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【パリ五輪】角田夏実の関節技 サンボ、ブラジリアン柔術で磨いた大学時代…恩師語る絶対的武器

スポーツ報知 / 2024年7月28日 7時0分

角田夏実(左)を大学時代に指導した射手矢岬氏(カメラ・林 直史)

◆パリ五輪 第2日 ▽柔道(27日・シャンドマルス・アリーナ)

 柔道女子48キロ級で角田夏実(31)=SBC湘南美容クリニック=が日本選手団第1号の金メダルに輝いた。初戦から5試合を制し、2004年のアテネ五輪の谷亮子以来となる同級金メダルを獲得。ともえ投げとともに光った関節技が磨かれたのは、東京学芸大時代の自由な環境と“朝活”だった。柔道部の監督だった射手矢岬氏(63)が当時を振り返った。

* * *

 東京学芸大柔道部は決して強豪ではなかった。縁をつないだのは特定の競技で実績を考慮して出願できる「スーパーアスリート推薦選抜」入試制度。角田の入学前年に始まり、射手矢氏が手を挙げて大学全体で設けられた5枠のうち、1枠は柔道が対象となっていた。当時、角田は3年時の全国高校総体で5位にとどまり、柔道に区切りを付けようとしていたタイミング。視察した千葉国体で腕ひしぎ十字固めを決める姿などに魅力を感じた射手矢氏は、「本人は『もう柔道はいい』と言っていたらしいけど、そんなことは知らずに勧誘に行った」と振り返る。

 複数の強豪大学や実業団の誘いを断っていた角田も、学業と両立しながら競技を続けられる環境に魅力を感じ、進学を決めた。練習は週に4~5日で2時間程度。週に2回、約30分の朝練も夜更かし防止を主な目的としたもの。アルバイトもOKで、朝練がない日はコンビニで授業前に働いていた。決して厳しすぎない練習と並行して通ったのが、同じ道場でOBの高本裕和氏が開いていた“寝技教室”だった。

 射手矢氏が教え子の高本氏から「柔道が好きで寝技にはまって、学芸大の道場を朝活で貸してくれないか」との提案を快諾して始まった寝技教室は、一般にも開放されていた。活動は柔道部の朝練前に週2日、午前7時から1時間程度。「高本は人に押し付けない、いい味がある。学生も寝技をするのが面白いと言って、だんだん人が集まっていった。私もサンボやレスリングをやっていたので、学生がやりたいということは否定しなかった」と意図を語った。

 角田もサンボやブラジリアン柔術の要素を生かしたメニューに夢中になって取り組み、もともと得意だった関節技が絶対的な武器に磨かれた。高本氏も「角田は柔術で今すぐ世界チャンピオンになれますよ」とほれ込むほどだったが、射手矢氏は「頼むからそれだけは勘弁して。そそのかさないでくれ」と止めるのに必死だったと苦笑する。

 射手矢氏が自主性を尊重する指導を確立したのは「自然農法」を提唱した農学者の故・福岡正信氏との出会いがきっかけだった。「団子にいろんな植物の種を入れて『なりたいやつがなれ』とまく。そうすると、山で岩の間から大根が生えてきたりする。自然の力と遺伝子が合えば、強いものはどこでも伸びてくるんだと。角田も私が何をしたからではない。学芸大の環境が合って、やりたいことできたことが良かったと思う」。“自然農法”で才能は見事に開花した。(林 直史)

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