大谷翔平「カモーン！」絶叫弾で松井＆イチローに続く５００打点 指揮官「ジョーダンやタイガーのよう」

７回無死一塁、大谷が右中間に２７号２ランを放ち、雄たけびを上げる（ＡＰ）

◆米大リーグ　ドジャース６×―５ダイヤモンドバックス（２日、米カリフォルニア州ロサンゼルス＝ドジャースタジアム）

　ドジャース・大谷翔平投手（２９）が２日（日本時間３日）、７月初戦となる本拠地・Ｄバックス戦に「１番・ＤＨ」でフル出場し、７回の４打席目に一時逆転となる２７号２ランを放つなど５打数３安打２打点の大暴れ。日本人３人目のメジャー通算５００打点を達成し、日本人初の米通算２００号までも残り２とした。「Ｊａｐａｎｅｓｅ　Ｈｅｒｉｔａｇｅ　Ｎｉｇｈｔ」（日本文化ナイト）として行われた一戦に花を添えた。

　これが日本の誇る最強打者だ。今季３番目に多い５万２９３１人のファンが、大谷の一撃で総立ちになった。その大歓声に大谷自身も酔いしれた。走り出す必要はない。打球を見つめるだけ。飛距離４３３フィート（約１３２メートル）の２７号逆転２ランが右中間席に到達するのを確認すると、ゆっくりと走り始め「カモーン！」と叫んだ。興奮を抑えられなかった。

　「大きく試合が動くところ。いい感覚だった」

　右翼手が一歩も動かない圧巻の一打だった。１点を追う７回無死一塁の４打席目。１打席目に左翼への二塁打、３打席目に中前安打を放って迎えた。３番手右腕・マルティネスの２球目のスライダーを振り抜いた。「何とか後ろの２人につなげればいいと思っていた。たまたま甘い球が来た」。つなぐ意識が劇弾を生み出した。その後、一度はひっくり返されたとはいえ、逆転弾は移籍後初めて。ＭＶＰコールが鳴りやまなかった。

　あと１まで迫っていたメジャー通算５００打点にも乗せた。日本人では松井秀喜、イチローに次ぐ３人目の大台。松井秀の７５５試合に迫る７９９試合での達成は、誇っていい数字だ。

　「Ｊａｐａｎｅｓｅ　Ｈｅｒｉｔａｇｅ　Ｎｉｇｈｔ」として開催された一戦。試合前には日本人大リーガーの功績をたたえる式典が行われ、太鼓の演奏も行われるなど日本の文化に彩られた。大谷は野球殿堂博物館にバットも寄贈した。

　そんな日に、大谷が圧巻の一打を打てば、８回無死一塁ではロハスがメジャーでは珍しい送りバント。１点を追う９回には２死走者なしから３連打でサヨナラ勝ちと、諦めず、粘り強い野球が展開された。偶然にも“日本野球”が詰まった勝利に、大谷も「今日は特別な日。なおさら（日本人が）多い印象は受けたので、そういう日に打てたこと、勝てたことはよかった」とうなずいた。

　直近１０試合で７本塁打。６月１７日以来１２試合ぶりの１試合３安打だった。空振り三振に倒れた５打席目は、三塁打が出ればサイクル安打だった。３冠王の話題には「自分がどのくらいの数字なのかは把握はしていない」と素っ気ない大谷に代わり、ロバーツ監督が大興奮だ。「『きっと何かが起きる！』と期待が高まっている時に何かを起こす。そういう人間なんだよ。マイケル・ジョーダンや、タイガー・ウッズのようにね。ＷＢＣ（決勝の９回２死走者なし）でトラウトと戦った時を思い出してもそうだろう。彼は物語のようだ」。６月に１２発を放った勢いは、７月も止まりそうにない。（安藤　宏太）

　メジャーで活躍した日本選手をたたえる式典がドジャースタジアムで行われ、大谷は日本ハム時代を含めた、タイトルなど自身の功績が印字されたバットを、ニューヨーク州クーパーズタウンの米国野球殿堂博物館に寄贈した。試合前の会見で大谷は「自分のバットを含めて多くの品が展示されるのをうれしく思う。日本の野球界にとっても大きなこと」と語った。メジャー１年目の山本も、今春のキャンプで使用したグラブを寄贈した。

　大谷のバットは「ＯＴＨＡＮＩ」とまさかのスペル違いがあったが、「ＯＨＴＡＮＩ」に修正したバットが寄贈される見込み。来年７月には同博物館で日米の野球史をひもとく企画が予定されている。野茂、イチロー、ダルビッシュらの道具なども寄贈される見通しだ。