【パリ五輪】続く池江璃花子の挑戦 「やっぱりここで結果を出してこそ、強い選手」復活アピール
スポーツ報知 / 2024年7月28日 2時0分
◆パリ五輪 第2日 ▽競泳(27日、ラデファンス・アリーナ)
27日に競技が始まり、女子100メートルバタフライ予選で、3大会連続出場の池江璃花子(24)=横浜ゴム=が競泳ニッポンの初陣として臨み、57秒82の全体14位で準決勝進出を決めた。白血病の闘病による休養から復帰後では初、2016年リオ五輪以来2大会ぶりに個人で挑んだ五輪で、世界へ復活をアピールした。
願った勝負の舞台に、池江が戻ってきた。16年リオ五輪以来、8年ぶりに個人種目として挑んだスタート直前の笛の合図。ブロックに足を掛けると、異変を感じ取った。「レース前、すごく足が震えて。すごく緊張して。『あ、これ、緊張の体の動かなさだな』と」。20年8月に闘病から復帰後、初めて臨んだレース以来の緊張感。「久しぶりすぎる」という会場の大歓声は、夏の祭典を感じるには十分だった。
白血病闘病から競技復帰後、1年で迎えた前回東京五輪はリレー3種目に出場。「奇跡」と言われた舞台に立ったが、パリへの思いをより強くした夏でもあった。かつてバタフライの世界ランクは1位までいった。「個人で勝負したい」。22年からはオーストラリアに渡ることを計画。ただ体調面などが整わず、同年は代表落選も経験。「何も成長していない」と涙も流した。
大学入学直前から奪われた日常。退院後は遅れた“普通”の学生生活を取り戻すように、公私で全力だった。時には私生活に疲れ、水泳に影響が及ぶこともあった。周囲への甘えを振り切るように、昨秋から希望していたオーストラリアに拠点を移した。名将、マイケル・ボール氏の指導はチームの部員が1年で約半数になるほど厳しく、強度が高い。練習に耐え、自己管理も含めて100%、競泳と向き合ってきた。
パリは、28年ロス五輪で再びメダル争いをするためのプロセス。実力を取り戻すことに時間がかかることは、誰よりも痛感している。その中で、復帰後初めて個人で挑んだ五輪のレース。「やっぱりここで結果を出してこそ、強い選手」と肌で感じた。ステップを一つ上がった。また新たなモチベーションを胸に、挑戦を続けていく。(大谷 翔太)
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◆池江璃花子のあゆみ
▽2000年7月4日 東京・江戸川区に生まれる。姉・兄の影響で3歳から水泳を始める。
【写真】あどけなさ残る小6の頃
▽15年4月 14歳で臨んだ日本選手権女子200メートル自由形で3位となり、14年ぶりに中学生で世界選手権の代表入り。
【写真】中学の制服姿での登校風景
▽同10月 100メートルバタフライで19年ぶりに57秒56の日本新&世界ジュニア新記録をマーク。
▽16年4月 100メートルバタフライを57秒71で制して15歳でリオ五輪代表に内定。8月の五輪同種目決勝で日本新の56秒86を出し6位入賞。
▽17年4月 16歳で臨んだ世界選手権代表選考会で、自由形とバタフライで女子史上初の5冠。7月の本番では7種目13レースに出場。
▽18年4月 パンパシフィック選手権代表選考会、100メートルバタフライで56秒38の日本新記録で優勝。出場全4種目、計6回の日本新記録更新。
【写真】ダイナミックなフォームで日本新記録をマーク
▽同8月 パンパシフィック選手権100メートルバタフライを56秒08の日本新記録で優勝。主要国際大会では初の金メダル獲得。
▽同8月 アジア大会(ジャカルタ)でアジア女子として最多の6冠。海外勢含めて史上初めて女子選手でMVPを獲得した。
【写真】MVPを獲得したアジア大会閉会式で旗手を務める
▽19年2月13日 自身のSNSで白血病を公表。
▽同4月 日大スポーツ科学部に入学。9月の日本学生選手権に応援で訪れ、病気公表後、初の公の場に。
▽同12月 退院を報告。「2024年のパリ五輪出場、メダル獲得という目標で頑張っていきたい」とつづった。
▽20年2月 ジムでのトレーニングを再開。
▽同3月 自身のSNSで406日ぶりにプールに入ったことを報告。
【写真】久々のプールに「気持ちが良くて、幸せです」
▽同7月 国立競技場で行われた五輪イベントに参加。「1年後の今日、この場所で希望の炎が、輝いていてほしい」と約4分間のメッセージ。
【写真】聖火のランタンを手に涙のメッセージ
▽同8月 東京都特別水泳で50メートル自由形に出場し、594日ぶりの実戦復帰。
▽21年1月 北島康介杯の100メートル自由形で55秒35の4位、東京五輪代表選考会の参加標準記録を突破。
▽同2月 東京都オープンの50メートルバタフライを25秒77で制し、復帰後初V。
▽同4月 東京五輪代表選考会で4冠。リレー2種目で五輪代表内定。
▽同8月 東京五輪でリレー3種目に出場。メドレーリレーではバタフライを泳ぎ、8位入賞に貢献。
【写真】東京五輪女子400メートルメドレーリレー決勝に出場
▽22年3月 国際大会代表選考会でバタフライ、自由形の出場3種目でいずれも世界選手権代表権を逃す。
▽23年4月 日本選手権のバタフライ2種目で世界選手権代表に内定。
▽同7月 6年ぶりの出場となった世界選手権で、50メートルバタフライで7位入賞。
【写真】世界水泳で13レース完走
▽24年3月 パリ五輪代表選考会の100メートルバタフライで、57秒30の2位。3大会連続五輪代表に内定。
【写真】パリ行きの切符を獲得
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