「パリで3年分の思いを」元“法大の山の神”初Vで3000メートル障害連続五輪有力
スポーツ報知 / 2024年6月28日 6時0分
◆パリ五輪代表選考会 陸上日本選手権 ▽第1日(27日、新潟・デンカビッグスワンスタジアム)
男子3000メートル障害決勝で、21年東京五輪代表の青木涼真(27)=ホンダ=が8分24秒21で初優勝を飾った。パリ五輪の参加標準記録(8分15秒00)には届かなかったが、レース前の時点で世界陸連のランキングは出場圏(各国・地域最大3人で36枠)の27位。今大会の優勝で代表入りが有力になった。第一人者で既に五輪切符を持つ三浦龍司(22)=スバル=とともに、2度目の大舞台に挑む。
次につながる初の日本タイトルだ。青木は集団の中盤からレースを進め、残り200メートルで満を持してスパート。追いすがる大学生の柴田大地(中大)を競り落とし、昨年の世界選手権(ブダペスト)ファイナリストの実力を示した。初優勝に「素直にうれしいです」と笑みをうかべつつ、パリ五輪に内定している三浦が出場しなかったことから「鬼の居ぬ間に優勝。心の底から喜べる優勝を目指してまたやっていきたい」。参加標準は切れなかったが、来月上旬に発表される世界ランクによる五輪代表入りが有力になった。
この3年、苦しんだ。初の世界大会だった21年東京五輪は予選敗退。さらに22年世界選手権(オレゴン)も予選敗退した。「歯が立たなかった。限界を感じた」。法大時代、箱根駅伝では5区の山上りで活躍。2年時は9人抜きの区間賞で“法大の山の神”とも呼ばれたランナーが、世界の壁を前に足を止めようとした。種目転向もよぎった。それでも、5歳年下の三浦を筆頭に若手が台頭してきたことで「自分が背中で引っ張っていくことは、競技人生において大事なことになる」と翻意。自身を律し、走り続けた。
今年は1月上旬から約2か月、米国で武者修行に励んだ。東京五輪後から始めた取り組みで、今年で3年目。世界トップ選手と走るうちに「自分が出せるようになってきた。自信に大きくつながった」。昨年の世界選手権では初の決勝進出するなど、鍛錬は確実に実を結び始めている。大会前から状態が上がらなかったが、「本番はパリ。今回は日本選手権のタイトルを取る」と標準突破よりも勝負に徹し、見事遂行した。
「パリでしっかり、3年分の思いをぶつけていきたい」。培ってきた力を発揮する大舞台は、すぐそこだ。(手島 莉子)
◆青木 涼真(あおき・りょうま)1997年6月16日、埼玉・久喜市生まれ。27歳。春日部高から本格的に陸上を始め、3年時に全国高校総体3000メートル障害8位。法大に進み、同種目で2017年の関東学生対校優勝、日本学生対校4位。箱根駅伝は2年時から担当した5区で、2年時は9人抜きの区間賞、3年時は7人抜きで区間3位、4年時は2人抜いて区間4位。ホンダに進み、3000メートル障害で21年東京五輪は予選敗退。世界選手権は22年予選敗退、23年決勝14位。
◆陸上・パリ五輪への道 各種目、日本選手権を含め、参加標準記録を1度でも突破した上で優勝すれば即内定。未突破や2位以下でも、日本選手権の成績や世界陸連の設定するランキングで出場枠内(各国・地域最大3人)に入れば出場権を得られる。
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