【高校野球】浜松開誠館の「怪物」中村航大がノリ打法で連覇に導く…全国高校野球選手権静岡大会・話題校紹介
スポーツ報知 / 2024年7月5日 8時48分
夏連覇を狙う浜松開誠館の注目選手は中村航大左翼手(3年)だ。1月に中日2軍打撃コーチから同校コーチに復帰した中村紀洋氏(50)が「怪物」と評価する逸材が、持ち前の打力でチームを引っ張る。春季県大会3位で第1シードとして臨む初戦は13日、常葉大菊川―静岡学園の勝者と対戦する。
近鉄などでNPB通算404本塁打を放った中村コーチがほれ込むスラッガーが浜松開誠館にいる。中村は5月中旬に投手から転向し、2か月弱で強豪校のクリーンアップに名を連ねるようになった。
遅咲きの右打者を中村コーチが見たのは3月。投手陣が軽めに行っていた打撃練習で「打者で使わなきゃあかん」と衝撃が走ったという。「ボール球に全く手を出さない選球眼、日頃からバッティングをしている子でも出せないパワー。打撃練習をしていなかった中でも、チーム一の打撃力だった」と絶賛した。
チームでは、投手陣は基本的に打撃練習をしない。輝きを放った原石だが、自主性を重んじる指導方針のため、本人が転向を決めるまで指導できずにいた。決断まで2か月かかった中村は「投手をずっとやっていたので貫きたかった」と明かした。
1年夏に右肘を疲労骨折。一度は復調も再び痛めて2年秋には捕手を務めた後、再び投手に戻った。だが今年2、3月も肘の状態はよくなかった。浜野洋監督(49)との面談で、エース左腕・松井隆聖を筆頭に層が厚い投手陣でのメンバー入りは難しいと告げられた。それでも踏ん切りがつかなかったが、5月中旬の三者面談後、母に「最後の夏は野手で勝負をかけたい」と打ち明けた。
全くしてこなかった打撃練習に本格的に取り組み始めた。今はステップの位置、打球に対する手の力の入れ方など“ノリ打法”を吸収し、磨きをかけている。
最近の練習試合は主に「5番・左翼」で出場し、最後の夏は背番号17をつかみ取った。「諦めていたところはあったけど、努力が報われてよかった」と喜びを隠せなかった。春はベンチ外だっただけに秘めた思いはある。「3年生の中にはずっと野手でやっていて、メンバー落ちした仲間もいる。その人たちに応援してもらえるように全力でプレーしたい」とグラウンドに立つ責任感をにじませた。
(伊藤 明日香)
〇…昨夏甲子園経験組も負けていられない。主将の加藤蔵乃介一塁手、大迫翔輔捕手、竹内文太三塁手(いずれも3年)は「昨年の甲子園は先輩に連れて行ってもらった舞台。今年は自分たちの力で行く。夏を経験した分、チームを引っ張っていきたい」と同じ考えをもっている。春は4番打者の加藤は勝負強さ、大迫は俊足を生かしたバント処理などで見せる巧みなフィールディング、竹内は打撃での粘りに自信。それぞれの持ち味を発揮する。
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