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大阪の町クラブからパリへ…18歳でなでしこジャパン選出の古賀塔子 感謝を胸に

スポーツ報知 / 2024年7月2日 4時5分

古賀塔子

  パリ五輪に向けたウェブ連載企画「Messages For Paris」の第17回は、サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」に選出された18歳のDF古賀塔子(フェイエノールト)。昨冬の代表初招集から出場8試合で初の五輪切符をつかんだ。古賀の原点は、大阪府内で活動するサッカークラブ「FC Grasion」(FCグラシオン)。指導した岡亮太コーチに古賀のルーツを聞いた。(取材・構成=田中 孝憲)

 * * *

 古賀塔子が小学6年生まで過ごした大阪北部には、愛される地域の顔がある。万博記念公園の「太陽の塔」だ。名前は、この北摂のシンボルに由来する。小学校1年生の時にサッカーを始め、メキメキと頭角を現した。門をたたいたのは兄が所属していた「FC Grasion」。地元で活動する、町クラブだ。

 「お兄ちゃんが来ていて、じゃああなたも入ったら?という女の子です。(入団は)ちょうど澤(穂希)さん達が(11年W杯で)優勝したぐらいですね」

 指導した岡コーチは、優しい顔で当時を振り返る。最初の印象は人見知りで内気な少女だったというが、ボールを持つと一変した。

 「ご両親がスポーツをされていて、運動ができるタイプの子でした。足の速さは当時から抜けていて。小さい頃って、女の子の方がデカいんですよ」

 4年生から選手登録をして公式戦に出場した。男子に混じり、センターバックやサイドハーフ、フォワードをこなした。

 「やっぱり試合に出ると結構緊張していましたね。キックが正直、あんまり上手くなかったので。サイドハーフでもいいとこまでいくけど、センタリングがちゃんと上がってこないとかね。足は速かったんで裏には抜け出せてもシュートが入れへんとかはよくありましたね」

 それでも、持ち前の身体能力の高さは大きな武器だった。男の子の相手でもぶつかっても負けない強さもあった。

 なでしこジャパンを身近に感じたのが2016年だった。大阪でリオデジャネイロ五輪の最終予選が行われ、小学5年の古賀は応援に駆けつけた。スタジアムには当時のなでしこメンバーのボードが置かれ、記念撮影した。

 古賀は大阪の女子選手では注目を集める存在だったが、6年生のある出会いは大きな衝撃だったという。石川県で行われた大会でのことだ。

 「G大阪門真さんや(大宮)アルディージャさんも来ている、良い大会があって。(名古屋)グランパスみよしも来ていて『女子もおるやん』と思って見てたら…。両足でめっちゃ蹴れてめっちゃすごい子がいる。塔子と違って声が出るし、当時から多分キャプテンやってましたね。塔子も『めっちゃすごい女子おるやん』って言いながら見ていました」

 その女子とは、6年生で受験した日本協会の育成機関「JFAアカデミー福島」の選考試験で再会した。「谷川萌々子」という名前だと知った。合格した2人は6年間、JFA福島で技術を磨いた。古賀にとっては人生が変わる時間になった。

 「JFAアカデミー福島は、グラシオン出身の先輩がいたことで、入ることが目標になっていました。塔子がこれだけ成長できたのは、完全にJFA福島のおかげですね。JFA福島は組織としてすごくしっかりしているから、あの子に足りない部分の技術面とか環境含めて伸ばしてくれるだろうと思いました。合格したぐらいから、間違いなくセンターバックをやることになると思っていたので、ドリブルで持ち上がれるようにとかを含めた練習をずっと試合ではさせていた感じですね」

 古賀は小学6年で大阪を出て、JFA福島が拠点を置いていた静岡県内【注】で親元を離れた寮生活を送り始めた。その後も、大阪に帰省の時に後輩達の練習に顔を出し、恩を返した。

 「FC Grasion」は男子の代表候補、DF西尾隆矢(23)=C大阪=を送り出している。西尾の指導にも当たった岡コーチは今でも大事にしているものがある。男女ともにA代表に初選出された際、選手本人指名の指導者に贈られる「プルーペナント」と感謝状だ。そこには、古賀の直筆でメッセージが記されていた。

 「6年間ありがとうございました。日本を代表する選手になれるように頑張ります」

 小学生の頃から、あこがれだったなでしこジャパン。あの時、スタジアムで撮影した写真には、今も主将としてチームを引っ張る熊谷紗希も映っていた。そして、谷川萌々子もパリ五輪代表に入った。縁のある2人とともに、古賀は五輪のピッチでメダルを目指して戦う。

 ◆古賀塔子(こが・とうこ)2006年1月6日、大阪・豊中市生まれ。18歳。小1の時にサッカーを始めFC Grasionを経て、JFAアカデミー福島に進む。高校卒業と同時にフェイエノールトと契約。対人の守備、豊富な運動量やスピードが持ち味。昨夏の女子W杯オーストラリア・ニュージーランド大会でサポートメンバーとして帯同。23年11月のブラジル戦で代表デビュー。通算8試合1得点。好きな言葉は元日本代表MF遠藤保仁の「明日やろうはバカヤロー」。173センチ、58キロ。

 【注】JFAアカデミー福島は11年の東日本大震災で被災。拠点を置いていたJヴィレッジが原発事故からの復興拠点となったため、静岡県内で活動した。女子チームは今春からJヴィレッジに帰還している。

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