大谷翔平、本塁打だけを求めない姿勢がメジャー200号に 809試合での達成はベーブ・ルースを上回るハイペース
スポーツ報知 / 2024年7月14日 23時0分
◆米大リーグ タイガース11×―9ドジャース=延長10回=(13日、米ミシガン州デトロイト=コメリカパーク)
ドジャース・大谷翔平投手(30)が13日(日本時間14日)、敵地・タイガース戦で日本人初のメジャー通算200号となる29号ソロを放った。通算809試合目での到達(投手のみの出場15試合含む)は、通算714発のベーブ・ルースの817試合を上回るハイペース。16日(同17日)のオールスターまで1試合を残し、4年連続の30本塁打まであと1本、日米通算250号にもあと2本に迫った。その進化の過程を安藤宏太記者が「見た」。なおド軍は延長10回サヨナラ負けを喫した。
大谷にとっては通過点でしかないだろう。日本人初となるメジャー通算200号を放っても、いつもと同じように淡々とダイヤモンドを回り、小さな笑みを見せるだけだった。
同点の5回先頭の3打席目。先発右腕・モンテロの2球目のチェンジアップを捉えると、打球は一直線に右翼ポール際のスタンドへ突き刺さった。6試合、24打席ぶりの一時勝ち越しとなる29号ソロ。ジャッジ(ヤンキース)の671試合などには届かないが、出場809試合目での200号は、あのベーブ・ルースの817試合を上回った。チームがサヨナラ負けしたこともあって大谷の取材対応はなかったが、ロバーツ監督が「本当に信じられない。驚くべき速さ」とたたえた。
大谷の強みは、ハイレベルなパフォーマンスを大きな波もなく出し続けられることにある。21年以降は543試合で153発。3・5試合に1本のペースで打ち続けている。22年9~10月に自己ワーストとなる22戦連続本塁打なしがあったのは例外的で、長距離砲特有の「穴」にはまることが少ない。本塁打の飛距離、打球速度なども毎年の平均値はほぼ変わらず、トップレベルの数字を残し続けている。
調整法、打撃フォームなどは変化を恐れず次々にアップデートしていく。今季もクリケットの平たいバットを使ってボールを面で捉える感覚を養ったかと思えば、今では打席に入る際にホームベースと自身の立ち位置をバットを使って測り、安定させる姿がおなじみとなった。多くの首脳陣に助言を求めてヒントを探り、30歳になっても「技術は年を重ねるごとに上がっている」と胸を張る。
メジャーでは打率以上に出塁率と長打率を足したOPSが評価基準として重要視されるが、大谷は本塁打を求めながらも、状況に応じて軽打に徹するシーンが目立つ。その証拠に29本塁打で3ランと満塁弾はなく、得点圏に走者を置いてのアーチも1本しかない。前日12日に決勝の適時二塁打を放った同点の9回2死一、三塁でも「本当にヒットで、1得点でいいので何とか打ちたいなと思っていた」と振り返った。決して本塁打だけを求めてきたわけではない中で、MLB屈指のアーチストになった。
4年連続30号に王手をかけ、日米通算250号にもあと2本。これまでさまざまな節目に達しても「あしたまた勝てるように」「また次の1本を打てるように」と、決して浮かれず、すぐに視線を次戦へと向けてきた。14日(同15日)は球宴前最終戦。いたってシンプルな勝ちたい、打ちたいという気持ちを持ち続けていることが、大谷の原動力になっている。(安藤 宏太)
〇…大谷の米通算200号のボールを右翼席でキャッチしたのは、地元ミシガン州在住でタイガース・ファンのE・ワインクープさん(43)だった。息子から父の日のプレゼントでチケットをもらって家族で観戦。地元放送局や日本メディアが次々集結して取材を受け「こんなことは人生で初めて」と驚きを隠せなかった。ボールを見つめながら、大谷や球団サイドから返却を求められた場合は「喜んで渡す」と話し、その後サインボールなどと交換。記念球は大谷へ渡った。
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