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「もう死ぬんだな」フリーアナ転身2か月後に非情がん宣告 笠井信輔アナ「地獄のような日々」乗り越え完全寛解

スポーツ報知 / 2024年7月21日 10時0分

講演会には若い世代も訪れると明かした笠井信輔アナ(カメラ・小林 泰斗)

 元フジテレビで現在はフリーの笠井信輔アナウンサー(61)は、フジ退社直後の2019年11月に血液のがんの一種である「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」のステージ4と診断され、約4か月半の抗がん剤治療を行った。ステージ4から完全寛解に至るまでを「もう死ぬんだなと思ったこともあった。孤独を感じました」と振り返った。(坂口 愛澄)

 白ジャケットを羽織り、笑顔で登場した笠井アナ。父親が巨人ファンだったこともあり、幼少期から本紙を愛読していたと明かした。「スポーツ面より、芸能面が好きでね。ず~っと芸能面読んで、テレビのワイドショーを見ていたんです。だから新人時代からワイドショーの担当を希望していますし、原点は報知新聞なんです」

 2019年9月末でフジテレビを退社。がん宣告を受けたのは、フリー転身してからわずか2か月後だった。しかし、当初は「がんではありません」との診断を受けたという。

 「排尿障害が秋ごろからあって。(尿が)出てこなかったり、痛みもあった。膀胱(ぼうこう)がんを経験している小倉(智昭)さんに相談したら『危ないから検査に行った方がいいよ』と言われて。病院へ行くと『前立腺肥大なので、投薬で治療しましょう』ということでした」

 だが2か月間、薬を飲み続けても、体調はよくならなかった。同時期に腰痛が悪化したこともあり、医師に状況を伝えると「すぐに精密検査を受けましょう」と伝えられた。結局、3つ目の病院で、悪性リンパ腫の一種である「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」のがん宣告を受けた。

 「腰痛は、ギックリ腰だと思っていたので医者に伝えていませんでしたが、『何でそれを早く言わなかったんですか!』と注意されました。血液中の成分ががん化する悪性リンパ腫は、内臓がんと違って分かりにくいがんなんです。宣告を受けたときはステージ4で『もう死ぬんだな』とも思いました」

 フリー転身後は、講演会だけで既に40本の仕事が入っており、念願だったテレビ朝日系のトーク番組「徹子の部屋」(月~金曜・後1時)への出演も決まっていた。

 「どうしても『徹子―』には出たかったので、入院を2週間延ばしてもらいました。先生は困惑していましたが、急変したらすぐに入院することを約束し、仕事をする許可をもらいました。『笠井アナって、フリーになったと思ったら消えたね』と言われるのがイヤでね。結局、出演できたのですが、この2週間は体の痛みがひどくて地獄のような日々でした」

 入院後は、すぐに抗がん剤治療が始まった。5日間を1セットとする治療法を6度繰り返し「過酷なものでした」と本音を吐露した。

 「私のがんは、抗がん剤治療しか選択肢がなかった。副作用で吐き気もあったし、食欲もなかった。24時間ず~っと点滴で、起き上がるのもきつくて、ただただ寝ているだけでした」

 抗がん剤治療の副作用などによって、68キロだった体重は61キロに減った。

 「今までで一番低い体重でした。とにかく、食べるということを一生懸命、頑張った。看護師さんには何時間かかっても『食事は下げないでください』とお願いして、無理やりでも食べて、退院するときには64キロにまで戻しました」

 入院生活していた時期は、新型コロナの影響もあって孤独を感じたこともあった。

 「抗がん剤は眠れないんですよね。目がすぐ覚めちゃって、夜中がつらかったです。天井を見上げて『何やってるんだろう、俺って』と泣いたこともありました。コロナの真っただ中で、幸い家族だけはたまに面会に来ることはできましたが、とにかく孤独でした」

 気持ちが落ち込みかけたときも、家族の支えが大きな励みとなり、めげることなく治療に向き合うことができた。退院後にようやく「完全寛解」となったことが分かった。

 「細かい検査でがんがないかデータを調べた結果、『(がんが全くなくなったことを意味する)完全寛解です』と言われました。本当に本当にうれしくて。万歳三唱をしたいくらいでしたよ(笑い)」

 現在は、約3、4か月に1回、再発などがないか検査を受けている。アナウンサー業務に加え、がんの経験を伝えるべく、年間50回以上、全国各地で講演会を行っている。

 「治療を経て生還したということを、発信し続けています。実は、ステージ4を乗り越え、自分の経験を発信している人ってまだまだ少ないんですよ。これからもできる限り、自分の言葉で思いを伝えていけたらなと思っています」

 〇…笠井アナは舞台「リア王 the King LEAR 2024」(東京・三越劇場、8月29日~9月2日)に騎士、医師役で出演する。舞台初挑戦となり「美しい劇場で芝居ができるのが本当にうれしい。幸せの極み」と歓喜。年間、約60本も観劇するほど舞台が好きだといい「新たな領域にチャレンジできるので頑張りたい」と意気込んだ。

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