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「金メダルには届かなかったけど…」男子60キロ級・永山竜樹、意地の銅メダル「手ぶらで帰るわけにはいかない」

スポーツ報知 / 2024年7月28日 22時25分

サリフ・ユルドゥズ(左)を破り銅メダルを獲得した永山龍樹(カメラ・岩田 大補)

 パリ五輪27日の男子60キロ級で初出場の永山竜樹(28)=SBC湘南美容クリニック=は不可解な判定に泣かされたが、銅メダルを獲得した。フランシスコ・ガリゴス(スペイン)との準々決勝で「待て」がかかってからの絞め技を一本と判定されたが、敗者復活戦を勝ち上がり、3位決定戦ではサリフ・ユルドゥズ(トルコ)を合わせ技一本で下した。

 永山は悪夢の敗戦から立て直し、銅メダルを死守した。敗者復活戦を勝ち上がり、3位決定戦を制しても、悔しさは晴れない。それでも観客席で応援していた家族らのために「手ぶらで帰るわけにはいかない」と奮い立たせ、最後まで戦い抜いた。「金メダルには届かなかったけど、家族や応援してくれた方、みんなの力で取れた銅メダル。そこはすごい価値があるもの」と視線を上げた。

 不可解な判定は準々決勝で起きた。相手の片手絞めを耐え、主審から「待て」がかかった。永山が力を緩めた後も相手が絞め続けて失神し、まさかの一本の判定。納得できず約5分間、試合場に居残って映像検証を求めたが、認められなかった。男子の鈴木桂治監督らも試合後、審判団に抗議したが覆らなかった。全日本柔道連盟は国際柔道連盟に抗議文を出す意向も、判定が覆る可能性は極めて低いという。永山は待ての声は聞こえていたと明かしたが「結果が出てしまったので。自分の隙が生んだ負け」とのみ込んだ。

 柔道経験者ではなかった父・修さん(50)と幼少期から二人三脚で歩んできた。だが、東京五輪代表を逃し、21年世界選手権も敗れた後、口論になった。「素人には分からない」。その一言をきっかけに疎遠になった。だが、22年8月に長男の栄樹くんが誕生。初孫に会いに試合会場に来ていた父を訪ねた。「勝ち方が分からなくなった」。その場でフランスに単身武者修行を勧められた。旅費は全額、父が出してくれた。

 雪解けから再び2人で歩み、挑戦したパリ五輪が終わった。父への思いを聞かれると「金メダルをかけてあげられなくて…」と声を震わせた。「次は必ず、約束したい」。28年ロス五輪の雪辱を誓った。(林 直史)

 ◆柔道の“誤審” 2000年シドニー五輪で起きた「世紀の大誤審」が有名。男子100キロ超級決勝で篠原信一がダビド・ドイエ(フランス)から「内股すかし」で明らかな一本を奪いながら誤審による判定負け。篠原は「自分が弱いから負けた」と一切の言い訳をしなかった。

 ◆永山 竜樹(ながやま・りゅうじゅ)1996年4月15日、北海道美唄(びばい)市生まれ。28歳。柔道は4歳で始め、小6までは野球と掛け持ち。愛知・大成中、大成高を経て東海大1年で世界ジュニア選手権優勝。2018、19年世界選手権銅メダル。17、19、23年マスターズ大会優勝。右組み。得意技は背負い投げ、袖釣り込み腰。家族は妻と長男。

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