【高校野球】履正社が夏連覇へ大勝発進 阪神ファンの近沢賢虎が２ラン含む２安打３打点２盗塁「“アレのアレ”を目指す」

３回に２ランを放つ履正社・近沢賢虎

◆第１０６回全国高校野球選手権大阪大会　▽２回戦　履正社１０―０豊中＝５回コールド＝（１５日・住之江公園野球場）

　大阪大会では、昨夏覇者の履正社が８安打１０得点の５回コールドで初戦を制した。虎党の１番打者の近沢賢虎右翼手（３年）が、２ランを含む２安打３打点２盗塁と大暴れ。投手陣も完封リレーで、連覇へ好発進を決めた。

　履正社の“虎の子”が、アレンパへの扉を開いた。８―０の３回１死一塁、１番・近沢が放った打球は左翼へ。「感触が良かった」と振り返る当たりは、９０メートルのフェンスを遥かに超える、特大の２ランとなった。驚がくのパワーで５回コールド勝ちを決定づけた右打者は２回にも適時打を放ち、３打点。「ライナーの意識が（結果に）つながった。公式戦では初（本塁打）です」と、快勝発進に笑みを浮かべた。

　「賢い虎」と書いて「けんご」と読む。「親がファンなので」と、縦じま好きの両親に「虎」の字が入った名を授けられた。宿命を持って生まれた近沢自身も、もちろん大の阪神ファン。「（幼い頃から）ずっと甲子園に連れて行かれた。（去年の優勝は）無理かなと思っていたので、まさかでした」と、猛虎愛をにじませながら昨季のリーグ制覇を振り返った。

　中でも“推し”の選手は、近本だ。「（近本と近沢で）ちょっと似ていて、まあそこはあれなんですけど…。走攻守揃ってて率も残せる。自分と合ったプレースタイルで、目指していきたい選手」と、同じリードオフマンとしての憧れを口にする。この日、近沢は２盗塁をマーク。巧みな打撃に加えて、入団５年で４度の盗塁王を獲得した、虎の韋駄天（いだてん）さながらの脚力でもチームに流れを呼び込んだ。

　昨季の阪神は岡田監督の発案で、選手にプレッシャーをかけないよう、優勝を“アレ”と表現。日本シリーズ前には、日本一を“アレのアレ”と呼び換え、見事に栄冠を勝ち取った。履正社は初の２年連続夏の甲子園出場に挑戦。強豪ぞろいの激戦区では厳しい戦いが予想されるが、近沢は「プレッシャーはそこまで感じない」と頼もしい。それでも「まずは大阪優勝で“アレ”をしたい。そしてその次は、日本一で“アレのアレ”を目指す」と虎党らしく岡田語録で意気込んだ。（南部　俊太）

　◆近沢　賢虎（ちかざわ・けんご）２００６年７月２７日、京都市生まれ。１７歳。川岡東小３年で、桂東体振ライオンズで野球を始め、桂川中では京都東山ボーイズＲｅｄＢｅａｒｓでプレー。履正社では１年秋から背番号９でベンチ入り。昨年は春夏連続で甲子園に出場。高校通算１４本塁打。５０メートル走６秒１、遠投９５メートル。１６６センチ、７０キロ。右投右打。