パリ五輪陸上男子200メートル代表・鵜沢飛羽は有言実行の男 宮城・築館高の恩師が素顔語る…パリへ届け・東北からエール
スポーツ報知 / 2024年7月18日 6時10分
26日開幕のパリ五輪で陸上男子200メートル代表に選ばれた、宮城・大河原町出身の鵜沢飛羽(とわ、21)=筑波大4年=。その才能を開花させた築館高時代をよく知る、当時の陸上部顧問・石川雄二さんと2、3年時の担任である那須野広太さんの2人が、世界で戦う教え子へエールを送った。部活でも学校生活でも仲間を思う鵜沢は、“有言実行”の男だった。(取材・構成=有吉 広紀)
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鵜沢を3年間、一番近くで見てきた石川さん。入学時から他の選手との“違い”を感じていた。
「身長が高かったけど、速い動きが自然とできていた。すごい選手と感じていました。(指導は)フォームを変えるとかそういう意識はなくて、いいところを伸ばしてやりたいという考えでした」
高校での全国デビューは1年時10月の福井国体。だが苦い経験が残った。
「全体で3番目のタイムで決勝に残ったけど、フライングで失格したんです。まだまだ経験が足りないな、と。ただ全国で十分やれると意識したと思います」
2年時は100、200メートルともに全国高校総体に出場。だが予選に当たる県総体、東北総体は決して万全ではなかった。
「県総体の10日ぐらい前かな、個人練習で側溝に足を取られて左足首を捻挫してしまって。でも3日くらいしたらギプスを外して動き始めた。完全ではなかったけど(両種目とも)優勝して、なんとかつながった、と」
けがも癒えて臨んだ全国総体では2冠に輝いた。石川さんは大会前、学校で開かれた壮行会での鵜沢の言葉にハッとしたという。
「『日本一速い高校生になってきます』とあいさつしたんです。せめて決勝に残るくらいにしてくれよなと思ったんですけど(笑い)。自分に言って聞かせる、奮い立たせるところもあったんだと思います」
2種目連覇を狙った高3時の全国総体はコロナ禍で中止。実は連覇の他に狙っていたことがあった。
「リレー(4×100メートル)で、みんなでインターハイに行きたい、と。(実力的に)ギリギリだったので、個人よりもそっちを目指すと言っていました。でも中止になってしまって…」
パリの舞台で快走を目指す鵜沢。これまでをよく知るだけに、石川さんの願いは一つだった。
「とにかくけがをしないでスタートラインに立ってほしい。飛羽らしい、後半に伸びる走りをしてくれたら。無事走ってくれることだけを願っています」
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2年時から担任となった那須野さん。だが教室では普通の高校生だった。
「速いらしい、と聞いていたくらいで、本人がそういう話をしてくるわけではなかった。明るくてムードメーカーで、いい生徒でした」
鵜沢の周りには自然と人が集まってきた。そんな印象があるという。
「3年の文化祭は司会とか盛り上げ役を買って出てくれて、出し物なんかも率先して参加してました。集合写真とかも真ん中が比較的多い気がします」
他の生徒と変わらぬように見える鵜沢。だがある出来事に、意識の高さを見た。
「学校の周りに芝桜を植えていて、土が流れないようブロックを置いたんです。どうせなら裏側に何か書こうとなって、『何書いたらいいですかね』と言われたから、『目標タイムでも書け』と。普段は土に埋まっていて見えないです」
そうして書かれた2つのタイム(100メートル9秒95、200メートル19秒99)は、手の届くところまできた。“有言実行”でこのタイムを出せば決勝進出も夢ではない。
「大会に出ればきちんと結果を出すんだよな、と思っていて。自分の走りをしてもらえれば、何かやってくれるのかなと思います」
異動などもあり当時を知る教職員が減ってきているが、学校には鵜沢の軌跡が残っている。全国高校総体2冠の優勝トロフィーとメダルが飾ってあるのだ。
「ここに置いてあっていいんですかね…。でも、築高生頑張れよ、という思いが込められているのかもしれません」
◆鵜沢 飛羽(うざわ・とわ)2002年11月25日、宮城・大河原町生まれ。21歳。築館高1年から本格的に陸上を始め、18年福井国体少年B100メートル出場。19年全国高校総体で100、200メートルで優勝し2冠に輝く。筑波大に進み23、24年と日本選手権200メートル連覇。23年世界陸上代表。ベストタイムは100メートルが10秒30、200メートルが20秒23。身長182センチ。家族は両親と妹2人。
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