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谷亮子さん、パリ五輪で見たいのは…旗手の金!王者の金!やっパリママの金! 重圧知るからこそ「強さ」期待

スポーツ報知 / 2024年7月23日 10時0分

取材に応じる谷亮子さん(カメラ・谷口 隆俊)

 柔道女子48キロ級の五輪金メダリスト・谷亮子さん(48)が22日までにスポーツ報知の取材に応じ、パリ五輪への期待を膨らませた。白帯だった14歳の時に初めて参加した海外合宿先がフランス。世界選手権優勝など思い出がたくさん残る場所で開催されるスポーツの祭典に、1996年のアトランタ五輪で旗手を務めたYAWARAちゃんは、自身が結婚式を挙げたセーヌ川での開会式を楽しみにするとともに、日本代表選手にエールを送った。(取材・構成=谷口 隆俊)

 谷さんのはじける笑顔から、パリ五輪への大きな期待感が伝わってくる。

 「パリは大好き。緑がみずみずしくて。今回、ベルサイユ宮殿やエッフェル塔など、世界遺産や名所で競技が行われることは楽しみだし、すごくおしゃれ。パリでしかできない、オリジナリティーあふれる五輪になりそう」

 谷さんは1997年の世界選手権で3連覇を決めたパリを始め、ニース、アビニョン、エビアン、コルシカ島など、フランスには競技会や合宿で何度も訪れている。プライベートでも、2人の子供たちと一緒にテニスの合宿で1か月以上滞在したことがあるほど、大好きな国だ。今年3月にはフィリップ・セトン駐日大使の招きでフランス大使館を訪れ、五輪・パラリンピック代表選手を激励するなど、縁も深い。

 初めて訪れたのが1990年。14歳で初参加した海外合宿がフランスのノルマンディーだった。親元を離れた寂しさに、二段ベッドの上で涙を流したこともあるという。

 「経験すること全てが吸収されていく感じで新鮮でした。でも、夜になると、さみしくなっちゃって…。窓から見える星空がきれいだったな」

 だが、畳の上では躍動した。フランスチームとの対抗戦では次々と勝利を挙げ、最後はシニアの強化選手も投げ飛ばした。谷さんが福岡国際優勝で衝撃デビューを飾る半年前、白帯だった少女は柔道強国フランスに脅威を与えていた。YAWARA伝説の始まりだった。

 開会式は楽しみの一つだ。“会場”となるセーヌ川は、谷さんが2003年に川沿いの教会で、元プロ野球選手の谷佳知さんと結婚式を挙げた思い出の場所だ。

 「式後、セーヌ川の船上で多くの皆さんとカクテルパーティーをしました。思い出深い場所で開会式は開催されますが、セーヌ川を船で入場してくる圧巻の演出は魅力的です」

 開会式と言えば、谷さんは1996年アトランタ五輪で日本選手団の旗手を務めた。

 「入場行進でスタジアムに入った瞬間に、日本代表だという思いが強くなりました。日本の旗を持って入場行進することは、柔道だけではなく、色々な競技の選手が一致団結しているという重みを感じた瞬間でした。開・閉会式は特別な機会。オリンピックチャンピオンを目指す選手たちが一堂に会す、五輪ならではの光景。五輪で重要なウェートを占める、その国を体現する場でもある。旗は結構、重かったですね。風が吹くと、持っていかれたり。でも、気持ち良かった。生涯を通じて思い出に残りました。28年前のことだけど、昨日のことのように鮮明に思い出せます」

 今回、史上初めて男女の選手数が同じになるという。谷さんのような『ママ・アスリート』も増えた。

 「パリの選手村には初めて育児室が設置されます。これは私がずっと、待ち望んでいたことです。女性がより参加しやすい五輪になってきました」

 谷さんは長男・佳亮君を出産して初めて参加した2007年世界選手権(リオデジャネイロ)で優勝。『ママになっても金』を実現した。

 「この時、女性が出産して競技を続ける場合の環境はなく、自ら体の調整や環境作りをしていたため、世界一になることで、その必要性を発信できると感じていました。負けてしまえば、やはり無理が先行してしまう。だからママ・アスリートのための環境作りを前へ進めるためには、世界一になることでした」

