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10年ジャパンCで2位入線から繰り上がりVのあの馬の余生は…”ヴェルサイユのばら”

スポーツ報知 / 2024年7月30日 6時0分

ニンジンを元気にほおばるローズキングダム(カメラ・角田 晨)

 名門“バラ一族”出身でG12勝を挙げたローズキングダム。10年ジャパンCで2位入線から繰り上がりVも話題になったが、頭を強く打つ事故により18年に種牡馬を引退。17歳となった現在は北海道日高町の引退馬牧場「Yogiboヴェルサイユリゾートファーム」で元気に過ごしている。「夏の自由研究」功労馬編で、角田晨記者が岩崎崇文代表(32)に話を聞いた。

 ニンジンを手に近づくと、ローズキングダムはノンビリとこちらを向き大きな口をあんぐり。闘争心むき出しで走っていた競走馬当時の雰囲気は感じられない。しかし、岩崎代表は「放牧中やお客さんの前だとおとなしいんですけどね」と苦笑い。牙は抜かれきっていないようだ。

 「馬房に帰るときだけ、なぜかスタッフにかみつくんですよ」。元種牡馬だということも関係しているという。「種牡馬を経験している馬は気性が荒いんです」。こう話す間にも、隣の放牧地では名牝ウオッカの父タニノギムレットが虻(あぶ)を気にして大きく頭を振っていた。

 ある意味、運命的な邂逅(かいこう)だった。その名の通り、ローズキングダムは名門「バラ一族」(注1)の出身。そして牧場名にある「ヴェルサイユ―」は実は、岩崎代表の母が由来だ。母は宝塚歌劇団63期生で花組のトップ娘役だった「美雪花代」こと美由紀さん。亡き夫の遺志を継いで、生産牧場「ヴェルサイユファーム」の代表を務めている。牧場名は宝塚の代表的な演目である「ベルサイユのばら」(注2)からつけられた。

 岩崎代表自身は大学卒業後、母の牧場に就職。競馬の知識はなく、ゼロから学ぶなか「乗馬のように、競走馬も牧場に帰ると思っていたが違った。せめて手がけた馬だけでも面倒見たいなと」。引退馬の“終の棲み処(ついのすみか)”として18年に「リゾート―」を開設。タニノギムレットやオジュウチョウサンなどを目当てに、連日50人近いファンが訪問。今後は「北海道はどうしても遠いので」と長野県と福島県に分場を設置する計画も進行中だ。

 23年から繋養(けいよう)されている重賞2勝馬のダンスディレクターは「馬主さんが宝塚の振付師という縁で、預けていただいたんです」と岩崎代表。そんな名所の“第一期生”であるローズキングダム。来た当初は事故の影響で「バランスを崩して、歩くのもやっとだった」が、手術を経て歩様も安定した。「いずれは馬術界にも貢献したいし、温泉を掘って一大リゾートに…」と夢を語る岩崎代表。功労馬が安心して過ごせる牧場は、“ベルばら”のような壮大な物語をつむぎ始めている。(角田 晨)

 (注1) 92年に日本へ輸入されたフランスの繁殖牝馬ローザネイから派生する一族。ローズ、ローゼなどバラに関する馬名がつけられている。ロサード、ローズバドなど重賞馬が多数。近年ではスタニングローズが22年の秋華賞を制した。

 (注2) 漫画家・池田理代子さんの代表作。1972年から73年まで「週刊マーガレット」で連載。フランス革命期のベルサイユを舞台に、男装の麗人オスカルを取り巻く人間模様を描いている。宝塚歌劇団では74年に初演。今年は50周年記念公演が行われるなど大ヒット作となった。

 ◆Yogiboヴェルサイユリゾートファーム 北海道日高町にある引退馬牧場。20ヘクタールの敷地に32の馬房を設置し、G1馬を含む40頭近い引退馬を繋養。事前に予約せずに馬の見学が可能でカフェでTシャツやポストカードといったグッズも販売。営業時間は9時~15時。定休日は木曜日。ホームページは、https://www.versailles-resort.com/

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