【高校野球】山村学園が準々決勝進出 プロ注目左腕・西川歩が3失点完投 自慢の直球が野球を続けさせた
スポーツ報知 / 2024年7月22日 23時26分
◆第106回全国高校野球選手権埼玉大会 ▽5回戦 山村学園6―3聖望学園(22日・大宮公園)
山村学園が聖望学園と5回戦で対戦し、6―3で勝利した。エース左腕・西川歩(3年)が9回3失点で完投し、準々決勝進出を決めた。
9回裏2死。外角に投じた140球目は、レフトに高く打ち上がった。左翼手が捕ったのを見届けると、思い切り拳を突き上げた。「うれしさが勝って、ガッツポーズが出た」。試合中にも表情豊かな西川だが、ゲームセットの瞬間は一層力が入っていた。
初回に1点を先制したが、3回に失策も絡み3点を失ってしまう。5回と8回に1点ずつ返し、点を許さなかった西川。9回表は先頭で打席に立った。「絶対出るって言って、次のバッターにもバントの準備しておいてって」と有言実行で右中間に安打を放った。横田蒼和(2年)の右中間三塁打で勝ち越しのホームを踏んだ。
頭で考えながらプレーするのが特徴だ。「点を取られた時にけっこう投げちゃった。これじゃ後半もたない」と4回から直球中心ながら、打たせて取るピッチングにシフト。球速よりも制球を意識し、「7、8割で投げて球速が落ちても伸びる球を投げよう」と針の糸を通すようなコントロールで凡打の山を築いた。DeNAの河野スカウトは「メリハリをつけて投げられる。先発として大事」と評価していた。
この日はこれまでの自己最速を1キロ更新する147キロを記録。今では自慢の直球だが、それは過去の経験に基づく。中学1年時、顧問の先生に「変化球を投げるのは体ができてから」と言われ、直球しか投げさせてもらえなかった。それでも抑えられていたが、ある時、変化球にチャレンジした。すると不調に陥った。高校で野球をやらないと言ったこともあった。再び直球勝負のスタイルに戻すと、抑えられた。一瞬の気の迷いが、自分を見つめ直すことにつながった。
もう自信は失わない。次戦は24日の東農大三。「次まず勝つこと。あと3つとかあんまり考えたくなくて。目の前の1勝を絶対勝ち取るということを心においてやっています」。真っすぐな目は、夢の舞台を見据えていた。(臼井 恭香)
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