 リオに向かう空港で、見送りに来た、当時1歳半の佳亮君が、ママと離れるさみしさから泣きやまなかったという。

 「その時、絶対に金メダルを取って帰って来るぞって決意しました。空港が決意の場に変わりました。世界選手権で優勝しましたが、子供を産み育てるっていう強さが柔道に生かされた瞬間でした。これが母の強さ、なんでしょうね」

 パリ五輪で視線を送る一人が、柔道女子63キロ級・高市未来(コマツ、旧姓・田代)。結婚して心機一転、“3度目の正直”を目指す。谷さんも3度目で初優勝。過去2度の五輪では銀メダルと悔し涙を流した。16年リオ、21年東京と、2度の五輪で結果を出せなかった高市が、谷さんに助言を求めた時に「どうしても過去に負けたことが頭をよぎる」と打ち明けた。

 「その時『よぎってもいいんじゃない?』と言いました。敗戦は自分がここまで成長するために必要だったことだと深く受け入れる。負けがあったからこそ、何倍にも強くなれるんだよって。強くなった自分が今、パリの舞台に立っている。その気構えを持ってやれば絶対、大丈夫ですと伝えました」

 スケートボード・ストリートの堀米雄斗(三井住友DSアセットマネジメント)にも注目している。子供たちと一緒にスケートボードに挑戦したことがあるという谷さんは、6月の予選最終戦で、堀米が大逆転でパリ切符を手にしたことに王者の強さを見た。

 「最終戦を見ていました。彼は本当に大きな可能性を秘めている選手だと思う。連覇がかかる五輪前のチャレンジって、ものすごくプレッシャーもあると思うけど、それを力に変えて最後の最後に代表に入ってくるあたりは、やっぱり五輪王者だなって。勝ちパターンを持っているというか。大事な場面で圧倒的な強さが光りましたね。連覇に、すごく大きな一歩となった予選だったと思います」

 谷さんと同じ日本選手団の旗手という大役を任命された新競技ブレイキンの半井重幸(ダンサー名・SHIGEKIX、第一生命保険)とフェンシング女子サーブルの江村美咲(立飛ホールディングス)や男女のバスケットボール、バレーボールの活躍も楽しみだという。『最高で金、最低でも金』『田村で金、谷でも金』など五輪での決意を示す言葉が記憶に新しい谷さん。4月、柔道女子強化合宿での講話で使ったフレーズは、パリに向かう全選手へのエールでもある。

 「『パリで金、やっパリ金』という言葉を思いついたんですが、これは柔道に限らず、全競技で言えることだと思います。花の都パリで、たくさんの大輪の花をいくつも咲かせてほしい」

 ◆谷 亮子(たに・りょうこ)旧姓・田村。1975年9月6日、福岡市生まれ。48歳。小2から柔道を始め、全日本選抜体重別は14度、福岡国際は12度、世界選手権は7度優勝。五輪は92年バルセロナ、96年アトランタ銀、2000年シドニー、04年アテネ金、08年北京銅と出場全てでメダルを獲得。11年国際柔道連盟の史上最優秀女子選手賞を受賞。13年に世界殿堂入り。03年に元オリックス、巨人の谷佳知外野手と結婚、2男をもうけた。10年から参議院議員を1期務めた。愛称は「YAWARAちゃん」。

 ◆五輪選手村に初の育児室 パリ五輪の選手村に新たな試みとして設置された。大会はジェンダー平等を理念の一つに掲げ、史上初めて出場枠の男女同数を実現。育児室は交流スペースにある共用棟の一室に設けた。床に陸上競技場のレーンをあしらった五輪らしいデザインで、授乳やおむつ交換のスペースも確保されている。利用対象はおむつを着用する年齢の乳幼児。選手村に滞在できるのは選手や指導者、スタッフらに限られるため、各国・地域の国内オリンピック委員会(NOC)から許可証を発行してもらって入村する。午前9時から午後9時まで、1時間単位で予約できる。託児サービスはない。

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