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炎鵬が478日ぶり白星「勝つってうれしい」 脊髄損傷から復帰「誰も想像つかない未来をつくりたい」

スポーツ報知 / 2024年7月16日 9時58分

炎鵬(左)が寄り切りで隈乃花を破る(カメラ・豊田 秀一)

◆大相撲 ▽名古屋場所3日目(16日・ドルフィンズアリーナ)

 元幕内で西序ノ口13枚目・炎鵬(伊勢ケ浜)が、復帰後初白星を挙げた。東序ノ口13枚目・隈乃花(武隈)との一番は右で張り気味に立つと、すぐにもろ差し。そのまま一気に出て寄り切った。7場所連続休場明けの土俵となった2日目の1番相撲こそ黒星を喫したが、十両だった昨年春場所千秋楽(3月26日)以来、478日ぶりの白星。「やっぱり勝つってうれしいことですね。昨日(敗れた2日目の15日)はいい報告ができなかったので、まずひとついい報告ができると思いますね」と、しみじみ語った。

 再起不能寸前の状況を乗り越え、土俵に戻ってきた。十両だった昨年夏場所、異変に襲われた。持病の首痛が悪化し、初日から9連敗を喫した後に部屋へ戻ると突然倒れ、首から下がけいれんを起こして、翌日から休場。脊髄損傷のため2週間の入院中は寝たきり。当初は握力が10キロ程度まで落ち、箸も持てなかった。医師から手術を勧められ、日常生活に戻るために相撲は断念するよう告げられた。当時、師匠だった宮城野親方(元横綱・白鵬)からも「今までよくやった」と声をかけられたほど復帰は厳しい状況だった。

 炎鵬自身も「何十回も何百回も無理かな、と思いました」と引退は何度も頭をよぎったが「相撲は生きがい」とするだけに諦めきれなかった。手の感覚を取り戻すため1本のひもを結ぶ練習から始まった壮絶なリハビリなどを乗り越え、土俵に戻ってきた。復帰したことで周囲の反響も大きかったそうで、「想像以上に皆さんに見ていただいて、ここまでやってきてすごく良かったなと思いました。これからさらに頑張っていかないと、という気持ちになりました」と一層、気合を入れた。

 1番相撲のあとは、現在は伊勢ケ浜部屋付きの宮城野親方から「硬すぎだよ」と冗談も交えながら、ねぎらわれたという。また同部屋所属で、両膝のけがなどで大関から序二段まで転落しながら横綱となった照ノ富士からも、声をかけられた。炎鵬は「最初はだめ出しでしたけどね」と苦笑。「『その番付の相撲しか取れない』と以前から言われていて、横綱も『下に落ちたときはそうだった』と。土俵に上がってそれをしみじみ感じましたね」と話した。

 首の大けがからの復活途上だけに「毎日、体の状態は自分でもわからない。相手以外にも見えないものと闘いながらやっていくしかないのかなと思います」と慎重に自らの体と向き合っていくしかない。だが関取返り咲きへの希望は失っていない。取材対応中には、通りがかった同じ金沢市出身の大鳴戸親方(元大関・出島)からも激励を受けた。金沢駅には郷土の関取の等身大パネルが設置されているが、現在、炎鵬のものは取り外されているという。「なくなっちゃって寂しいので、ひとつ(再設置を)目標に頑張りたいですね」と誓った。

 久々の土俵復帰に白星と、一歩ずつ階段を上っているが「本当にひとつひとつの積み重ねというか、ここからが本当の厳しい道のりで、自分でもどうなっていくかわからない」と難しい歩みを進めていることは炎鵬自身が誰よりもわかっている。それでも「しっかり自分で切り開いて、誰も想像できない未来をつくりたいですね」と力を込めた。

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