【特別連載】東京Ｖ城福浩監督、日本代表ＦＷ三笘薫は「サッカー界にとっての宝」７月２８日ブライトン戦での対戦心待ち

東京V・城福浩監督（カメラ・宮崎　亮太）

◆国際親善試合　東京Vvsブライトン（７月２８日午後６時30分開始・国立競技場）

　東京Ｖの城福浩監督（６３）がスポーツ報知の取材に応じ、今夏のジャパンツアーで来日する英プレミアリーグ・ブライトンとの対戦に向けて意気込みを語った。７月２８日（国立競技場・午後６時半キックオフ）に行われる一戦は日本代表ＭＦ三笘薫（２７）にとっての凱旋試合。三笘について、指揮官は「サッカー界にとって本当に宝です」と敬意を表し、広島を指揮していた時に対戦した当時の印象などを振り返った。（取材・構成＝後藤　亮太）

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　東京Ｖがガチンコ勝負で挑むブライトンには、日本代表ＦＷ三笘薫がいる。世界基準のアタッカーにとっては、自身初の日本が凱旋試合。さらに腰痛のため２月末を最後に実戦から遠ざかっており、プレミア３シーズン目となる新シーズンからの復活に向けて重要なプレシーズンでもある。城福監督は、広島を指揮していた２０２０、２１年に、川崎に在籍していた三笘と対戦しているが、当時の記憶は今でも鮮明に刻まれている。

　　「ちょっと止まらなかったですね。もちろん周りのレベルも高かったので、三笘選手だけを抑えればいいという状況ではなかったんですけど、彼にボールが入ると全てが始まるというか、スピードアップした中でアイデアが出てくる。そのレベルはＪリーグの中で少し抜きん出てたかなと思います」

　　実際に対戦したのは、２０年に２度（第１６節１●５、第２２節０●２）、２１年に１度（第１０節１△１）の計３回。２０年はともに後半からの途中出場だったが、いずれも出場後に４失点、２失点（三笘１得点）を喫した。決して長い時間プレーしたわけではないが、途中から出てくることで、その脅威は増していたという。

　　「ちょっとオープンになった時に出てくる三笘選手は、手が付けられなかったですね。おそらく彼も成長のプロセスにあったと思うし、（２０年は）大卒１年目でいろんなことに慣れている最中だったと思うんですけど、多少オープンになった時、彼に前を向いた状態でボールを持たれたら、ほぼクロスまで行くか、シュートまでいってたような印象があります」

　三笘は、敵将だった城福監督だけではなく、対峙（たいじ）した助っ人外国人にも、強烈なインパクトを与えていたという。

　「（１９～２１年まで広島でプレーしていた）ハイネルという選手が、（１７年に）フロンターレにいて、練習参加していた三笘と一緒にやっているので、マークに当てたんですけど、『自分が相手できるような選手じゃない』と言っていた。そう言われるくらい、外国人選手からも一目おかれていましたね」

　圧倒的なスピードとドリブルを武器に三笘はＪリーグで無双していたが、城福監督の目に映ったのは、貪欲なまでの向上心だった。

　「相手チームのベンチながらに（感じたことは三笘が）、自分がちょっとやれている感で満足している様子を全く見せていなかった。上昇志向というか、そういう姿勢を持つ選手が、どんどん上に駆け上がっていくんだなというのも感じました」

　その後、世界を代表するアタッカーに成長を遂げていった「三笘薫」だが、その存在自体が日本サッカー界を向上させていると、Ｊ１最年長６３歳の指揮官は断言する。

　「日本の子どもたちや若い選手の目標になってるじゃないですか。彼の華麗なドリブルと、“三笘の１ミリ”に代表されるようなハードワーク、野心や現状に満足しないような向上心というのは、サッカー界にとって本当に宝です。彼のようになりたいと思っている子どもたちがサッカーを始めたり、親御さんたちがサッカーをさせたりとかという意味でも、普及から育成、全てに影響を及ぼしてくれている選手。ピッチレベルでもし会うことができるのであれば、感謝の念を込めて会話というか、やり取りをしたいなと思います」

　「日本サッカー界の宝」とまで表した相手だからこそ、その一回一回のマッチアップが、ヴェルディの選手にとっては貴重な機会となる。

　「両ウィングが強烈なので、メンバーがどうなるか分からないですけど、我々らしく目指しているものをしっかりやって、それがどこまで通用するかというのが大事。（三笘）対策は全く考えていないです」

　多くのサッカーファンと同じように、城福監督も、ピッチで躍動する三笘薫の姿を心待ちにしているようだった。

【第３回（最終回）は７月１１日更新予定。「ブライトンにヴェルディが志向するサッカーをぶつける」に続く】