みぞおちに左ボディーストレート一撃! WBC世界バンタム級王者・中谷潤人が初防衛に成功…指名挑戦者を157秒殺
スポーツ報知 / 2024年7月20日 20時52分
◆プロボクシング ▽WBC世界バンタム級(53・5キロ以下)タイトルマッチ12回戦 王者・中谷潤人―同級1位ビンセント・アストロラビオ(7月20日、東京・両国国技館)
ダブル世界戦のメーンイベントで、WBC世界バンタム級王者の中谷潤人(M・T)が、同級1位ビンセント・アストロラビオ(フィリピン)の挑戦を1回2分37秒、KOで退け、初防衛に成功した。戦績は26歳の中谷が28戦全勝(21KO)、27歳のアストロラビオが19勝(14KO)5敗。
1回終盤、みぞおちへの左ストレートを一閃。パンチを食らったアストロラビオは1秒後に体をくの字に曲げてダウン。もん絶し、立ち上がれず10カウントとなった。ノーダメージで世界戦で初の1ラウンドKO勝利。「向き合った時は気持ちを感じて長くなるかと思ったが、いいパンチが入って良かった。ちょっと早すぎたかな」とはにかんだ。
今後は「統一戦、皆さんが意識してくれたかと。このバンタム級で統一戦して(階級を)上げるか、もっと大きな試合がしたい」と見据えた。WBA王者・井上拓真(大橋)との統一戦に向けても盛り上がる。「皆さんが臨んでいるカード。そこに向けてしっかり準備したい」と笑顔を見せた。
中谷は2月、アレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)に挑戦して6回TKO勝ちで王座を奪取。世界3階級制覇を達成した。今回の初防衛戦に向けては、5月23日に渡米。15歳の時から練習に励んだロサンゼルスで、名トレーナーのルディ・エルナンデス氏の指導のもと、スパーリング中心のメニューを実施。約90ラウンドを重ねた。パンチを振り抜いてくるアストロラビオ対策として、強打には強打を、とサンドバッグ打ちを増やしてパンチ力に磨きをかけた。
「しっかりと、力強いパンチを打てるように。相手が嫌がるところにパンチを振っていくことを意識した」と中谷。アストロラビオは元世界2階級制覇王者ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)に判定勝ちするなどの実績があった。
現在、老舗専門メディア『ザ・リング』が認定するパウンド・フォー・パウンド(階級を超えた最強ランキング)で10位と、2位の井上尚弥(大橋)とともにランキング入りするネクスト・モンスター。今回の世界戦では「SKY IS THE LIMIT(可能性は無限大)」。まさに、その言葉を感じさせる一戦だった。
米国滞在中には大リーグ・ドジャースの試合を2試合観戦する機会があり、6月中旬のロッキーズ戦では大谷翔平投手のホームランも生で見ることができた。「海外で活躍している人を見ると、海外でいいパフォーマンスが出せるような選手になりたいと思う。リングに上がっただけで会場が盛り上がる選手になれれば」と大きな刺激を受けていた。
現在、バンタム級は主要4団体王者は全て日本人。「さらなるビッグマッチを」という中谷の目標は他団体王者との統一戦だ。対戦したい相手には「自分をより強くしてくれる選手」として、WBA王者の井上拓真(大橋)の名を挙げた。王座統一、その先にはスーパーバンタム級に上げての世界4階級制覇も見据えている中谷の今後が楽しみだ。
◆中谷潤人(なかたに・じゅんと)1998年1月2日、三重県生まれ。26歳。中1からボクシングを始め、U―15全国大会2連覇。中学卒業後、単身米国留学。2015年4月にプロデビュー。16年度全日本フライ級新人王。初代日本同級ユース王者。19年2月、日本同級王座を獲得した。20年11月、WBO世界同級王座決定戦でマグラモ(フィリピン)に8回KO勝ちし王座獲得(2度防衛)。23年5月にWBO世界スーパーフライ級王者となり、9月に初防衛に成功。172センチの左ボクサーファイター。家族は両親と弟。
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