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伝統工芸竹細工の風鈴づくりに癒されました…鞠子宿・東海道五十三次・静岡の宿場町新名物

スポーツ報知 / 2024年7月27日 9時53分

実演を行う職人の田中さん

 東海道五十三次の県内にある地点ごとに注目のスポットなどを取り上げる企画(随時掲載)の今回は、県内10番目の「鞠子宿」。1999年にオープンし、2021年にリニューアルされた工芸体験施設「駿府の工房 匠宿」を訪れた。県の伝統工芸「駿河竹千筋細工」の物づくり体験ができる唯一の施設。敷居の高さを感じていた工芸を身近に感じる機会になった。

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 ちりん―。鈴の音が鳴る。風鈴の出来栄えは満足いくものだった。物づくり体験では工作キットが用意され、インストラクターの指導もある。土台の穴に、細く割った竹の角を丸くなるよう削(そ)いだ「丸ひご」を刺し込むのが主な作業。竹の手触りの良さを感じながら心落ち着く時間となった。

 静岡で長く受け継がれ、県や国に指定された工芸品は23品目ある。知事指定の郷土工芸品が21品目で、経産大臣指定の伝統的工芸品241品目に選ばれたのが「駿河ひな具」「駿河ひな人形」「駿河竹千筋細工」。竹細工だけが両方の指定を受けている。

 「匠宿」では静岡竹工芸協同組合所属の職人12人が中心に交代で実演を行っている。今回は田中寿史さん(43)に話を伺った。10年前に県外からこの世界に入ってきた。「竹細工は(竹を薄い皮にした)平ひごを編むものが盛ん。丸ひごで組む駿河竹千筋細工ならではの繊細さに心引かれた」という。真っすぐな竹に熱を加えることで生み出される優美な曲線も魅力の一つだ。

 江戸時代から続き、武士の内職の一つとして浸透した文化。「丸ひごは虫を傷つけない虫かごとして人気があったと言われています」と田中さん。徳川家康は大御所時代に駿府(現静岡市)に移り住んだが、趣味の鷹狩りのえさ箱として作らせたという。興味深かったのが竹の種類の多さで、ここでは8種類を展示。田中さんは「編むものだと肉薄で、節の間隔が長い真竹を使うことが多い。ひごにもよく使われています。一方で孟宗竹(もうそうちく)は肉厚。硬いので竹細工の土台として使われることが多い」。工芸を切り口に、豆知識が増えた。

 リニューアルから約3年で9万人以上が訪れた施設のコンセプトは「歴史と未来を結ぶ場所」。工芸体験だけでなく、第一線で活躍する職人を工房長として招き、後継者育成の場とする。広報の松本宏予さんは「静岡の工芸品を知ってもらい、県の伝統を誇りに思ってもらいたい。体験に来るお子さんの中に職人になりたいと思う子もいたらうれしい」と話す。年代問わず県の伝統にふれてほしいと感じた。

(伊藤 明日香)

 ◆駿府の工房 匠宿 開館時間は午前10時から午後7時まで。月曜休館。他に「陶芸」「和染」、タミヤによる「模型」なども体験でき、カフェも併設。入場無料で各体験料金は公式ホームページから。住所は静岡市駿河区丸子3240―1。JR東海道線の静岡駅から藤枝駅前行きバスに乗車し「吐月峰駿府匠宿入口」下車で徒歩約5分。

 ◆鞠子宿 東海道20番目の宿場で「丸子宿」と書かれることもある。府中に入る要所として丸子城が築かれていた。名物は「とろろ汁」。1596年(慶長元年)から400年以上続く「丁子屋」など名店があり、松尾芭蕉が「梅若葉丸子の宿のとろろ汁」と詠んだ句碑も近くにある。

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