22歳杉浦悠太「あの場面は絶対に」10歳から指導受けてきた恩師の超秘策…日本人2人目の大会初出場V
スポーツ報知 / 2024年7月8日 6時0分
◆報知新聞社後援 男子プロゴルフツアー 今季メジャー第2戦 日本プロ選手権 最終日(7日、岐阜・富士C可児C志野C=7201ヤード、パー72)
プロ2年目の杉浦悠太(22)=フリー=が、国内4大メジャー初制覇を果たした。2打差の単独首位から出て3バーディー、3ボギーの72で通算18アンダーでアマチュア時代を含め通算2勝目。詳細データが残る1985年以降では、2009年の池田勇太以来、日本人2人目の大会初出場Vを完全優勝で達成した。1926年創設の日本最古のメジャー大会で、最速プロ12戦目での初優勝ともなった。2025年から5年間のシード権を獲得し、賞金ランクは8位から2位に浮上。目標の海外進出へ足掛かりをつかんだ。
入念な準備が大勝負をかけた場面で実った。パー4で逸機が続き、蝉川を突き放せない展開で迎えた2打リードの18番。第1打がバンカーのあご付近につかまり、第3打でグリーンに届かないピンチに陥った。残り12ヤード。花道からの第4打ではウェッジの選択肢もあった。しかし握ったのはパターだった。手前に切られたピンをかすめ、1メートルに止めた。外してダブルボギーなら蝉川に追いつかれてプレーオフに突入していたが、落ち着いて沈め激戦に終止符を打った。
「ここはグリーンから(傾斜で)落ちる形状が多い。練習ラウンドからアプローチをやってミスしていたので、パターを決断できた」と杉浦。10歳頃から教わる奥雅次コーチ(52)がシニアの中部大会などでこの会場をよく知り、この日の朝にコーチから得た「あの場面は絶対にパターでいこう」という助言が生きた。ナショナルチーム時代に磨いた、グリーン外からパターで寄せる技が、窮地を救った
昨年11月のダンロップフェニックスで史上7人目のアマVでプロ転向。開幕から5戦連続トップ10も優勝には届かず、初出場の日本プロでタイトルを手にした。「プロとして1勝、と言われ続けてきたのでホッとした部分が大きい」。隣県の愛知出身でファンの声援にも背中を押された。
賞金ランクでは、既に欧州ツアーに主戦場を移した首位の桂川有人(25)に約770万円差に迫る2位(獲得賞金5941万804円)に浮上した。5年シードも獲得し「今季は賞金王を目指して頑張っている。海外に行きたいと思っているので、複数年シードはうれしい」と喜んだ。22歳は理想像を「どこへ行ってもたくさんギャラリーが来てくれる人気のあるプロになりたい」と語った。4日間で一番暑い最高気温37度の熱戦を制し、ポーカーフェースが満面の笑みに変わった。(岩原 正幸)
◆悠太に聞く
―タフな設定の中での優勝。
「日に日にラフが長くなり、フェアウェーを外すとグリーンに乗せるのが難しくなる。今回の優勝は大きな1勝になる」
―22年日本OPを蝉川が制し、自身は3位。
「あの時はこの人には勝てないなというくらいすごいプレーを見せられた。競り勝って優勝できたことは自信になる」
―2年前の日本プロで日大の先輩・堀川未来夢の優勝を会場で応援。
「勝ち切った姿を見ていて本当に格好いいなと。こうしてこのタイトルを取れてうれしい」
―クラブを替えることがあまりない。
「調子が悪くなるのはクラブのせいではなく、自分のせい。何が変わったかを考えている」
◆杉浦 悠太(すぎうら・ゆうた)
▽生まれ、サイズ 2001年9月12日、愛知・高浜市生まれ。22歳。172センチ、74キロ。
▽ゴルフ歴 4歳の頃、父の影響で始める。強豪の福井工大福井高で腕を磨き、18年の日本ジュニアなどで優勝。19年、アマチュア日本代表に初選出。20年、日大国際関係学部に入学。23年9月、下部ツアーで史上8人目のアマチュア優勝を達成。同11月ダンロップフェニックスでは史上7人目のアマV。得意クラブはウェッジ。ドライバーの平均飛距離は290ヤード。
▽趣味 野球観戦。中日ドラゴンズのファン
▽好きな食べ物 焼き肉。ダンロップフェニックス2日目の夜には宮崎牛を堪能した。
▽家族 両親と妹。
▽憧れの選手 ルーク・ドナルド(英国)。今年からは同じくミズノブランドアンバサダーを務める。
◆杉浦の大会記録
▽初出場V 09年の池田勇太以来、日本人2人目(外国選手含め5人目)
▽最速 プロ転向後12試合目での制覇は池田の16試合目を抜いた
(上記は詳細なデータの残る1985年以降)
▽完全優勝 初日から首位を譲らない完全Vは、昨年の平田憲聖に続き9人目(10例目)
▽年少3位 22歳299日での制覇は昨年の平田(22歳246日)、21年金成(韓国)に続き3番目の若さ
(いずれも73年ツアー制施行後)
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