ＴＲＥＡＳＵＲＥの「ＳＴＵＰＩＤ‐ＪＰ Ｖｅｒ．‐」 ヒットの要因は「曲調と歌詞のエモさ」

「止まってくれよ涙ダンス」が流行したＴＲＥＡＳＵＲＥ

ＴＲＥＡＳＵＲＥ「ＳＴＵＰＩＤ―ＪＰ　Ｖｅｒ．―」

　韓国発のボーイズグループ「ＴＲＥＡＳＵＲＥ」の「ＳＴＵＰＩＤ‐ＪＰ　Ｖｅｒ．‐」がＴｉｋＴｏｋで「止まってくれよ涙ダンス」として流行し、総再生回数が５月からの２か月間で約３億回を記録している。「ビルボードＴｉｋＴｏｋ週間ＴＯＰ２０」でも４位（５月２９日公開）にランクインするなど、Ｚ世代を中心に話題となっている。

　ＴＲＥＡＳＵＲＥは韓国のオーディション番組「ＹＧ宝石箱」で結成されたグローバルグループ。韓国での人気はもちろん、日本での勢いもすさまじく、昨年９月以降に日本で行ったライブ・イベントの動員数は４５万人超をマークした。

　今回バズった同曲は失恋をテーマに制作。「止まってくれよ涙～」から始まるヒョンソク（２５）によるラップ４小節部分がヒットし、エイベックス・ミュージック・クリエイティヴの制作スタッフは「今、ＴｉｋＴｏｋで流行しているイージーリスニング（安らかなリズムの音楽）っぽい曲調と歌詞のエモさが刺さったと感じています」と分析する。

　手振りダンスについては、もともと本人たち発信ではなかったが、ＴｉｋＴｏｋｅｒ集団「ローカルカンピオーネ」が自主的に振り付けて投稿。別の制作スタッフは「歌詞にあった手振りが誰にでもマネしやすくて分かりやすかった」と感謝する。６月１７日には、ヨシ（２４）が同ダンスを踊った動画を投稿し、さらなる流行に拍車をかけた。

　グループの曲の特徴について同スタッフは「ダンサブルなヒップホップな曲と、ボーカルメインのイージーリスニングな曲の２つの軸を持っている」と明かす。「イージーリスニングはＴｉｋＴｏｋユーザーの好みや習性にマッチしやすいのでは」とにらんでおり、そこに見事当てまった格好だ。

　歌詞については、日本語版を作詞する際に３人の日本出身メンバーが携わっていることが強み。先に制作した韓国語版を忠実な日本語に訳し、なおかつ日本出身メンバーによるナチュラルな発音で歌えることから「日本語版でもＴｉｋＴｏｋで流行しやすいのは、そういうところもある」とうなずく。

　この勢いに乗るべく、６日から男性Ｋ―ＰＯＰグループとしては異例の規模となる全国６都市２３公演のファンミーティングを開催中。８月２１日にリリースされる日本オリジナルシングル曲「ＲＥＶＥＲＳＥ」がテレビ朝日系ドラマ「伝説の頭　翔」（１９日スタート、金曜・後１１時１５分）の主題歌に決定するなど、今後の活躍ぶりから目が離せない。（松下　大樹）