モデルデビューの151キロ右腕・小菅真路 人生変えた米留学 偏差値40から「1日14時間勉強」で慶大現役合格
スポーツ報知 / 2024年7月1日 11時0分
今春、モデルとしてデビューした小菅真路(25)は慶大野球部時代、最速151キロを計測した投手だった。現在は一般企業に勤務しながら、兼業という形で芸能界の荒波に飛び込んだ。元TBSアナウンサーの林みなほさん(34)が立ち上げた芸能事務所「sai&co.」に所属して、新たなる舞台に立つ。チャレンジングなその生き様に迫った。(加藤 弘士)
華がある。撮影中、通りかかった女性の外国人観光客がポーズを決める小菅の姿を見て「Fantastic!」と笑顔で言った。野球で培ったフィジカルだけではない。穏やかな表情の裏側に隠された強固な意志が、その瞳に宿る。
「人生は一度きり。成功も失敗も、まずはチャレンジしなくては始まらないということで、一歩踏み出しました。まずはモデルとして、スタートラインに立ったところです」
生活の中心には、常に野球があった。千葉・市川高では投手として1年夏からベンチ入り。エース候補として期待されていた。新チームが始動する中、自らの夢に向かって歩き出す。1年間の米国への交換留学だ。
「小さい頃からアメリカで野球をやってみたいというのがありました。きっかけはWBCです。そこで初めて海外の野球を知る機会があって、『楽しそうだな』って。チームを離れることに迷いはありませんでした。先輩たちや同級生に『申し訳ない』という気持ちはあったんですが、『頑張ってこい』と言ってくれて」
1年秋、ユタ州の高校に編入し、学校の野球チームに入った。日本人は1人だけ。英語も拙かったが、積極果敢にコミュニケーションを取った。
「英語は最初、全然できなくて。『マイネーム・イズ~』ぐらい。でも野球を通じて徐々に学んでいきました。友達もできて、徐々にしゃべっていくうちに、コミュニケーションも取れるようになって。幸い、試合にも出させてもらえたので、恵まれた環境でした」
日本の高校野球と米国のハイスクール・ベースボールは、どう違うのか。
「全然違います(笑)。慶應でよく言われる『エンジョイ・ベースボール』に近いと思うんですが、野球そのものを楽しんでいる感じです。コーチや監督とも、上下関係というよりは、相談し合える間柄だったり。後は『どれだけ速い球を投げられるか』『どれだけ遠くに打球を飛ばせるか』が目指すべき境地、みたいな」
当時、ストレートの最速は130キロ前後。米国人の選手に囲まれる中、何をセールスポイントに勝負したのか。
「真っすぐです。向こうの人って、変化球を待てるんです。ちょっと崩されても力が強いんで、拾って持って行ってしまう。なのでスライダーとかは打たれたイメージがありますね」
1年弱の留学を終え、高校2年の秋に再び市川高に戻った。春はエースナンバー。米国仕込みのパワフルな打棒を評価され、背番号9の4番打者、2番手投手として甲子園を目指した。最速は140キロ前後に上昇。4回戦、その春の千葉王者・専大松戸戦に先発登板した。6回まで6-6と善戦したが、6-9で敗れた。
「1年夏も3回戦で専大松戸さんに負けて。市川にとって専松さんは天敵なんです。高校で本当は野球を終わりにしようと思っていたんですが、春の県優勝チームを相手に途中まで勝っていて、『これはまだいけるんじゃないか』と思って。その年の春、早慶戦を神宮へ観に行ったんです。『ここでやりたい』と思って、慶大一本に絞って。めっちゃ勉強しました。野球部を引退したときは偏差値40ぐらいだったんです。野球部あるあるですよね(笑)。一日14時間ぐらい勉強しました」
猛勉強の成果もあって、一般入試で環境情報学部に入学。迷わず慶大野球部の門をたたいた。ハイレベルな環境の中、小菅のMAXは151キロまで上昇。徐々にプロへの思いを強くしていった。【後編に続く】
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