デビュー20周年松下奈緒、来年2月からの40代は「もっと楽しいんじゃないかな」
スポーツ報知 / 2024年7月20日 10時0分
女優でピアニストの松下奈緒(39)は今年、デビュー20周年の節目を迎えた。主演するテレビ朝日系連続ドラマ「スカイキャッスル」(25日スタート、木曜・後9時)では、泥沼マウントバトルに身を投じるセレブ妻役に挑戦。清楚(せいそ)なパブリックイメージとは真逆の役柄を楽しみながら演じている。音楽業、MC業の“三刀流”として唯一無二の道を歩んでいる松下だが、40代を目前に「大きな迷いはなくなった」と話す。(宮路 美穂)
高潔でエレガントなたたずまい。その一方で、屈託なく笑うおちゃめでチャーミングな表情に引き寄せられる。デビューから20年を迎えた今の心境を聞くと「『どういう役をやりたい』っていう“くくり”はもういらないなと思っているところはあります。『この役は松下で見てみたい』『この人に頼んで良かった』と面白がってもらえるようにならなきゃっていうのは常に思っているし、それが自分の励みにもなる」。自らを鼓舞し、進化し続ける姿が美しい。
セレブ妻のマウンティングや子どもの受験戦争を描き、韓国で社会現象化したドラマの日本版となる「スカイキャッスル」で松下が演じる主人公・浅見紗英は、まさに従来のイメージを裏切るような役どころ。娘の志望校合格のためには手段を選ばず突っ走る、決して善人とは言いがたいキャラクターだ。
「今まで私が演じてきた役柄を考えると、どちらかというと、そのイメージに属さないキャラクターかもしれない。今まで言ったことのないようなせりふ…例えば『偽善者!』とか、『何するか分かんないわよ』のような言葉を、公共の電波であんなテンションで言ったことはないと思います(笑い)。あれだけ感情的になれるというのも気持ちいいなと思いますし、思いっきり出すことがこのドラマの面白さにつながる。いろんな筋肉を使っているような気がしますね」
女優デビューは19歳のころ。「19歳か…」と当時のことを懐かしく思い返す。「何も考えてなかったけど、一方で、あの時の方が『あれやりたい』『これやりたい』と何でも思っていたかもしれない。でもやっぱり20年たってみると、自分はこういう方向性が好きなんだ、得意なんだと自分を知れるようになったし、今は着実に『これをやるためには、こうしなければいけない』という自分の中での設計図みたいなものが立てられるようになってきた」と地に足をつけて歩けるようになったという。
このほど20周年コンサートを終えたばかりだが、音楽活動についても変化を実感している。「もともとは海外のドキュメンタリーや絵画を見たり歴史上の人物の話を聞いたりして、東京の自分から離れて、心が揺さぶられた時に曲ができていた。でも(コロナ禍などで)そんなに頻繁にいろんなところに行けるという状況がなくなったなかで、家の中でもいろんなことができるってことに気づきました。例えば『サックスの曲にしよう』とか楽器から入ることもあれば『三拍子縛りでやってみよう』とか、自分でテーマを決めて遊びからいろんなものをミックスして、違ったものができていく楽しさも最近感じるようになりました」
テレビ朝日・ABCテレビ系「朝だ!生です旅サラダ」(土曜・前8時)など、司会業でも実力を発揮。「まだ模索中です。私がゲストで番組にお邪魔して『わあ、楽しかったな』と思う時って、MCの方が何を聞いて、何を切り取って盛り上げてくれたかっていうことにすごく左右されると思うんですよ。だから必ずやっぱり来てくださった方には楽しんでもらいたい」と真摯(しんし)に向き合う。
「旅サラダ」はこの秋、27年半司会を務めてきた神田正輝(73)が卒業。「私が『旅サラダファミリー』に入れてもらって、1年ちょっと。神田さんにこうしなさい、ああしなさい、って言われたことはないんですけど、毎週、神田さんの楽しい会話を聞けるということが本当に一番いいお手本で…」とリスペクトは尽きない。「すごく温かくて、ほのぼのしていて、実家でテレビを見ているみたいな優しい感覚になれる。その温かさを受け継いでいきたい、大事にしたいなと思っています」
来年2月に40歳を迎える。「40代に向かっていく過程で、自分の好き嫌いとか『こういうことをやりたい』という場所に向かうだけでいいって思えるようになって。いい意味で、他のことが見えなくなりましたよね。20代でたくさん迷って、大きく迷うってことが30代を終える今の段階ではなくなった。そう考えると、40代っていうのはもっと楽しいんじゃないかな。常にやりたいことがあるっていうことを幸せだなと思いながら、これからも生きていけたら」。自分だけの人生の旅。一日一日を積み重ねながら歩みを進めていく。
◆松下 奈緒(まつした・なお)1985年2月8日、兵庫県出身。39歳。3歳でクラシックピアノを始め、東京音大ピアノ専攻科在学中の2004年に、日本テレビ系ドラマ「仔犬のワルツ」で女優デビュー。10年のNHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」でヒロインを演じ、同年のNHK紅白歌合戦で紅組司会を務めた。今年はオリジナルアルバム「souNds!」をリリース、主演映画「風の奏の君へ」が公開。
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