６打席１安打、長打ゼロ…４年連続球宴ファン投票選出の大谷翔平、今年こそ初アーチ＆イチロー以来日本人２人目ＭＶＰ狙う

◆米大リーグ　ドジャース４―１２ダイヤモンドバックス（３日、米カリフォルニア州ロサンゼルス＝ドジャースタジアム）

　ドジャース・大谷翔平投手（２９）が３日（日本時間４日）、テキサス州アーリントンで１６日（同１７日）に行われるオールスターゲームにナ・リーグ指名打者でスタメン出場することが決まった。４年連続４度目で、ナでは初。５日に３０歳の誕生日を迎える大谷に、大きなプレゼントとなった。その後、「１番・ＤＨ」で出場した敵地・Ｄバックス戦でファンへの“御礼打”となる中前安打を放った。球宴の控え野手と投手は、選手間投票とＭＬＢ推薦などで決まり、全出場選手は７日（同８日）に発表される。

　大谷が感謝の気持ちを結果で示した。１点を追う初回無死。４年連続４度目の球宴出場決定後、最初の打席。外角のシンカーを捉え、鋭いゴロで狭い二遊間を破った。中前安打でフリーマンの一時逆転となる１３号３ランにつなげた。Ｔ・ヘルナンデスが２者連続弾を放った際には、いつもはかけてもらうヒマワリの種のシャワーを浴びせる側になった。その後は３打席凡退し、チームも１６安打１２失点で逆転負けしたが、初回に見せ場は作った。

　この日の試合前、オールスターのスタメン野手を決めるファン投票の最終結果発表があり、大谷はナ・リーグＤＨ部門で６３％の投票を得てシュワバー（フィリーズ）との一騎打ちを制し、出場が決定。ファン投票での球宴出場に「ファン投票も特別だと思っているので、そこで出るのが選手としては一番うれしいんじゃないかなと思います」と思いを口にしていた大谷にとって、祭典への道を開いてくれたファンへの感謝を１打席目のバットに込めた。

　４年連続でのファン投票選出は、日本人ではイチローに次いで２人目。現役選手ではジャッジ（ヤンキース）と並んで最長だが、ジャッジは昨季故障で出場を辞退しており、２１年から４年連続でスタメン出場すればメジャー全体でも唯一となる。それだけ大谷が継続して結果を残し続け、ファンからの大きな期待を受けている証しだろう。

　これまで３年間は、６打席で放った安打は１本のみ。長打は１本もない。当然、期待がかかるのは豪快な一発だ。昨季の球宴前日には「まだホームランを打ったことないので、打ってみたいなというのが一番」と珍しく本塁打を狙うことを宣言。不発に終わった試合後には「今後また（球宴で）選ばれたいなという気持ちで、そこでまた（本塁打を）打ってみたいなという気持ちはあります」と、思いを口にしていた。

　日本人で球宴で本塁打を放ったのは、０７年のイチローのみ。ランニング本塁打だったため、サク越えはいまだに記録されていない。ＭＶＰも同年のイチローだけ。豪快なアーチを放って、ＭＶＰに輝くことがファンへの最大の“御礼”ともなる。

　球宴前日の本塁打競争には、昨年９月に受けた右肘手術からのリハビリ中であることを考慮して「なかなか（スイング数などの）ボリュームも多いですし、今回は出ない方向で進むんじゃないかなと思います」と辞退する方向を示した。球宴での打席は２、３打席が濃厚。２７本塁打、打率３割１分９厘でリーグ２冠の男が、祭典でも主役を狙う。（安藤　宏太）

　◆大谷のこれまでのオールスター

　▽２１年（デンバー）　投手は選手間投票５位、ＤＨはファン投票で選出され、史上初の二刀流出場。球宴前日の本塁打競争には日本人初出場も初戦敗退。「１番・投手、ＤＨ」で先発し、１回無安打無失点で勝利投手になったが、打者では二ゴロ、一ゴロの２打数無安打。

　▽２２年（ロサンゼルス）　投手はＭＬＢ機構推薦、ＤＨはファン投票で選出。投手の登板、本塁打競争の出場は体力面などを考慮して回避したが、「１番・ＤＨ」で先発。「Ｆｉｒｓｔ　ｐｉｔｃｈ，　Ｆｕｌｌ　ｓｗｉｎｇ，」（初球をフルスイングする）と宣言して打席に入り、カーショーの初球を中前安打もけん制死。２打席目は四球。

　▽２３年（シアトル）　初めて１次投票でリーグトップの得票で、最終投票に進まず出場決定。先発投手でも選手間投票５位で選出。右手中指の爪とマメの状態を考慮して登板と本塁打競争は回避し、試合では打者のみの出場。「Ｃｏｍｅ！　ｔｏ！　Ｓｅａｔｔｌｅ！」（シアトルに来て！）の大合唱の中、空振り三振、四球と快音は響かなかった。

　◆メジャー球宴ファン投票　スタメン野手を決めるファン投票は、２段階で実施された。１次投票ではリーグ最多得票の選手のみが先発出場決定。当該選手のポジション以外は１次投票の上位２人（外野は最大６人）で最終投票が行われ、投票数が多かった選手がスタメン入りする。控え野手と投手は、選手間投票とＭＬＢ推薦などで決まり、全出場選手は７日（日本時間８日）に発表される予定だ。