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【番記者の視点】新主将の伊藤敦樹「迷いなく決断した」 浦和でリーダー像学んだ2人の選手とは

スポーツ報知 / 2024年7月6日 15時0分

浦和・伊藤敦樹

 【浦和担当・星野浩司】 顔つきがいつもと違う―。新キャプテンとして初陣に挑む浦和MF伊藤敦樹の精悍(せいかん)で引き締まった表情を見て、そう感じた。

 6月30日のホーム・磐田戦(埼玉)。選手入場時に大型ビジョンに映された伊藤の左腕にキャプテンマークが巻かれ、どよめきと大拍手が起こった。流通経大4年以来の主将。プロ入り後は初のコイントスは「勝ったけど決めていなくて、(コートかボールか)どちらにしようか悩んだ」と振り返り、円陣でチームメートに一声かけて臨んだ。

 前半21分に左クロスでDF石原広教のプロ初ゴールを、後半7分には右クロスでMF渡辺凌磨の追加点をアシストした。最大の見せ場は同29分。DF大畑歩夢の左クロスをMF武田英寿がスルーし、伊藤が相手の股を抜く右足シュートを決めた。左胸のエンブレムを何度もたたき、ゴール裏サポーターへ雄たけびを挙げた。

 このゴールを呼んだのは、伊藤の「声」だった。武田がその内幕を明かす。「めっちゃ大きい声で『スルー!』って言われた。あの時だけです。これはよほどほしいんだなと思ってスルーした」。伊藤は「自分は声を出して引っ張っていくのは苦手。姿勢で引っ張っていきたい」と比較的クールなタイプだが、得点や勝利に対する強い意思がいつも以上に表れた瞬間だった。

 6月末、前主将の元日本代表DF酒井宏樹が海外移籍のためチームを離脱。チームリーダーが空位となっていた同28日の練習後、伊藤はGK西川周作とともにクラブハウスの監督室に呼ばれた。堀之内聖スポーツダイレクターをまじえて行われた、ヘグモ監督との話し合い。「経験などを踏まえれば、周作がキャプテンになっていても自然だった」と指揮官は明かした。決め手の1つになったのは、守護神の一言だった。

 西川「浦和の将来を担う敦樹がキャプテンになるべき。すでにリーダーシップを発揮している」

 伊藤「リーダーになる準備はできています」

 浦和で11年目、主将も経験したことがある38歳の西川。下部組織から育ち、浦和への強い思いを持つ25歳の伊藤。2人の考えは一致した。伊藤は「迷いなく決断した。務めたいというより、務めなければいけないと思ってた。覚悟はあったので、すぐ決断した」。その覚悟は、2日後の埼玉スタジアムのピッチで十分に証明した。

 「自分なりのキャプテン像を作りたい」。浦和で多くの先輩選手の背中を見てきた中、理想のリーダー像は2人いるように感じる。

 1人は阿部勇樹氏(現・浦和ユースコーチ)。伊藤がプロ1年目の21年、デビュー戦となった開幕・FC東京戦で当時主将の阿部とダブルボランチでフル出場した。「サッカーへの姿勢、人間性の部分、プレーも含めて尊敬できる。レッズへの思いは受け継いでいきたい」。伊藤自身が幼少期から客席で声援を送り、21年限りで現役引退したレジェンドから学んだ姿勢を継承している。

 もう1人は、6月末にJ2徳島へ移籍したMF岩尾憲だ。22年からボランチでコンビを組み、昨年はACLで優勝。伊藤が攻め上がり、岩尾が後ろでバランスを取り、ともに中盤を支えた。「岩尾選手のキャプテンシー、ピッチ上での立ち振る舞い。学べることがたくさんあった。ピッチでうまくいかない時はみんなが岩尾選手に『どうする?』と相談しに行き、岩尾選手がすぐにまとめていた。見習っていきたい」と伊藤は言う。“ピッチ上の監督”とも称された視野の広さ、落ち着き、そして言語化能力。経験も特長も性格も違えど、伊藤の今後のリーダーシップにも生かされそうだ。

 3連勝がかかる6日・湘南戦の会場は、浦和駒場スタジアム。伊藤の実家からほど近く、幼少期からサポーターとして応援してきた思い出の地だ。今月1日に主将就任を正式に発表後は初の一戦。「主将としてチームを引っ張って、後半戦はいいスタートを切れてるので、上位陣に食らいついて優勝争いできる位置まで戻りたい」。その言葉にはキャプテンとしての自覚がにじんでいた。

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