サッカー日本代表・佐野海舟容疑者、１７日予定の会見は「体調不良」との理由で中止発表

佐野海舟容疑者

　東京都内のホテルで３０代女性に性的暴行をしたとして、警視庁本富士署が不同意性交容疑でサッカー日本代表ＭＦ佐野海舟容疑者（２３）＝ドイツ１部マインツ＝と、知人の２０代の男２人を逮捕していたことが１７日、署への取材で分かった。署は３人の認否を明らかにしていない。逮捕容疑は、共謀し１４日午前２時から同４時半頃、文京区湯島のホテルで女性に性的暴行をした疑い。佐野容疑者は今月、ドイツ１部のマインツがＪ１鹿島から獲得したと発表したばかりだった。

　念願のドイツ行きを決めたばかりのサッカー日本代表が、一時帰国中の日本で逮捕された。署と捜査関係者によると、佐野容疑者と知人２人は１３日夜、女性と女性の知人と一緒に飲食し、その後ホテルに移動。その場で１人になった女性に性的暴行を行った疑いで、女性が直後に１１０番。駆け付けた警察官がホテル近くの路上で３人を発見した。任意同行を求めて事情を聞き、１４日夜に逮捕した。

　２３年に日本代表に選出され、今年１月のアジア杯にも出場した佐野容疑者は、今月４日に鹿島からマインツへの完全移籍が決定。関係者によると、現地での契約締結後、２１日のチーム始動日に合わせて、再びドイツへ向かう予定だった。この日予定されていた所属事務所主催の報道陣向け合同インタビューは「体調不良」を理由に１６日、中止が発表されていた。事務所はスポーツ報知の取材に「現在捜査中の案件のためコメントは差し控えさせていただく」と回答した。

　鹿島から２５０万ユーロ（約４億３０００万円）の移籍金が発生する４年契約を結んだマインツも一報を受け、ＳＮＳ上で声明を発表。「報道に驚いている。情報が不足しており、現段階でコメントできることはない。問題が迅速に解決するように努めていく」と捜査状況を見守りながら対応を行う構えを示した。現地紙ビルトは新加入ＭＦの逮捕を大々的に報じ「（始動日の）２１日のトレーニング参加は実現しないだろう」と報じた。一方、前所属となった鹿島は移籍手続き完了を強調した上で「元所属選手に関する事案であるためクラブとしても大変憂慮しております。事案の性質上、クラブは詳細を把握できないため、今後の状況を注視してまいります」とした。

　佐野容疑者は２６年北中米Ｗ杯ではボランチの主軸として期待されていた。マインツ移籍決定の際には「選手としてさらに成長するため、このチャンスを生かしたいと強く思い、覚悟を持って海外挑戦することを決めました」とコメントしていた。新チームでの飛躍を決意してわずか１０日。全てを狂わせてしまう逮捕劇となった。

　◆佐野　海舟（さの・かいしゅう）２０００年１２月３０日、岡山・津山市生まれ。２３歳。米子北高から１９年に町田加入。２３年に鹿島入りした。同年１１月にＷ杯２次予選ミャンマー戦でＡ代表デビュー。名前の「海舟」は江戸時代の幕臣・勝海舟に由来。弟の航大はオランダ１部ＮＥＣに所属し、パリ五輪Ｕ―２３日本代表のバックアップメンバー。Ｊ１通算４７試合１得点、Ａ代表通算４試合０得点。１７６センチ、６７キロ。右利き。