【高校野球】鹿沼商工が春季関東王者をタイブレークで撃破 サヨナラの瞬間を主将は「覚えていない」

劇的勝利にガッツポーズの鹿沼商工・大栗渉夢主将（前列中央）、（後列左から）小舘蓮聖、吉原啓太、江田春稀（カメラ・松永　瑞生）

◆第１０６回全国高校野球選手権栃木大会　▽２回戦　鹿沼商工３X―２白鴎大足利＝延長１０回タイブレーク＝（１８日・エイジェックスタジアム）

　熱戦を繰り広げた両校に、球場からは自然と拍手が巻き起こった。

　公立校、鹿沼商工が２回戦で春季関東王者の白鴎大足利と対戦。延長戦まで持ち込み、タイブレークで勝利した。

　「思い切り振り抜けた。絶対に取られるなよ、頼むと願いながら走った」。延長１０回二死二塁、右中間にサヨナラ打を放った３番・吉原啓太左翼手（２年）に笑みが広がった。

　チームでは相手校の最速１５２キロ右腕・昆野太晴対策の練習を導入。１４０キロのマシン打撃を１０～１５メートルの距離から行い、速球に目を慣れさせた。試合を決めた打席でも、「それだけを考えて、甘い球が来たら行く気持ちでいけた」と吉原。特訓が結果につながった。

　試合で率先して声を出し、チームを引っ張った主将・大栗渉夢遊撃手（３年）はサヨナラの瞬間について、「ちょっと覚えていないです。とりあえずベンチで祈っていた」と苦笑い。それだけ必死に食らいついた試合だった。

　「自分たちは栃木県で一番勝利への執念が強いチームです。甲子園行きます」と主将。チームの信条は「球際の執念」。目標に向かって、鹿沼商工ナインは執念深く強豪校に立ち向かう。