【パリ五輪】柔道・角田夏実の強さは「相手の研究上回る引き出し」…アテネ五輪金の園田教子氏

金メダルを獲得した角田夏実（カメラ・岩田　大補）

◆パリ五輪　第２日　▽柔道（２７日・シャンドマルス・アリーナ）

　女子４８キロ級で角田夏実（ＳＢＣ湘南美容クニリック）が初出場初優勝の快挙を達成した。同階級での優勝は２００４年アテネ五輪の谷亮子以来、２０年ぶり。日本勢としては今大会のメダル第１号で、夏季五輪では日本勢通算５００個目のメダル獲得となった。アテネ五輪で金メダルを獲得し、伝統ある警視庁男子柔道部で初の女性監督を務めている園田教子さんが角田の試合を振り返った。

＊　＊　＊

　角田は終始、持ち味である、ともえ投げから腕ひしぎ十字固めのパターンが貫けたことが大きい。今回、ナンバーワンと予想されている中でも、必勝パターンができるという強さを証明した。

　準々決勝でブクリが奥襟を取ってきて角田の頭を下げるようにしたが、組み手を切り替えてともえ投げで一本勝ちした。組み手を研究してきた対戦相手を上回るだけの引き出しが角田にはかなりあると思う。練習で警視庁に来ても、相手とガンガンやり合うような乱取りはしていない。組んで攻め合うことなく、間合いを取って組んで技をかけるという確認をしている。いろんなタイプの選手を相手にして、その組み手に対応するようにしている。

　準決勝、決勝と少し手こずったように見えたのは、五輪のプレッシャーなのかもしれない。でも、そんな中で勝ち抜けたのは彼女の強さにほかならない。試合前に笑顔を見せるのは、角田のルーチンだと思う。そういう形で試合に臨んだら、力まずにいけるということだ。

　今後について、五輪連覇などの期待がかかるだろう。今回、金メダルを取ったことで本人がどう感じるか。身長も高いので、減量もきついだろう。少し休んで、また気持ちが奮い立つようなら…。実力的にはまだまだ、やれると思う。（０４年アテネ五輪女子７８キロ級金メダル、警視庁男子監督・園田教子）