかそんなことは思っていなくて。ただ自分のできる範囲で、ちょっとでも世の中が明るく、過ごしやすくなったらって。そんなことを思いながらやっていますね」
小学生時代の「音読」から貫き通すアナウンサー業。「大それたことはできないですから。それにね、何よりアナウンサー業は変わらず大好きですから」。そう言って、屈託のない笑みを浮かべた。音読が好きだった小学生時代と変わらない笑顔だろうと思った。
◆飯村アナのイチオシ
2年前くらいから瞑想(めいそう)をしているんですよね。毎日寝る前に15分間。家族がテレビを見たりしているので、ノイズキャンセルのイヤホンをはめて立ってね。頭を空っぽにする。「無」を目指して。
もともと自分自身を精神的にも、肉体的にも鍛えることが好きで。人と比べてとかではなくて、自分と向き合うといいますか。だから今は瞑想の他にも、筋トレ、英語で自身と向き合っていますかね。空手も、しているんですよね。ただ大学3年から始めて、まだ「茶帯」でして。周りからも「何年やっているんだ」と言われたりするんですけど。まぁ、向いていないんでしょうね(苦笑い)。でも、流れに身を任せてやりたい時にやる感じで。これからも続けていきたいですね。(談)
◆飯村 真一(いいむら・しんいち)
▼生まれと経歴 1965年11月11日、静岡県沼津市出身。58歳。明大を経て、89年に入社。「やじうまサタデー」や「ニュースステーション」をへて、98年から報道局社会部の記者、2007年4月からはニューヨーク支局に駐在。その後、「やじうまテレビ!」や「グッド!モーニング」に出演し、現在は、BS朝日の「日曜スクープ」(日曜・後7時)でキャスターを務める
▼最近、意識している言葉 「老いては子に従え」。「自分の考えをどう思うか。世の中のことをどう思うかとか。最近は大学生の子供に『都知事選をどう思うか?』なんて聞いたりして。社内でも新人の子にいろいろ聞いたりして。感覚を合わせないといけないですよね。ただ、いきすぎると『何でも聞いちゃえ』となってしまうので、そのバランスを気をつけています」
▼趣味 瞑想、空手、筋トレ、英語のニュース視聴
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