【高校野球】逆転の浜商が9回4-9から6得点…劇的サヨナラ勝ちを決めた波多爽志捕手「僕も後ろにつなぐ気持ちでした」
スポーツ報知 / 2024年7月15日 8時25分
◆全国高校野球選手権静岡大会 ▽2回戦 浜松商10-9清流館(14日・掛川)
2回戦残り16試合が行われた。春16強で第3シードの浜松商が、9回に5点差をひっくり返し清流館に10―9でサヨナラ勝ち。「逆転の浜商」の意地を見せた。初戦を迎えた春王者・加藤学園、常葉大橘などシード8校は順当に勝ち進んだ。20日に3回戦8試合が行われる。
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まさに、筋書きのないドラマのような試合だった。高校野球のオールドファンには「逆転の浜商」で親しまれる伝統校が、大逆転劇を演じた。9回5点差をひっくり返してサヨナラ勝ち。同点の2死二塁から右前適時打で熱戦に終止符を打った6番・波多爽志捕手(3年)は「みんながつないでくれたので、僕も後ろにつなぐ気持ちでした」と、興奮気味に話した。
春の再現だった。県大会2回戦・富士市立戦で2―6の9回表に、7点を奪って逆転勝ちしただけに、選手は誰も諦めてはいなかった。「正直、9回に1点追加されてダメかと思ったけど、ベンチに戻ってきた選手たちが、『まだいける』と言っていたので、これならと思った」と、戸塚和也監督(51)が、正直な胸の内を明かした。
導火線に火を付けたのは主将だった。先頭打者の金子隼人一塁手(3年)が二塁打で出塁。「どんな形でも出たかった」。代打の島田稜真(3年)がつなぐと、怒とうの反撃。2点差に追い上げ、なお2死一、三塁から5番・永徳京平左翼手(3年)の右中間へ破る二塁打で同点。「自分を信じて打席に入った」。最後は波多のバットから劇打が生まれた。
指揮官が頼もしい選手たちを見つめた。「今年はダッシュを最後の一歩まで走り切る。練習後も最後のグラウンド整備まで手を抜かない。細かいことをおろそかにしなかったのが結果につながったと思う」。最後の最後に、勝利の女神がほほ笑んだ。
春夏通算17回甲子園出場の名門も、2000年夏以来、聖地から遠ざかっている。「昔の強い時代に近づいていると思うし、自分たちで強い浜商をよみがえらせたい」と、サヨナラの本塁を踏んだ永徳はキッパリ。「逆転の浜商」のメンタリティーを受け継ぐ後輩が、この勢いで戦国大会を駆け抜ける。(塩沢 武士)
◆「逆転の浜商」メモ
▽1975年夏(57回大会)甲子園2回戦 石川(沖縄)戦で高林が大会史上初の逆転サヨナラ本塁打を放ち、6―5で劇的勝利を飾った。
▽78年センバツ(50回大会)2回戦 早実(東京)戦で一時は1―4とリードされたが、8回までに追いつくと、遊撃手から好救援した青野が9回表に勝ち越し三塁打を放ち、5―4で逆転勝利。その勢いで初のセンバツ優勝を果たした。
▽84年夏(66回大会)甲子園1回戦 智弁学園(奈良)戦で7点差をひっくり返して9―8で大逆転勝利を収めた。
▽2000年夏(82回大会)県決勝 常葉菊川(現常葉大菊川)戦で1点ビハインドの延長10回裏、連続押し出しで逆転サヨナラV。9度目の夏の甲子園出場を決めた。
〇…掛川西は浜松城北工に2-1。右サイドのエース・高橋郁真投手(3年)が5安打無四球1失点完投。わずか96球で、センバツ21世紀枠の県候補・浜松城北工を料理した。昨年は2年生ながら背番号1を背負い初戦・静清戦に先発。試合には勝ったものの、きょうと同じ掛川球場で足をつって途中降板だった。「制球力も意識して取り組んできた。体重も7キロアップしてスタミナには自信がありました」。シード校のエースとして地元の球場で1年間の成長を見せつけた。
★浜松城北工・高林龍也投手(シード掛川西を2失点に抑えるも)「前半のピンチでスタミナを使って後半、下半身に力が入らなかった。球が浮いてしまった」
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