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J1札幌 MF深井一希「ピッチに立ってチームを助けたい」…右膝手術受けて合流 不屈の男の決意

スポーツ報知 / 2024年7月25日 8時15分

笑顔を見せながらパスを出す札幌・深井(カメラ・砂田 秀人)

 J1北海道コンサドーレ札幌MF深井一希(29)が歩を進めていく。昨年11月に右膝3か所の手術を受けたが、今月12日、部分合流にこぎ着けた。完治が保証されない手術だったが、もう一度ピッチに立つため、5度目のメスを決断し、復活の時を信じ、取り組んできた。4日間のオフを終え、きょう25日からの練習再開を前に、ここまでの心境と今後への思いをスポーツ報知に語った。(取材・構成=砂田 秀人)

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 7月12日、深井はそれが日常のように、宮の沢のピッチに入ってきた。9か月近くのブランクを経て、仲間と笑顔でボール回しした。

 「特別な感情はなかった。とにかく常に痛みの心配があるので。大丈夫かなっていう、そっちだけ。でもボール回しとかみんなでやるとすごく面白いし、それだけじゃなくて、もっとうまくなりたいっていう気持ちがやっぱり強い。そこが原動力になっているのかな。ただ、今回は自分でもよくやったなと思いますね、正直」

 昨年11月、右膝3か所の手術をした時は、絶望のどん底にいた。

 「痛みを我慢しながら膝の水を毎週毎週、注射2本半とか抜きながらやってたが、手術する少し前にそろそろやばいなと。検査したら先生が軟骨の所が悪いと。前十字は切れてないが、半月板や軟骨を安定させるためには前十字も一緒に手術しないと厳しい。ただそれをやっても治るか分からないが、やらないともう続けられないと言われて。手術するか引退するかみたいな」

 治る保証のない自身5度目の手術。それでも深井に迷いはなかった。

 「やらない選択肢は全然なかった。直前に十勝スカイアースと練習試合があって。膝はある程度痛いながらも、自分の中でまだまだいけるなっていう。次の試合がマリノスだったが、ペトロヴィッチ監督からも『最初からいけるか』と言われてた程。その試合の手応えがあったから、このままじゃ辞められないなって」

 膝の外側の軟骨を悪い内側に移植する、Jリーグでは前例のないケースも無事成功。ただ、そこからの道のりは厳しいものだった。

 「少し力を入れたら激痛でしゃがめない。それが最近まであった。きつかったがSNSでも前向きなことばっかり言って、何とか自分を奮い立たせてた。だいたい分かるんですよ、トレーニング来た時に。ちょっとやると、今日もダメだと。気持ちは折れそうになったけど、また明日からやっていくしかないなと何とかやり続けてきた。ただ辞めたいとは全く思わなかった。とにかくやれるところまでやって、復帰して、最後もしダメならそれでやめればいい。とにかく絶対、ピッチに戻るまではやり切ろうっていう気持ちだった」

 進めそうで進まない状況を支えたのは、サッカーに対する強い思いだった。

 「好きなんでね、やっぱり。好きだし、もっと上を目指したいっていう気持ちがまだまだある。ボール回ししても、ある程度自分がどれくらいできてるかっていうのは分かる。若い選手と一緒にやっても、心の中では『俺はこんなに休んでたのに、まだまだだな』っていう気持ちがあるんで。8月には全体練習に入って、9月の試合に合わせてって感じでやっていきます」

 復帰メドは頭に描きつつ、1つのこだわりがある。

 「いい順位の時なら復帰した時に『おめでとう』で終わるかもしれないが、チームはこういう状況なので。僕はあくまで戦力になりたいんで。ピッチに戻れたら死ぬ気でやるつもりだし、全試合に絡んでいきたいが、昔からやっているメンバーが復帰したから出そうではなく、ちゃんと周りと競争した中で実現できれば」

 「不屈の男」と称される深井が味わった、最大の危機。乗り越えた今、思い至ったことがある。

 「これまで絶望を味わってきてるんで。サッカー選手と言いつつも、8か月間やらないとクビになったような感じになるのを5回味わった。その中でも今回はきつかったが、かなり自分を信じた。心は折れそうになったが、地道にやり続けることが答えだなと分かった。何も貢献しようがないというのは苦しい時だったし、申し訳ないなと思ってたので。ここからはピッチに立ってチームを助けたいです」

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 深井が若者の“先生”になる。中学生から大学生を対象とした支援プロジェクトの実施構想を、24日までに明かした。「夢を持っていても何をしていいかが分からない、先がどうなるか分からないからと信じることができなくて断念しちゃう子がすごく多いなと。自分は今回、手術しても治るか分からない状況からこうなれると示せた。誰でもチャンスはあると背中を押してあげられれば」。既にホームページの作成を進めており、近日中に自身のインスタなどで、詳細を発表する。

 今回の入院中、インスタで悩みを受け付けた。5人を選び、3か月間、対話してきた。不登校だった子が学校に行けるようになるなど、変化を目の当たりにした。「とにかく寄り添って、話をちゃんと聞いてあげる。それを元に自分のいろんな経験を話して、俺もこうやって頑張るから君もやってみよう」などと後押ししてきた。選手の傍ら、子どもの健全育成にも力を注いでいく。

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