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南こうせつのラストサマーピクニック ウソの「またね」から5年「覚悟決めた」43年の歴史に幕 9月23日武道館

スポーツ報知 / 2024年7月7日 11時30分

「歌はね、喉が続く限りは歌いたいね」と語る南こうせつ(カメラ・池内 雅彦)

 シンガー・ソングライターの南こうせつ(75)が、9月23日に東京・日本武道館で「ラストサマーピクニック in 武道館」を開催し、43年に及ぶ歴史に幕を下ろす。1981年から10年連続で行われ、自身の代名詞とも言えるオールナイトの野外イベント。99年から4度復活したが、「ラスト」と銘打った今回は初の屋内開催。今公演に込めた思い、今後の音楽人生などを語った。(加茂 伸太郎)

 すがすがしい表情だった。こうせつは優しくほほ笑むと、「今回で最後にしようと思います」と、はっきりとした口調で言った。

 サマーピクニック(サマピ)は1981年に第1回(熊本・阿蘇郡産山村)を開催。故郷の大分を含め、九州地方で90年まで行われた。99年からは福岡(香椎パークポート)、静岡(つま恋)、大阪(万博記念公園)など節目の度に4回開催。音楽フェスティバルの源流とも言われ、自身の30代を象徴するイベントとなった。

 「本当は2019年で最後にしようと思っていたんです」。5年前の前回は「サマーピクニック~さよなら、またね~」とタイトルに付けた。もともとは「さよなら」だけの予定が、一部の熱狂的なファンから「寂しすぎる。希望が持てるから、ウソでもいいので『またね』を付けてほしい」と言われ、加筆した経緯があった。

 「“ウソでもいいので”というから(最終的に)タイトルを変えたら、みんな喜んでくれて。でもね、2、3年前から『またね』って言いましたよ!って、脅しに近いことを言われるようになって(笑い)。気付いた時には『またね』で、またやらないのはおかしいという流れに。あれれ?って」

 実際に、全国各地から開催を懇願する署名が届いた。観客の思いが目の前で形になった時、決心がついた。「僕が火を付けたけど、そういう(思い出深い)コンサートをやってきたんだと実感しました。よし、分かった。だったら、やろう!と。ただし、ラストにすると覚悟を決めました」

 全14回、40年以上の歴史を誇るが「全ての責任を持ってやってきた」という自負がある。「食事や交通、トイレなどの衛生面…全部に目を通してやってきた。やるからには、いい思い出を作ってほしい。だからこそ(僕が)この年齢で行う野外は無理だな、屋根が欲しいなと思ったんです。一番は天候かな。台風や線状降水帯が発生した時、責任を取れないなと」

 “屋根のある場所で意味のある場所”を探した時、行き着いたのが日本武道館だった。武道館は76年にソロコンサートを行った思い出の会場。75年に吉田拓郎(78)とともに、6万人を集めた伝説の「つま恋」コンサート(静岡・掛川市)を成功させた翌年だった。

 「つま恋の興奮が残ったままで。もっと憧れられるようなコンサートをしたい、という願望がありましたね。周囲は『無謀だ』と言ったけど、僕の熱意にみんなが反応してくれた。僕ら世代の武道館のイメージは、1966年にビートルズが来日してやった会場。いつかやってみたいけど、夢のまた夢のような場所。海外のミュージシャンばかりがやっていたから、手を挙げるのは勇気がいったけどね」

 サマピで最も記憶に残るのは第1回。激しい雷雨のため、公演途中で中止になっている。インターネットもない時代に、交通も不便な山奥での開催。「来られるものなら来てみろ!」という標語を作り、ラジオなどで呼びかけると、全国各地から8000人が集結した。宿舎に戻る道中、雨がやんだため、こうせつは会場までUターン。帰路に就けない500、600人のために即席のミニライブを行っている。

 「1つだけマイクが使えたから、アコギで3曲ぐらい歌ったのかな。『来年もやるから!』までは良かったけど、『10回やるからね!』と言っちゃってね、勢いで(笑い)。1回きりのつもりだったし、10回やるつもりなんてなかったのに。これぞ野外の力ですね」

 宣言通り90年まで“有言実行”。82年(第2回)のTHE ALFEE、サザンオールスターズ、84年(第4回)、90年(第10回)のチャゲ&飛鳥(現CHAGE and ASKA)、86年(第6回)のBOOWY、88年(第8回)の沢田研二ら、毎回ジャンルを超えたアーティストが集い、大きな話題を呼んだ。

 今年デビュー55年目、5年後に80歳を数える。同世代のアーティストの活動が「すごく刺激になる」と語る一方、昨年は高橋幸宏さん(享年70)、坂本龍一さん(享年71)、谷村新司さん(享年74)が逝去。フォーク界でも2005年に高田渡さん(享年56)、17年に遠藤賢司さん(享年70)との別れを経験した。

 「活動したい時、元気にステージに上がることができる。これって、とても幸せなことだと身をもって感じます。同世代が亡くなるのを見ると、決して当たり前じゃない、幸運なことなんだなって思います」

 この先の音楽活動について、どんなビジョンを描くのか。「どうなっちゃうんでしょうね。やってみないと分からない」としながらも、「喉が続く限りは歌いたいね。歌が大好きな人間だから。お客さんの前でピタリと歌うのをやめるということは、僕はない。(喉が続く限り)歌っていきます」と約束した。

 これからも音楽の道は続くが、サマーピクニックは、いったん終止符を打つ。

 「第1回に20歳で参加した人は63歳になっているわけだから。みんなも還暦を超えるけど、それが、またいいよね。夏の季節の風に吹かれながら、一人ひとりが自分と向き合い、思い出作りをする。そんなサマーピクニックをイメージしながら、一緒の時を過ごしてほしいです。ただただ、ひたすらに楽しんでほしいね」

 許して朗らか 〇…こうせつは現在、全国ツアー「デビュー55周年記念 南こうせつコンサートツアー~神田川~」を開催中。健康の秘けつについて「一番いいのは、クヨクヨしないこと。なるようにしか、ならないから。死ぬときは死ぬ。故に、朗らかに生きられたら。仕方がないな~っていうぐらいに相手を許す力、許容範囲を広げる。そうすると、朗らかになれますね」と話した。

 ◆南 こうせつ(みなみ・こうせつ)1949年2月13日、大分市出身。75歳。70年デビュー。直後に「かぐや姫」を結成。「神田川」「赤ちょうちん」「妹」がヒット。ソロとしても「夏の少女」「夢一夜」がヒットした。86年「広島ピースコンサート」、92年から環境への意識を盛り込んだ「GREEN PARADISE」を開催。2006年「吉田拓郎&かぐや姫コンサートinつま恋」を31年ぶりに行った。

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